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アンサー小説 『乙女の思考は~』

Lizreel様から、『乙女の思考はキララ様至上主義』の

アンサー小説を頂きました。


そして、在り難い事に乙女の名前が決まりました(パフパフ~♪)


それでは、Lizreel様の素晴らしいアンサー小説をどうぞお楽しみ下さい。



(エトワール視点)


 ハイロードになれないアガルタの一般構築士の最終目標というと、ランク2の使徒(天使)になることだ。


 給料も高いしね。日本円で年俸8000万ぐらいだ。まあ、私でなくても皆がそれを目指して頑張ってるんじゃないかな? 長い下積みを経てランク2に昇進する前に、皆が最も嫌がる仕事が待っている。ランク3の悪役だ。やるのは一回だけでいいんだが、これをやるときは、本当に気がめいる。


 悪役はカウンセリングを念入りに受けるから、辛うじて精神の健全性は保たれるけれどね。できるだけ早く悪役の期間を抜けたいと思うのは当然だから、どの構築士も必死になって仕事にあたる。


 私は27管区で、伊藤PMから第二区画を任された。第二区画というと、蘇芳一族を預かる区画だ、彼らはハイロードの片腕となる一族なだけに責任も重い。私は第二区画の文明を発展させつつ、悪役をこなさなければならなかった。


 悪役区画の構築は自由度が高い分、なかなか難しい。というのも、完全に悪役をやってしまうと文明は発展しようがない。それどころか悪役に憎しみが向いてしまって、素民が言うことを聞いてくれなくなる。


 悪役の役作りやらセリフ回しを勉強をする為に、ファンタジー小説やら昔の映画を何十本も妻と一緒に見たりした。さすがに胸やけがしたよ、私はこれでも善良な小市民だからね。悪役の役どころを色々研究した結果、最初は悪役と分からないようにしておいて、区画解放時に民を裏切り爆発的に憎しみを集める方法がスムーズにいくという結論になった。まあ妻がそう言うんだけどね。


 妻の言うことはいつも正しい、間違いない。別に恐妻家だってわけじゃないよ、愛妻家だと言ってほしいね。ちなみに私は草食系男子だ。


 区画解放されたときにハイロードに民の信頼をスムーズに引き継がないといけないから、邪教でもなんでも、宗教を利用するのが手っ取り早い。私は紛い物の神に変身して民の前に降臨し、でっち上げの伝説を吹聴してハイロードを邪神に仕立て上げ、ハイロードに対する憎悪を植え付けることに専念した。その結果、百年をかけてグランダという区画は城塞都市となり、建築技術も発展しハイロードを滅ぼすために金属精錬に長けた文明都市になった。これだけ文明が進めば、ハイロードも喜んでくれるだろう。


 密かに伏線も張っていた。素民たちを鉱毒病にして、『邪神のせいだ』とハイロードへの恐怖心を煽った。これが区画解放時にハイロードによって私の目論見が暴かれて、私を滅ぼそうとしてくれれば計画は成功だ。蘇芳一族の巫力を維持し、武術を教えて鍛え上げた。彼女たちには可哀そうなことをしたが、その目的で開発されているA.I.なのでほかの目的での運用はできない。どの蘇芳も私に従順で、その分感情の起伏に乏しかったが、キララという蘇芳は特に闘争心が高く気性が荒かった。突然変異というのかな。激情という点から見れば人間のようだったが、彼女はA.I.だ、感情表現も不器用だった。


 母親を亡くした憎しみを赤い神に対して募らせ、民を守ろうという気概は凄まじかった。彼女は正体の見えぬ鉱毒病を何とかしようと奔走し、巫力を鍛え祈祷を捧げたが、当然のように効果はない。民から受けるプレッシャーに、押しつぶされそうになっていた。

 彼女は孤独だったが、挫けなかった。いつからか笑顔を見せなくなったキララを、影で支え続けた女従者がいたからだ。名を、何だっけ……パティといったか。


 パティはキララの幼馴染で、昔からの遊び相手だった。いわゆるヤンデレというか、城に住み込んで年がら年中キララに付きまとい、彼女を溺愛していた。うん、恋愛感情なんだよこれが困ったことに。短命の蘇芳一族は15歳になると婿を探し始めるんだが、彼女が事前面談で勝手に全部断ってしまってキララに寄せ付けもしなかった。キララ様に釣り合う男がいない、んだと。……怖っ。


 パティのお眼鏡にかなわないかぎり、キララは独身のまま生涯を終えるんじゃなかろうか。そういえば私は度々キララに近づこうとしたけれど、何度となくパティに邪魔されたな。何か近づけないオーラを出してた。てか抜き身の剣持ってキララの部屋を護衛してた。そんな彼女の護衛(?)の甲斐あって、キララは私の姿を見たことがなかったし、直接アトモスフィアを授けたこともなかった。まあ、私が彼女に大気を介して授けていたのは、それほど強い巫力ではないんだよね。だからキララの寿命もさして削れてはいない、これは赤井君が喜ぶ情報かな?


 そうこうしているうちに区画が開放されて、赤井君が単身グランダに乗り込んできた。私はバカじゃなかろうかと思ったよ。彼がマニュアルを持っていないと知らなかったからね。そしてキララは赤井君を城壁に張り付けたんだが……実はこれ、パティの進言なんだ。キララのアイデアじゃないんだよ。正直、赤井君はリタイアすると思ったね。ところが赤井君も赤井君で辛抱強い男だった。私は赤井君をどうにかしないとと思ったが、区画解放中に悪役とハイロードは言葉を交わしてはいけないという決まりがある。私も身動きがとれなかった。


 私はキララに、赤井君を城壁から降ろして決着をつけろという天啓を何度か送っていたんだが、パティが「干からびるまで縫い付けておけばよいのですわ」と鬼畜進言してそのままになっていた。そういうやり取りをしているうちに気が付けば、一年も経っていたんだよね。許せよ赤井君。


 まあそんなこんなで今に至るんだけど、赤井君はグランダに来るときには気を付けた方がいい。逆に、キララはパティがいれば安心だけれど、パティは赤井君のことをよく思っていないからな。背後からサクッと刺されかねない。

 世の中には、文字通り神をも恐れない輩というのがいるからな。


「エトワールさま?」

 あ、嫌な予感がする。パティが振り向いた、もう目が怖い。女の嫉妬って怖いんだよね。私も何度となく経験があるから分かるよ、現実世界での話だがね。

「キララ様への祝福は、ずっとあなたがやって下さいましね?」


 赤井君、悪いことは言わないからパティの見ている前でキララとあまり親しくしない方がいいと思うぞ。


パティ怖っっ!!

私の愛弟子であるパティの隠された(嫌、隠してない)本性がっ(ガクブル)


「干からびるまで~」の発言に凄いキララへの愛を感じるっっ


私の書いた拙い小説から、こうまで愛と狂気の溢れるパティが生まれるとわっ

素敵なヤンデレを有難う御座いました!!


今日はきっとパティの夢を見そうですっ!!!(キラキラ)

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