1.エヴァエニス
旅が好きだ。新しい出会い、発見、体験、未知の世界が広がっている。何千年も生きてきたが飽きない。日々、新たなものが生まれ変化していく。でも大切なものは変わらない。そんなことを感じるのも不死身なりの旅の楽しみだ。
今日も俺は旅をする。新たなものを求めて。
目的地はエヴァエニスと言う国。聞いた情報によれば、民度はとても良くて、平和な国らしい。小物などが良質で、様々な国の王族が欲していると聞いたことがある。
そしてパンが絶品らしい。すごく楽しみだ。
「まずはパン食って〜いろんな店にもいきたいなぁ。あっ金も稼がないと」
後、三日ほど歩けばエヴァエニスにつく。それまでは干し肉と硬いの寝床で我慢だな。
焚き火を消して俺は木にもたれ掛かっり、目を閉じた。
そんな生活を続けてようやくだ。
「やっと着いた」
エヴァエニスは大国で、とても広い壁に覆われている。
「身分を証明するものはありますか?それと背中の武器の確認をさせて頂きます。」
「お願いします」
冒険者証明証と武器を提出した。
「ありがとうございます。アルトレギウス様ですね。入国しても問題ありません」
「ありがとうございます」
さて、まずは金を稼がないといけない。ほぼ一文無しだからだ。
「とりあえず、ギルド協会にいくか」
着くとかなり人が多く、混雑していた。
とりあえずクエストの張り紙を見に行こう·····と思ったがどうやらそこが混んでいるらしい。
俺は近くのパーティーに尋ねてみた。
「すみません、何かあったんですか?」
するとリーダーらしき人が
「ドラゴンが出たんだ。しかも推定年齢が三百の化け物だ。それでギルド協会が緊急クエストを出してこうなったんだ」
「そうなんですね」
三百年も生きているとなると冒険者だけではキツイだろう。どれだけ高額でも受けようとは思わないだろう。
「国が討伐すればいいんじゃないですか?」
「今、国と強い冒険者は魔王軍の対応にあたっていてドラゴン討伐どころじゃないんだ」
おまけに国は動けないときた。最悪だな。ドラゴンがくれば周辺の魔物が強くなって、対応が大変になるだろう。
とりあえずクエストを見よう。
張り紙を見る。クエストは凶暴化した魔物の討伐、森の調査など、ドラゴンによる影響で危険なものが多くなっていた。
「ドラゴン討伐を受けてくれるギルドまたはパーティーがあれば至急本受付まで来てください!」
ギルド協会もかなり焦っているようだ。対処しようにも冒険者しかいない。その冒険者も階級が下のものしかいないときた。
楽なクエストを受けようと思ったが·····
ドラゴン討伐のクエストを受けよう。
旅で大切にしていることがある。それは人助けだ。理由は優しさは連鎖するとしっているからだ。優しさは温かくて心地がいい。人はそれを分け与えたくなる。だから優しさは連鎖する。
そうしてら世界は幸せで楽しくなる!だからこれも誰かへの優しさのお裾分けだ。
「すいませ〜ん、クエストを受けたいんですけどいいですか?」
「はい、冒険者を証明できるものとご希望のクエストを教えてください」
俺は冒険者証明証を渡し、ドラゴン討伐のクエストを希望した。
すると、証明証を見た受付嬢が
「えっと·····パーティーの方々はいらっしゃいますか?」
「いえ、パーティーは組んでいません。ソロで受けます」
「は?えぇ····ん?」
最もな反応だ。俺がしていることは自殺行為同然。単独でドラゴンを挑むなんて馬鹿のやることだ。だがしかし、俺はドラゴンを殺せる。
それをどうやって証明するかが問題がだ。
とりあえずクエスト履歴を見てもらおう。
「すみません、クエスト履歴を見てもらえますか?一応、四百年は冒険者やってて」
「え?よんひゃ──え?」
当然の反応である。そんな長寿に会うことないんでそうそう無いだろう。しかも、見た目はエルフじゃないし、獣人でもないし、人間で長寿なのは名のある英雄くらいだ。急にこんな若造みたいなのが四百年生きてるって知ったら困惑するよなぁ。
