007 中世2
中世
「分裂し、独立する流れをもう少し詳しく述べよ」
わかりました。
治安維持や防衛のために軍事力を持たせた者が中央の混乱に乗じて独立する、という例が多いですね。
やはり、なにを置いても軍事力がなければ独立しても生き延びることができませんから。
例えば、地方の統制のために役人を送り込みますよね。
治安維持に必要な兵も連れて行きますね。
任期、まあ一年とか、数年を地方で過ごして戻ってくるわけです。
そのうち、役人は代官を派遣するようになります。
中央の政治から離れることを嫌うんですね。地方は田舎ですから生活レベルも下がりますし。
なので信用できる家人とかを代官として送り出すようになります。
あるいは、その地方の者に委託します。
中央の力が充分ならこれでも問題は出ませんし、本人は中央での権力争いに参加し続けることができますから、利点しかないように思われます。
続いて、軍事予算が削減され、地方に委託します。
中央にとって地方の治安など優先順位が低く思えるのでしょう。
世界帝国ですから外敵は格下。平和な時代であれば軍事予算は金食い虫、負担に感じるので減らしたく思うものが増えるのも当然です。戦争がなくいるだけの軍を維持するのがバカらしく感じるのかもしれません。危機感がなくなりますからね、平和だと。
そうすると地方は治安悪化するので、自衛のための組織を作ります。
これは中央と直接結びついていない武力で、主に地方豪族が支配するわけです。
これも中央の力が充分なら、地方は自前で治安維持してるし中央は予算削減できてよかったね、となります。
中央が混乱したら反乱が起きますよね。
委託している統治機構と軍事力は癒着するか、そもそも同一であることが多い。
地方の有力者なんて限られてますからね。
そして中央は予算削減で軍事力をもたないとなると。
ほかにも道筋はあります。
例えば、中央での政争に負けて都落ちした人が地方で力をつけて機会を練って独立や反乱するとか。
中央で権力争いをするような人々は地方のことはあまり気にしないのでね。地方に流れた時点で眼中から消えます。忙しいからね。優先順位下がるよね。
恨みを持つ人材が地方の軍事力と結びつくんで警戒しなきゃなんですけど。
都落ちした人材は地方で歓迎される、場合もあります。都落ちしても伝手は残っていることは多いですから。
地方は中央への伝手が欲しいので。情報や、地方の要望を伝えるためですね。要望がかなえられるとは限りませんが。
ただ、地方の軍事力を利用したい権力者は利用するために手懐ける場合もあります。
その過程で、地方支配の追認が行われる場合があります。地方の権力者が一番欲しいのはそれなんで。
そうやって合法的に支配権を手に入れる場合もありますね。
反乱することのほうが多いかも。
反乱がおきた場合、派遣する戦力を、そういった地方軍閥に委託する場合も出てきます。
あれやこれやで徐々に地方に力が分散していく。
こうなると独立待ったなしですよね、ということですね。
また、派遣した軍には軍を維持するための費用の徴収権を付与されますよね。
軍事力と、税の徴収権というのはほぼ国の成立要件じゃないですか。
なので派遣した軍の指揮官と中央の間に問題が発生した場合、離反してそのまま独立する場合がありますよね。これは地方の軍閥を使った場合でも、中央からの軍の場合でもあることです。
まだありますよ。
異民族を取り込んで辺境守備に使った例がありまして。
中央が混乱したら独立しました。
まあ当然ですよね。
ここまでは軍事力のことを中心に話しましたが、次は原因の話をしましょうか。
まず圧政や重税によるものです。
この場合は恨みに思って、というわけではないですね。
反乱するか死ぬかしかない状態で後がないのでそうするしかないから起きる反乱です。
こういう状態の人を無敵の人、なんて呼んでましたね。死んで元々なので通常なら選ばない高リスクな選択をするためです。
窮鼠猫を噛むという言葉があります。
あるいは崖ギリギリまで追い詰められたら、絶対に勝てない相手に反撃しようとしたり、崖に飛び込んで逃げようとしたりするとか。
