表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界インタビュー ~転移者の世界の歴史  作者: ほすてふ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/13

004 帝国2

「帝国に至るまでにあったという王政とは違う政治制度について述べよ」


 今回はいきなりですね。わかりました。


 では民主制と共和制について。


 民主制は、王ではなく、民全員が政治に口出しできる制度です。全員と言っても市民権を持ち軍に参加する者たちに限りますが。当時は成人男子全てですね。

 欠点が多く、しかし有力な制度でもあります。

 一時期は特に文化や技術が進んでいたとされる地域の連合の盟主となった都市国家で採用されていましたね。


「欠点が多いのにか」


 そうです。欠点はなんだと思いますか?


「民に政治のことがわかるとも思えぬ」


 そうですね。

 たぶん、最大の欠点は、すべての政治参加者が、立場はともかく政治に対する意欲をもち、情報を集め、考え、判断できるだけの能力を持ってなければならないという条件の厳しさです。これを満たせなければ容易に衆愚政治や金権政治に陥ります。

 衆愚政治とは、愚かな民衆による政治という意味ですね。政治に興味がなく、自分で判断せず誰かに言われたとか知り合いに頼まれたなどで意見を決める。あるいは情報工作に騙されて扇動される。そういった状況です。

 金権政治は票をカネで売り買いするような状況です。


「まさに愚かなことだ」


 ですね。しかし、最盛期はそんな国が最先端地域のトップだった。状況によっては非常に強力だった。

 もちろん、ほかにも弱点がありまして。

 国の規模や状況が大きくなると参加者が把握しなければならない情報が多くなりすぎること。そうなると政治に対する意欲があっても正しい判断が出来なくなりますね。

 緊急性の高い状況での動き出しが遅れること。重要な決め事は全員で決めなければならないので。

 そもそも、労働を奴隷に依存して政治に携わるための時間を確保する必要もありました。裕福でなければ成立しなかったわけです。


 有利な点は、やはり全員でかかるという当事者意識と、制度を成立させられる教養の高さ。戦が起きれば軍人になり命を預け合う関係です。

 戦もそうですが、国という集合を強くするのは皆が同じ方向を向いていることが第一です。

 この制度が成立するということは、逆説的に裕福で、士気が高く、教養があり、仲間意識も強い国であるので、それは強くなるよねとは思いますね。


「王や貴族がおらずともまとまるのかと思ったが、皆が貴族のような者だったか」


 そうかもですね。


 次に共和制ですが。

 王ではなく、選挙で選ばれた人物が政治を行う体制ですね。

 世襲させず、有能な人物を選出するために、執政者には任期と、暴走をけん制するシステムが組まれていました。

 これは、王を追放してできた制度だからではないかと思います。


 嫌そうな顔をしないでくださいよ。

 例えるなら、貴族と民が団結して王を追い出すような政情だったということ。

 国全体の意思統一が重要だって先日も……あれ、言いましたっけ、言い忘れたかも。


 民主制と王政、貴族制などの長所と短所を少しずつ合わせたようなところがありまして。

 独裁の腰の軽さ、有能な人物による施政、暴走を防ぐ安定、挙国一致の一体感などが長所。

 選挙を基盤とする動きの重さ、衆愚化、癒着、時代の変化についていけない層が没落し、機能を果たせなくなるなどの弱点がありました。


 ただ、この体制の間に広い版図を得たこともあり、時勢に合致していたと考えられますね。


「この話はあまり詳しくないな?」


 わかりますか。通り一遍のことしか知りません。

 面白エピソードみたいなことはいくつか話せますけど。


 あ、はい。

 どれから行こうかな。


 世界史上有数の強い王が大陸を横断する遠征をおこない大帝国を作り上げたんですが、王が亡くなったら後継者の座を巡る戦争になって一代で滅んだ、とか。


 あ、面白くないですか。

 そうですね。


 ではこれは。

 また別の帝国を築いた皇帝がいました。

 厳しい法を徹底した運用させることで国内を統制する手法で強国を作り上げ、群雄割拠の時代を終わらせたのですが。

 しかしその皇帝がなくなると各地で反乱が勃発し、間もなく帝国は滅びました。


「そんな話ばかりか?」


 いえいえ。

 法治と徳治という対立する考えがあるのですが。

 法治とは法による治世をよしとする考え。

 徳治とは徳による治世をよしとする考えです。

 徳というのは君主の人望ですね。


 法を定めれば、法の抜け穴を探し、合法的に悪いことをするものが増え、法に依存するとそういう者たちをさばけない。

 ではどうすればいいか。

 徳に依って治めるのがよい。

 君主が模範となり、道徳を広め、正しい心を持てば悪いことをしようとするものは居なくなる。

 強いカリスマを持つ君主がいれば、下の者は自発的に良い方向に進もうとするものだと。

 そんな感じの考えなんですけど。

 どうもいます?


「夢のような話だな」


 そうですね。仮にすべて正しいとしてもそれだけ強力なカリスマを持った君主が常に君臨しているかと言えば歴史的に見てそんなことはあり得ないので現実的ではないです。

 大陸を横断する大王国をつくったカリスマ征服王も、いなくなれば国が滅びました。

 逆もそう。

 抜け道は随時うめていく形で対処するとしても。

 厳しすぎる法は人々を消耗させて、代替わりで隙が出来た途端に反乱が起き手滅びました。


 ほどほどの法とほどほどのカリスマで治めるのが良い統治システムなのでしょう。

 が。

 そのさじ加減はどれくらいが正解なのかということになりますね。

 はい。

 正解は自分の時代でも見つかってません。

 時勢によっても変わるでしょう。

 絶対の正解はなく、そのバランスは生物のようで、都度調整できなければ国が滅ぶと。

 腐敗と革命をくり返すのが運命なのかもしれませんね。




 ※記録者注

 不遜な話が次々に出てひやひやする。

 殿下が「正しい」国について考え始めるならお泊めしなければ。

 正しさよりも現状の延長であることの方が重要だと考える。

お気に入りと評価してくれたらうれしいな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