「か、かしこまりました。少々お待ち下さい!」
受付嬢のお姉さんは見たことないぐらい速い速度で裏に行った。
──どんなパン食べるか考えておこう。
「お待たせしました。確かに確認できました。
管理長からもクエストの許可がでたのですが、本当にクエストを受けますか?かなり危険ですし、せめてパーティーを組むとか?」
すごく心配をかけてしまった。確かにどれだけ強くても死ぬときは死ぬ。力に酔いしれているようなやつは特にだ。
「大丈夫です。死にませんし、油断もしません。だから安心して下さい。絶対帰ってきます」
安心させるの無理だと思う。だから絶対に死なないと約束し、何とかクエストを受けられることになった。そうして許可書を書き終わり討伐に向かおうとしていると一人の男が声をかけてきた。
「この度はクエストを受けてくださってありがとうございます!ドラゴン討伐応援していますぞ!」
身なりがそれなりに整っている。
「すいません·····あの人が管理長です。本当は許可が下りるなんてあり得ないんですけど──」
なるほど。だからたった数分で許可が下りたのか。普通は管理長が許可うんぬんを会議したりして、それなりに時間を食うはずなんだがな。
そして、このギルド長·····薄汚く笑ってやがる。俺がドラゴンを倒せば大きな功績になるし、死んだとしても一人でドラゴンに挑んだ馬鹿として処理されるだけ。どちらにせよ、気の良いことではない。なので俺は、あいさつだけして逃げるようにギルド協会を後にした。
と、いうわけでドラゴン討伐開始だ。情報によれば東の少し離れたところにいるとのこと。速く終わらせて夜には戻って飯を食いたい。急ごう。
「このあたりだよな」
目撃情報があった場所まで飛ばしてきた。とりあえず索敵魔法を使って居場所を突き止める。
「見つけた」
少し歩くが開けた場所がありそこにいる。
流石は三百年生きたドラゴン。かなりの覇気を感じる。だが、魔力が少しずつ消えていっている。
「──寿命か」
三百年ほど生きたと聞いてもしかしたらと思っていたが。このまま看取ってやることもできるが、龍族にとって戦いによる死は名誉であること。一種の誇りのようなものだ。
「ふぅ、やるか」
俺は今から三百年生きた命を奪う。その自覚を持ってこいつを殺す。覚悟を決めて、俺はドラゴンに向かって咆えた。
「ドラゴンよ!ここで野垂れ死んでどうする?龍族らしく誇りを見せてみろ!」
さっきまで弱っていたドラゴンが咆哮する。それに合わせて魔法を発動した。槍を形成しドラゴンに放つが傷ひとつつかない。なので、少し魔法を変える。
「死の魔法」
今度は大量の槍を形成した。再生できない、回復魔法も使えない折り紙付きだ。
槍を放つと同時にドラゴンもブレスを吐く。それは命をのせた強力なものだった。あたり一帯を焼け野原になった。死の魔法は死を乗せたブレスよって相殺された。
爆煙がなくなりようやく周りが見えるようになる。そこには血まみれで横たわっているのドラゴンがいた。死の魔法に紛れて投げた武器がドラゴンを貫通したのだ。
「まさか、あれをくらって生きているとは──相打ちだと思ったんだかな」
力ない声で喋りはじめた。
「喋れるのか、珍しいな」
ドラゴンの声からは幸せや諦め、終わりを受け入れるようなものを感じた。
「死に際を飾ってくださり感謝しかない」
長くはない命を戦いに捧げた誇り高い龍族。
「寿命で命が尽きることなく最後に戦って死ぬのは我々龍族にとっての誇り。それに貴方のような高貴な存在に殺される。これ以上の死に方はない」
俺は腰から剣を抜いた。
「あぁ、ありがとう」
俺は腕を振り下ろした。
誇り高い龍族はそうして息絶えた。
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