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異世界インタビュー ~転移者の世界の歴史  作者: ほすてふ


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008 中世3

 自分の感覚だと、明確な現世利益のある宗教はサービス業なんですよね。

 いや、自分の世界でもお守りとかは売ってたか。

 じゃあ同じなのかな。

 どう思います?


「わかるわけあるまい」


 ですよね。

 あんまり突き詰めて考えた事ないから説明も難しいな。


 まあ本題を進めましょうか。


 中世の社会構造についてお話ししようかなと思います。


 帝国が分裂崩壊した結果、中世になったような話をしました。

 その後の社会制度として一般的な形が封建制です。


 これは、奉仕のかわりに土地の管理権をもらうという契約と言えばいいでしょうか。場所や時代によって奉仕の内容は変わりますし、管理権が所有権だったりといった際はありますけど。

 一言で言えば「仕える」ですかね。

 上司と部下の関係です。

 君主と家臣って呼んでました、多分。

 このとき、家臣の家臣は家臣にあらず、という。わかりますかね。たしか陪臣って呼んでましたね。


 AがBを部下にして、BがCを部下にした時、CはAに従う必要はないみたいな。

 なんならBがAに抗議する案件になるかもみたいな。


 あくまで個々の契約なので、それぞれの別の相手との関係には影響しないってことです。


 それと、同時に二つ以上の相手に仕えるということもあったということです。

 大きな勢力に挟まれている場合などですね。


 基本的には、王様が多数の貴族相手にそれぞれ契約を結んで王国を構成するような構造になります。


 奉仕の内容ですが、出兵や税金、普請やその他ってところでしょうか。


 成立の背景に、帝国時代の駐屯軍の要素があると考えると、軍を維持するための土地であり、招集があれば即駆けつけるという関係がわかりやすいかと思いますね。



 その土地なんですけど。

 中世においては土地が非常に重要でした。

 いや、重要じゃなくなることはまあないんじゃないかとは思いますが、土地から生まれる一次生産物が主要な財でした。

 帝国時代はその広大な領域を生かした物流と様々な形での財や知識の蓄積があったわけですが、時代以降の経緯からして、広大な帝国から小さな社会の集合に世界が変わったんですよね。


