006 中世1
改めまして、助けていただきありがとうございました。
教師の派遣もですね。なかなかうまくいきませんけど。先生に呆れられてます。申し訳ないので回数を減らしてくださっても。自主練しますから。
「そうか。まあ通常何年もかけて身につけるものだ。そのように伝えておこう」
ありがとうございます。
それで、どこまで話しましたっけ。
ああ、次の時代の話に進めるってことでしたね。
では帝国の崩壊の話からですか。
帝国の崩壊は、分裂と外敵、そして内乱によりました。
長期にわたる統治は政治体制の疲弊と腐敗を蓄積し、過去の統治上の失策のつけなども重なっていきます。
例えば分割統治。
統治コストの節約にもなりますが、一つの国という認識が失われてしまいます。
地方の権限を強化しすぎるのも同じですね。
独立して別の国になったり、実質的にそうなったりするわけです。
もちろん、現地の対応速度を上げるために必要な場合もあります。外敵や反乱が起きた際に迅速に対応するには相応の権限を与える必要があるでしょう。
派遣する軍に一時的な統治権限を与えたことで現地で軍閥となった例もありますね。
次は外敵です。
かつては軍事力、体制、思想、技術、様々な分野でトップであった帝国ですが、長い時間をかけて他との差が小さくなっていきます。
近隣国への伝播、流出が起きますよね。
鉄器や戦術の流出もあります。
別系統の技術革新もあるでしょうし、帝国側での停滞もあります。
近隣の異民族は帝国が弱れば与しやすい獲物として襲い掛かってきます。
そして内乱。
長い統治が腐敗をもたらすことは先日も述べました。
腐敗は一部による利益の独占ですから、それ以外の人々はヘイトをためていきます。
また、上を軽んずるようにもなります。
具体的には皇帝暗殺が当たり前に起こるようになりました。
「皇帝が暗殺されるのか!?」
そうです。
20年で5回皇帝が変わるようなイメージですね。
人心が離れ、統制が乱れるとこうなるわけです。
皇帝を傀儡にして皇帝の周囲、外戚などが好き勝手したり。
皇帝の立場自体を力で奪われるようになったり。
帝国の末期というのはそんなもんです。
どうにか立て直そうとして、立て直した例もありますが、滅んだときは立て直せなかったということですよね。
これらは独立した事象ではなく、複合的に起きます。
皇帝が軽んじられるから地方が独立し、民が不満を溜め、役人は汚職し、国が弱体化して異民族が攻めてくる。状況をおさめられないために皇帝が軽んじられる。といったように。
そりゃ滅亡するわって感じのマイナスイベントのオンパレードというか。
そうならないようにこまめなケアが必要なので、大国を維持するのに腐敗とかしてる余裕はないんですけど。
権力を持つと万能感と正常バイアス、自分だけは大丈夫という錯覚に陥ってしまうのか。目先のことに夢中であとのことなどどうでもよくなってしまうのか。
で、ここまでは腐敗を軸に語りましたが。
別の要素もあります。
その一つが宗教です。
また宗教かと、いい加減にしろという顔をしてますね。
ですかこれを言わないわけにはいきません。大きな要素の一つなので。
宗教の国教化で、宗教の力がますます強くなり、国の政策にも影響するようになりました。
先日も述べたように、宗教の教義が世相と比べて時代遅れになる事例が実際に置き始めたのが帝国衰退期と重なるんですね。
これは腐敗ともセットで帝国の統治に負担をかけていきました。
極端な影響を挙げると、帝国の皇帝は国教のトップが任命することになったり。
まず皇帝と教皇が主導権を争うようになった時点で国としては揺らぐのですが、立場が逆転してしまったわけです。
ほかに、国教の協議の解釈に関する対立が生まれて、分裂を後押ししました。
宗教は根本の教えを変えず時代に合わせるため、あるいは正しさを求めるためなどで教義の解釈について意見が割れることがあります。
ここに腐敗も合わさることで、利益や正しさ、現実的視点など様々な観点から理がある主張が生まれます。
どれも理があるということでそれぞれに公園がつき、派閥となると争いの規模も大きくなります。
