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超絶筋肉クラスメイト  作者: 中納言
3/3

叫喚!不意打ち攻撃

槍田さんは笑顔で言った。

「友達なんだよねっ!?」

鬼切さんと男子達とツインテールの子の視線が刺さる。

「…うん」

もうどうにでもなれと力無く頷いた。


「えっマジで」

ニヤリと冬村が腹の立つ顔を歪ませた。

「お前こんなムキムキなのとダチなのかよ」


「尾野原さん…」

鬼切さんが、私に助けてとばかりに視線を送ってきた。


「こいつ昔からこんなだった?」

「知るか」

「は? 知らねぇの?」

「知らねーよ」


相変わらずニヤニヤしながら聞いてくる、そもそもこいつは中学生にもなって、女の子をからかって何が楽しんだろう。

「何キレてんのお前」

「いや、キレてねえし」


冬村が馬鹿にしたように見てくる。

別に鬼切さんが馬鹿にされてたから、イライラしてるんじゃない。

この冬村とかいう奴の、自分が一番偉いといわんばかりの表情、纏わり付くような声、爬虫類に似た目、全てが生理的に受け付けない。


「お前こそ人からかって楽しいの?」

「は? 何言ってんのお前」

「あ!? 話ずらすなや!」

「ふ…二人とも…」

私がメンチを切りながら冬村に近づこうとすると、鬼切さんが私の肩を押さえた。

「鬼切さん、大丈夫。すぐ終わらせるから」

「いや、そういうことじゃなくて」

「何なんだよお前、やんのか?」

冬村がまだニヤニヤして聞いてくる。

「やってやろうじゃねぇか…」

「な…何この展開」

鬼切さんが慌てながら言った。

多分周りにいる男子達と女子二人もそう思っているだろう。


掃除時間が終わり、解散してから私と鬼切さんと冬村は体育館裏へ行った。

「…ここは正々堂々カバディで勝負や」

「おぅ、いいじゃっ……って、カバディ!?」

「なぜカバディ…」


私がカバディと言うと二人とも変なリアクションをした。

もちろんカバディで戦う気はない、相手を慌てさせるための嘘だ。

「カバディって…」

「スキあり!!」

「あがっ」

冬村が何か言いかけようとしたところで手刀を食らわした。

ドサっと冬村は地面に倒れた。


「うぐぅ…」


「おとといきやがれ…よし、終わったから帰ろう」

「な、何か色々すごいね尾野原さん」

「鬼切さんの方が凄いよ。あんなに言われても平気なんて」

「いや…言われなれてるから…」

鬼切さんは俯きがちに言った。

顔を見ると哀しそうな表情をしていた。

シリアスな雰囲気だけど、体のせいでむしろシュールな雰囲気になる。

つい何時間か前に知り合ったばっかりだけど、鬼切さんは図体の割にはおとなしい性格をしてる。

こんなに筋肉がついているのにもったいない。

私がもしこんな体だったらアメリカにでも渡って、金網デスマッチでボクサー被れの輩を倒しまくるだろう…

「言われ慣れてる?」

「え…あぁうん」

「じゃあ、いままでからかわれても何も言わなかったの?」

「…うん」

「そっか…」

鬼切さんは暗い声でこたえた。

からかわれて言い返せないなら、殴ったり叩いたりして脅せばいいだろう。

この筋肉を使わないのは才能の持ち腐れ…いや筋肉の持ち腐れだ。

「軟弱者め!!」

「!?」


私が目を見開いて言うと、鬼切さんは鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。

「それだけの肉体があって、なんで対抗しねえんでい!!」

「尾野原さん…?」

「黙れい! ワシが鍛えたるわっ!!」

私はつい勢いで、鬼切さんのくるぶしに手刀をくらわしてしまった。

「ぐあぁぁ…」

「その程度でやられるようじゃ、この学校のトップは狙えんぞ…」


思ったよりもダメージが大きかったようで鬼切さんがうずくまり唸った。

勢いに任せて言ったけど、学校のトップって何だろう。

いまさら自分の言ったことが恥ずかしくなってきた。

尚もうずくまっている鬼切さんに話しかようとすると、いきなり不敵に笑いながら鬼切さんが起き上がった。

さっきまでの気弱な雰囲気は一切なくなり、山の中のヒグマのような恐ろしいオーラを放っている。

「……学校のトップ? いいじゃない…なってやんよおぉぉぉお!!」

「え?…あ、いや…そ、その意気だ! 鬼切さん」

予想外のことを言い放ったので、少し怯んだがすぐ気を取り直した。


「じゃあ…さっそく私とカバディ勝負だコラ!!」

「おっしゃあああ、バッチ来い!」

かくして鬼切さんを鍛える作戦が始まったのであった。

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