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槍とカチューシャ  作者: カーネーション


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第17話『取り調べの間』

 団長さんも座り、わたしも座らなければならなくなった。空いている席が彼と向かい合わせになる位置しかなくて、前方から強いプレッシャーを感じる。


 ――何これ、面接みたいだ。でも、面接よりも緊張する。久々のプレッシャーに気づかないふりをして、椅子に腰を下ろした。


 低い声が聞こえてきて顔を上げる。けれど、何故だか髭のない顔を直視できなくて、団長さんの喉元辺りを見つめる。団長さんの声の後に、夏希が通訳をはじめた。


「あなたの名前と年齢を教えてください」


「マキアイミ、21歳です」


 初っぱなから悪いけれど、年齢は嘘である。まだ酒が飲めるか、飲めないかの微妙な年頃だ。でも、夏希には会ったときから上から目線だったし、老け顔だし、今さら年下とは言えないのが1番大きかった。


 夏希が呪文のようにそちらの言葉で団長さんに伝えると、髭なしのシャープな顎はうなずいた。何だか罪悪感が沸き上がってきたけれど、仕方ない。


「では、マキさん。あなたのこれまで過ごした場所。それから職業を教えてください」


「日本の片隅にあるボロアパートで生活してました。あと、ずっとフリーターなんで、就職したことはありません」


 異世界でこんな話をするとは思わなかった。というか、こちらの世界に「フリーター」といって通じるのか? 不安だったけれど、団長さんがうなずいたので大丈夫なんだろう。


「わかりました。では、ここに来るまでの経緯を」


「ボロアパートの階段を踏み外して落ちたら、この世界でした」


「その時の天候はどうでしたか?」


「えっと、雨が降っていました」


「踏み外した階段は何段目から」


「えーっと、結構高かったと思います」


「その時の服装は? できるだけ詳しくお願いします」


 案外、細かい質問ばかりが集中した。一応答えたけれど。


「それから……」


 なぜか、夏希は団長さんのほうをちらちら見ながら、戸惑ったような仕草をする。


「お付き合いされていた方はいたのでしょうか?」


「あー」


 いたといえばいたかもしれない。しかし、彼とはかなり疎遠になっていたし、今まで思い出さなかった。ずいぶんと前から、わたしの気持ちは冷めていたのだろう。だから、「いません」と答えた。


「良かったです」


 夏希が安心したように言うけれど、何が良かったのだろう。彼の視線が団長さんを見ていたのも、わたしにはまったく意味がわからなかった。

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