さらに世俗勢力の争いとも結びつくことで、国の分裂への圧力がより高まるわけですね。
有力者が宗教的な善行を積むことが美徳となり、価値観が宗教に偏っていくということもありました。社会の風潮というものが強い帝国ではなく素晴らしい宗教を尊ぶようになっていくのです。強さを尊ぶ風潮を抑えるためにそのようにしたのだから自然な動きと言えるでしょう。
また、民を大人しくさせるために採用した国教は禁欲をよしとするものでした。
禁欲は状況によっては美徳です。
しかし、発展を損なう側面もあります。
欲望と競争が発展を促すので、競争心を抑え、禁欲を強いる宗教は国の持つ活力を低下させることにつながりました。
学究活動は多角的な視点が重要です。一つの視点から出は行き詰っていたことが別の視点によって突破口が開けることもあります。
しかし、宗教的価値観が広まると、教義の研究に知的リソースが奪われますし、視点が狭まります。
さらには、過去に有益であった文化が禁欲を名目に禁止され、結果のちの世に悪影響を与えるような事態もありました。
文化というのは、経験則で有益であったために続けられ、広まったものも多くありました。
国教となった宗教は他の宗教由来の文化を非難し、攻撃することでその地位を高めた側面もあります。
のちの時代に、最盛期のそれらの文化を再発見する運動が起きるくらいには、失われたものが大きかった。
なかでも、衛生観念が低下したことは歴史的に大きかったと言えるでしょう。
世界帝国となった帝国の国教がもたらしたものは相応にありました。
しかし、結果として帝国は滅び、その宗教は残ります。
帝国が持っていた権威を乗っ取ったという見方もできるかもしれません。
結果として帝国は分裂し、複数の王国が生まれますが、基本的にはその宗教の影響下にありました。
さて、今回は最後に外敵の話をしましょう。
外敵とは基本的に異民族を指します。
弱体化した帝国は異民族の流入によって滅びました。
その過程も単純なものではありません。
まず、帝国内に軍事的な気風が薄れていくことで、異民族傭兵を使うようになりました。
異民族は帝国の外で争い合っており、単独では帝国を脅かすほどの力を持っていませんでしたが、それぞれ争い力をつけていきました。
さらに、帝国に近しい立場を取った異民族に宗教や文化が伝わり、人材や資源の出入りも増えていきました。
帝国外縁では帝国とそれ以外の境界があいまいになって行ったのです。
そして帝国の力を後ろ盾にして力をつける異民族も現れます。
そうなるともう帝国の一地方くらいなら対抗出来る勢力になってきます。
今回最初に述べたように、十分に弱体化した帝国と十分に強くなった異民族は立場が逆になってしまいます。
また、強力な外敵として遊牧民がいました。
彼らは生まれたときから馬に親しんでいる生粋の騎兵で、全員が強力な兵士です。
農業に向いている地と遊牧民が好む地の性質が異なることで、普段はすみわけがされているのですが。
何かの拍子に強力なカリスマが現れると非常に強力な軍団が生まれて大暴れするんですね。
彼らが直接侵攻してきたり。
彼らが暴れることで民族が玉突き事故のように押し出されて大移動を起こす事態が起きました。
「遊牧民とはそれほど強力だったのか。いや、似たような構造の脅威は心当たりがある、か」
はい。
結果として、帝国は崩壊し。
帝国の後継を主張する国が構成たくさん生まれることになりましたね。
そのあたりからの時代を自分の時代では中世と呼ぶんですが、当時はもちろんそんな言葉はなかったでしょう。
一度大帝国に統一されたけれど、再び群雄割拠する時代が訪れます。
かつてとの違いは、帝国時代を介したことで生まれた概念の存在でしょうか。
中でも、帝国関係なく権威を維持した宗教は末永く世界に影響力を振りまくことになりました。
※記録者注
転移者行方不明事件のため、期間が大きく空いた。
転移者に自衛能力を持たせることになったが多難そうである。護衛の人選も気を使うため頭が痛い。
お気に入りと評価してくれたらうれしいな。