 このことは非常に大きな影響を与えました。

 まずわかりやすいところで関所ですね。

 土地を与えられた家臣は領主となるわけですけど。

 関所を作ってお金を稼ぎますよね。

 ここを通りたかったらカネかモノを置いて行けって。


 小さな領地の集合になったことで、物流が不自由になりました。

 それだけではなく。

 人の流れもへりました。

 そうすると知識の共有もされなくなりますね。

 何なら秘匿の傾向が強くなります。

 なぜならほかの領地は潜在的な敵だからです。

 潜在的じゃない場合もありますが。

 群雄割拠の時代との違いは、和解を仲介する上司がいることですね。

 自身が使える君主であったり、宗教権威がまあまあまあとすることで本格的な争いが起きにくいイメージはあります。

 もちろん源はありますけど。


 さて、ヒト、モノ、カネが滞ると技術や知識も失われます。

 停滞するだけではなく。

 失われました。

 物がないなら関連知識や技術が継承されなくなるのは当然ですよね。

 カネがないなら余裕がなくなり優先度が低いモノから失われます。

 ほかに、技術や知識の抱え込みも行われた形跡があります。

 先ほども言った秘匿の傾向ですね。


 実際に、帝国崩壊から、数百年は技術や文化が衰退した時代が続きました。

 以前一言触れましたが、のちの時代に帝国時代の技術や文化を復興しようという運動が起きたんですが、その頃になってようやくといった感じですね。


 もちろんといいますか、そういう時代ならではの進歩はあったんですが。

 それを阻止しようとする動きもあったのが問題でした。

 それは足の引っ張り合いもあったのですが、善意と正義による悪の駆逐によるものもありまして。


 つまり宗教ですね。


「確認するが、そなたがこうして話をしているのは護身のためだったな?」


 いえ、この話はしておかないと骨抜きになると言いますか。

 自分のいた世界の価値観の中軸の一つなので外さずに語ることは難しいと言いますか。


 これまで話したことともつながるのですが、まず中世においては、宗教権威が強力な力を持っていました。

 帝国は崩壊しても、宗教組織は崩壊していないからです。

 いえ、分裂はしていたのですが、それでも世俗権力の分裂と比べれば断然力を維持していたんですね。


 数多くの国に、領地に別れた世俗の力に対し、宗教権威は大きな影響力を維持したのです。

 皇帝が破門されるくらいですからね。


 力があるものは振るいます。

 それは当然のことでしょう。

 宗教権威にとって最も重要なのは宗教的価値観の維持ですが、そのためにはヒトも、モノも、カネも必要になりますね。

 彼らは武力も財力ももつし、破門などの宗教的罰を背景に宗教内の法を作りますし、行ってしまえば第二の帝国、影の帝国とでも呼べる力がありました。

 そこらの領主程度では歯向かえない。

 そしてその力を維持するのにさらなる力を求めます。

 それは技術や知識の独占であったり、権益の確保であったりします。

 また、宗教的価値観から外れる者や物の排除も行いました。


 代表的なものとしては、魔女狩り、異端審問、猫の忌避、免罪符、聖戦などでしょうか。あとは教義優先で、自然科学の発見や研究をつぶしたなどもありますね。


 このうちのいくつかは根が同じで、正しい教えの追求という宗教的情熱が元になると言えるのですが。

 新たな発見や発明、あるいはその宗教とは別の、土着の言い伝えなどからくる知識などを排除する方向に働いたんです。

 正しい教えにそんなことは書かれていない。だからそれは異端で悪である。悪は排除しなければならない。そんな論法ですね。


 魔女というのは悪い魔法を使う女、という概念です。

 悪い魔法を使うものは異端です。

 猫は魔女が使い魔にする生き物だという噂がありました。

 宗教は異端に対して、非常に非情な弾圧を行いました。

 その宗教にとっての決定的な敵は異端だったからです。

 異教も敵ではありますが。

 異端は仲間の振りをしている敵なのです。

 どちらがより忌避感を煽るかというと、異端になるわけですね。


 そして聖戦というのは異教の勢力圏に、宗教の発祥とされる聖地が占領されている状況を解消しようと起こした大きな戦いなのですが。

 まずその宗教の根幹は隣人愛と非暴力とされているのですよね。

 そして聖戦の過程で自宗教の圏内にも大きな被害を出しました。

 小さく分かれた国々から戦力を移動させるのです。

 宗教的情熱を持った戦士や、宗教的情熱だけを持った若者や子供も居ました。

 路銀?


「口を閉ざすな。いやよい。想像は付く」


 免罪符というのはその宗教が販売した、これを買えばそれまで犯した罪は許されるチケットです。

 もちろん教えにはそんなものはなかったんですが、宗教の総本山がそれアリだよ、と認めれば通るんですね。


 ええ。

 腐敗と言うやつですね。いつだって権力と腐敗は隣にあるんです。


 やっていることがむちゃくちゃだなという顔ですね。

 そういう矛盾がまかり通るほど力があったんです。


 ただ言えるのは、それでも宗教は必要とされてきたということですね。圧政や暴政に等しい扱いを受けても、人々は宗教に心の安寧を預けていた。

 のちにはそういう状況に異議を唱える声も大きくなって、先日述べた数十年続く戦争が起きました。


 もう一つ言えるのは、世俗権力とは別の権威を生み出せば、世俗権力の興亡とは別のところで価値を維持することができるということでしょうか。




 ※記録者注

 宗教が重要な柱であるということはわかったが、それならばもっと表現のしようがあるのではないか。

 封建制について研究するならば差異の確認を第一に。


お気に入りと評価してくれたらうれしいな。

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