終わりかけの紅
あなたは、紅く染めた爪が好きだったから
わたしはそれに青を施し
あなたはわたしの中指を噛む
其れが、嫌で
置き去りとする前に
まっさらにしたの
それでも脚に施した紅は、そのままに
短く切り揃えるとて、そのまま
歪んだ気持ちのように
剥がれ落ちてくる色
もうじき凡て、なくなってしまうから
わたしはあなたを忘れることが出来る
言葉だけ、耳と脳に刻み込まれたまま
あなたは、きっと忘れているでしょう?
わたしの記憶、そこに移し替えたいけれど
きっと、あなたには
わたしの色彩だけが鮮やかなことでしょう