帝国時代の統治の手法に、パンとサーカスという言葉がありました。
お腹が膨れて日々の楽しみがあればとりあえず満足して反乱とかまで考えないから、それらを提供すれば民は問題なく扱えるということですね。それはそれで問題があるんですが。
ほかには民族対立、宗教対立による反乱です。
これは一つの国という合理に基づく価値観とは別の価値観によっておこるパターンですね。
民族を丸ごと無敵の人にしてしまったり。あるいは対立している者を放置して恨みを蓄積させたり。民族の歴史を把握しておかなかったラ突然発火するように見えるかもしれません。
宗教の場合も、別の宗教が流入してきた場合や、宗派が異なる者同士の対立が火種になります。
どちらも自分たちが正しいと考えているので止まりませんし、国の都合と別のところで起きるし、宗教的熱情は道理を超えます。
扱いを間違えると大人しくしている信者たちも立ち上がるかもしれませんし、身内に経験なしじゃがいて突然指してくることもあります。きわめて厄介です。
回避するためにはですか。
まず国に対する帰属意識を高め、上から下まで意識を統一して分断されないようにすること。古代の思想のところでちょっと述べたやつですね。
帝国はこれが難しいのですよね。
国内の民族対立を防ぐなら民族ごとに国を作ればいい。
宗教対立を防ぐなら宗派ごとに国を作ればいい。
そうやって細分されると小国になってしまう。
そして、権力者が不当な利益を得ていると思われてはならない。
偉い人は腐敗していて俺たちは苦しい生活をしている、と認識されると分断を煽られる隙になります。
誰にって?
国の敵ですよ。反乱したい人とか、敵国とか、国とは別の価値観を持つ権威などです。
ありとあらゆる分断の種は狙われると思ってください。
男女すらそうです。年齢、世代もそう。
逆に敵国に対してそういう分断工作は有効ですが、逆輸入されて滅んだ国もあるのでこの世界にそういう概念を持ち込むのはよくないかもしれませんね。
今ここで、この瞬間に持ち込まれているんですけど。
ええ。
嘘じゃないのはわかりますよね。
嘘発見の魔法は反応してないでしょう?
「気づいていたのか」
自分ならそうしますから。できるのであれば当然の行動です。お互い気にしないでいましょうよ。
いつか誰かが気づくことですしすでに発見されているかもしれないですから、と思いますよ。なんか1000年後を見通す策謀家とかが必殺の謀略として抱えてたりするんじゃないですかね。
対策を考えられる優位を手にいれたと考えてもらいたいですね。自分の身の安全のために。
反乱や独立への対策というのは、つまるところ細やかなケアの蓄積ではないかと思います。
あと敵の工作員への対処。
反乱する側も、反乱しなければならない状況でなければわざわざ命がけで反乱なんてしません。
宗教対立についてはわかんないですね。
自分の世界でも完全に解決していません。
一時的かつ限定的な解決はありました。
宗教から武力を完全に取り上げて、政治から引きはがすことです。政教分離という概念ですね。
「それは、可能なのか?」
その例では武力を取り上げる過程で虐殺が行われたこともありました。
群雄割拠の時代を終わらせた覇王と敵対し続けたのです。
覇王の側は「宗教は政治や軍事から手を引き、腐敗した体制を正して、民を安んずるという宗教の本来の役割を全うすべし」というスタンスを貫いていて。
あ、そうです。
当時の宗教はめちゃめちゃ腐敗してましたね。
それくらい極端なで大胆な改革を断行しないとダメでしたね。
ほかの国では数十年の宗教戦争の結果、嫌気がさした人々が政教分離しようって思いついてそうしようかという流れがあったりですね。
あまりにも社会に対する負担が重くなった結果、他の宗派、宗教に対する寛容の心が芽生えた感じで。
ただその結果、後世別の問題が生まれるんですけど。
それはまた別の機会ですかね。
※記録者注
こいつ懲りないのか。
お気に入りと評価してくれたらうれしいな。




