『村人238番目くらいの人』
村人になって赤井様に祝福して貰いたいなぁ・・・
なら、村人になったらいいんじゃね?という妄想で生まれた小説です。
ぼくのなまえはアシー
この前ここのしゅうらくにきたばっかりだよ
ここにくる前にはどこにいたのか分からないけど・・・
父と母とあとほかの人といっしょに
ここにくるまでずーっとまっすぐきた
いくあては分からないけど
みんなまっすぐ、なぜかここにむかって
ついた時には、どうしてここにむかってたのか
ぼくでも分かった気がした
だって、あかいかみさまがいたから
あかいかみさま
メもカミもあかくて、とってもきれい
あかいかみさまは、はじめてあった時
ぎゅってだきしめてくれたんだよ
その時にね、ああ、ぼくらはここにいていいんだって
きっと、ぼくらはあかいかみさまに会いに
ここにむかっていたんだって、そうおもったの
あかいかみさまは変わらない
僕が大きくなっても、変わらずそこに在る
僕が大人になって、子を生しても
老いて、きっと死ぬまで
僕が大人になって、死ぬ時
見届けてくれるんだろう
きっと優しい顔をしながら、それでも寂しそうな顔をするのだろう
あぁ、願わくば、彼の人があまり悲しまない事を
人間である僕が彼にできるのは、きっとそう多くはない
僕の居場所をくれた彼
彼は優しくて強くて綺麗で、そしてとても残酷な人
僕は僕の居場所を、いつかは手放さなくてはならないから
僕が僕の居場所にいられる間は、残酷でそれでも世界一優しい人に
できるだけ笑っていて欲しいと、神に祈る
僕の絶対であり唯一のあかいかみさまに祈る
それが、僕にできるたった一つの贈り物
【原作者Lizreel様のアンサーSS】
あの、悪夢の日――。
集落の長のロイさんが、あかいかみさまは暫くかえってこないって言った。
僕たちを残して、どこか遠くに行ってしまわれたんだって。ロイさんはかみさまの行方を知っているんだろうけど、僕たちには教えてくれなかった。でも彼の言っていることは本当なんだろうと思う、何故なら彼は、かみさまの白い衣を着ていたから。かみさまが彼に託さない限り、彼がかみさまからそれを奪うことはできない。
とうぶん戻ってこないつもりなんだろう。
僕たちが協力して、あかいかみさまがいつか戻って来られる日まで、この集落を守っていかなければいけないんだってロイさんは言った。かみさまから全てを託されたロイさんは辛そうだった。それが何年後になっても、何十年後になっても僕たちがエドに負けず住み続ければ、彼はいつか戻ってきてくださるかもしれないって。かみさまと一番仲のよかったメグさんは、僕たちの見ている前では泣かなかった。彼らは前を向いて歩き始めた。
二人とも、ものすごく強い人だと思った。
二人はかみさまの考えを理解して、彼をとことん信じているからだろう。僕はあの人たちのほんの一握りほども、かみさまのことを理解できてなかった。僕はずっとかみさまといられると思っていた、勝手にそう、思い込んでいたんだ。
それがどれほどの幸せであるかも考えずに――。あたりまえだと思っていたことは、決してあたりまえではないんだ。僕は彼らと比べると、あまりにもなさけなかった。だからヤスさんに、狩りを教わった。僕だって少しでも、誰かの役に立つおとこになりたいんだ。メグさんやロイさんには追い付かなくても。
かみさまが去ってかなりの月日が経った。かみさまの祝福を受けられなくなってから、皆は少しずつ調子が悪くなってきた。腰がいたくなった人もいる、咳をしている人もいる。僕はまだ平気だ、元気でいなければと思ってごはんをたくさん食べて、よく働いているから。ロイさんは皆の希望をうけて、かみさまのしたように、やってほしいと言った人にだけ祝福をはじめた。僕はやっぱりかみさまの祝福がよくて、ロイさんのはうけなかった。
皆、最初は毎日のようにかみさまのことを思い出して話をしていたけれど、そのうち、僕は空に話しかけるようになっていった。かみさまがいつも、空から見てくれているような気がして。
ロイさんはまるでかみさまみたいに賢くてきんぞくという丈夫な刃物をつくり、メグさんはかみさまからもらったという植物を育てている。かみさまがいなくても、ちゃんと僕たちは彼の教えを思い出せば暮らしてゆけるんだ。
それを、かみさまは僕たちに教えてくれたのかもしれなかった。
人間のほんらいの強さを、僕たちに実感させてくれたんだろうか。でも僕は正直いうと、そんなことより、やっぱりかみさまに会いたいんだ。
ある日の朝、メグさんとロイさんが二人して集落からいなくなった。
湖の向こう側に行くって、数日以内には帰るから、って言って――。かみさまみたいに戻ってこないんじゃないかと思ったけど、僕たちは彼らの言葉を信じた。彼らは絶対に嘘をついたことがないから。
僕はずっと、湖の向こう側を見ていた。その日、湖の向こうはとても騒がしくて、おおきく波が立ったり、雷が落ちたりしていた。見たことのないほど大きな雲ができたり、こちら側にまで風が吹いたりもした。僕はなんだか恐ろしくなって、たくさんの大人たちも、何かよくないことが起こるんじゃないかと不安を口にしていた。
やがて空が静かになり、きれいに晴れあがりおひさまが見えた。
ロイさんとメグさんは無事だろうか。
すると湖の反対側から、紫の煙ののろしが上がった。あれはロイさんがいつも使うのろしの色。ロイさんが、僕たちのために無事を告げていた。みんな飛びあがってよろこんだ。そして数日後――。ロイさんとメグさんは、アイに乗って帰ってきた。みたことのない植物、たくさんのお土産と、そして……
『ただいま、みなさん』
あかいかみさまが、空からかえってきた。僕はもう、何が何だかわからないまま、まっさきにかみさまに飛びついた。色々と聞きたいことがあった、どうして僕たちを置いていったのかと、ひどいじゃないかといいたかった。でも、僕を抱きしめてくれたかみさまの手は、傷だらけだった。手首には、穴があいたあとがあった。前より体がごつごつしてやせているような気がした、彼は異国の地で長い間信頼の力をえられなかったんだと、ロイさんが集落のみんなに言った。ひどい目にあっていたのかもしれない。かみさまは何も言わなかったけれど、きっと僕たちのためにそんな目にあったんだ。僕は胸がいっぱいなって、もうなにも尋ねることができなかった。
「おかえりなさい、あかいかみさま」
いまはただ、僕の精一杯の信頼の気持ちを、彼に受け取ってほしかった。
END
Lizreel様から頂いたアンサー小説で、強くなろうと頑張るアシー君に萌えてしもうた。。。
はわわわ、私の拙い小説でここまで書いてしまわれるLizreel様に脱帽です。
一途な想いのアシー君が可愛らしい!!
素敵なアンサー小説を有難う御座いました!!