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槍とカチューシャ  作者: カーネーション


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第21話『みんなで食事』

 すでにみんなは席に着いていた。長引いた取り調べのせいで、ずいぶんと待たせてしまった気がする。きっと、あの団長さんとのやりとりがなければ、もう少し早く来れたはずなのに、本当に申し訳ない。


 これ以上はみんなを待たせないように、ジルさんに引いてもらった椅子に腰を落ち着かせた。ちょうどわたしが座った席の向かいにはフィナがいた。


 小さく頭を下げてみると、フィナははにかんでくれる。花のように咲く笑顔に癒されたところで、最初の食事が運ばれてきた。


 はじめに登場したじゃがいもに似た味のスープは、よくこしてあるらしく、さらーっとした舌触りをしている。白パンはふかふかとしていて噛みついても顎が疲れない(これはかなり重要)。メインの肉料理にはスパイスが効いていて、マジうまい。料理にうといわたしにはさっぱりわからないけれど、うまいことには変わりはない。


 中にひとりだけ、肉料理には手をつけない子がいた。もしかしたら、宗教的な意味合いで食べないのかもしれない。いろんな人がいて、異世界にやってきたのだなあと改めて感じる。


 食事が終わってしまうと、途端に暇になった。おしゃべりしようにも言葉は通じないし、英語もうまくないため、フィナとも会話ができない。コミュニケーションも大してとれずに、こんな感じで共同生活がうまくいくのだろうか。何か、うまくいかない気がすごくする。


 だけど、3年間はここで過ごさなくてはならないのは決まっている。言葉も学んで独り立ちしなくてはならない。そのあとはどうなるんだろう? まだわからないけれど、いつかは自分で決めなくてはならないのかもしれない。それまでは自分を誤魔化しつつ過ごしてやろうと思った。


 みんなで食堂を抜けたあと、ジルさんから案内を受けて、いくつも扉が並んだ場所へと移動した。


「こちらがみなさまのお部屋です。1部屋に付き、おふたりずつ入っていただきます。事前に振り分けさせていただきましたので、今からお名前をお呼びいたします」


 ジルさんによって2人ずつ名前を呼ばれて、通路奥の部屋から順番に割り振られていく。通路奥からみんな次々と入っていった。最後にフィナとわたしが残った。人が減ってきてそうじゃないかなあと思ってきたけれど、やっぱり同室らしい。


 フィナと一緒に部屋のなかに入る。真っ先に目についたのは、カーテンのかかった窓だった。右端と左端の壁に設置されたベッド。机や棚が2つずつあって、右と左に分けられている。寝泊まりするには申し分ない広さだった。


「何か不便なことがありましたら、おっしゃってください」


 ジルさんはそう告げてから下がっていった。


 フィナが左側のベッドに腰をかけたので、わたしは右側のベッドに座る。「よろしく」はどう言えばいいのかなと考えていたら、フィナが左手を差し出してきた。「よろしく」という意味かもしれない。嬉しくなってわたしも握手を返す。


 今は会話ができなくても、いつかはおしゃべりして笑い合えるかもしれない。この握手でそんな期待が持てる気がした。

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