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異世界インタビュー ~転移者の世界の歴史  作者: ほすてふ


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「物事をよりよくしていくにはどうすればよいか、という方法論はないのか?」


 前回の話の終わりの話題ですか。


 そうですね、ありました。今回はその話ですね。


 まず現場の人間のモチベーションが高いことが大前提です。

 最低限、改善点を見つけたものに褒賞を与えることは必須でしょう。

 やることを変えるのは抵抗があるものですので。

 皆さん、変わりたくないめんどくさいお前ら改善提案とかするなよ絶対するなよって思って互いに見張ってます。

 それを超える士気を持たせないと始まりません。


 その上で、言い方は悪いですが、バカでもできるように可視化して、情報を吸い上げられるようにしてください。

 要領が悪い人には要領が悪い人なりの視点があります。どんな情報もバカにしないで受け止めてください。それが改善を命じる者に最低限必要な姿勢です。


 可視化というのは、なにをどう報告すればいいかということですね。

 例えば危険そうなことがあればこの用紙に書いてどこそこに届けてね、とかそういうことをしっかり示しておくことですね。

 いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どのように、ということを提示しておくことです。

 余計な頭を使わなくてもいいように事前に取り決めておくことです。



 最低限の準備が出来たら、改善していく手順についてですが。


 普通、何かするときは計画を立ててから行動しますよね。

 この計画段階で目的、目標などを共有し、理解させます。

 行動する際には記録をつけ、計画を意識しながら実行させます。

 これに、評価するという工程を追加します。

 復習、反省、検証、そういうことをします。よかったこと、悪かったこと。計画は達成できたか、早く終わったとか、遅く終わったとか、精度はどうだったとか。それはなぜかと付き詰めて検討します。確認すべき評価基準を事前に用意しておくべきでしょうが、思わぬ視点からの改善点が見つかることもあるので、きっちりしすぎてもいけませんね。

 問題があったり、よりよくする方法が見えていればそこに現れるのでこれを次の計画に組み込んでいきます。


 これをくり返すことで徐々に物事が改善されていく。


 という理屈なのですが、理解が浅いと空回りして無駄に終わります。


「どういうことだ? 分かりやすいと思うが。聞いていれば当たり前のことでもある」


 よくあるのがめんどいから適当にやろうぜという精神で形だけの会議が行われるだけになるパターンですね。

 当然なにもよくなりません。


 次に、精神論に流れるパターンですね。必要なのはどこまでも現実。客観的な観察と判断、合理と論理です。

 努力が足りなかったとかもうちょっと頑張ればとかの意見が出て採用されるようだと変わらないか悪化するでしょう。


 今のは士気が低い場合と士気しかない場合ですね。

 ほかにも、計画の理解が浅い、行動の意味が解っていない、なにを分析すればいいかわからないなど。

 改善の流れも、作業の流れも理解していないとうまくいきません。

 どちらもしっかり共有する必要があります。


 一回やって満足して継続しないなどもありますねえ。

 繰り返すことで継続的な進歩を目指すものですから一回ではちょっと足りませんよね。


 自分の世界では計画、実行、評価、改善の頭文字をとってこの一連の流れの名前がついていました。


 これはもともと工場の作業の見直しから生まれたというか、言語化され形にされた概念なのですが、多くのことに通用します。

 卑近なものでも、そうですね、遊びや異性を口説く際にもですね。


 最も力を発揮するのは発祥である工場の品質管理だろうと思いますが、計画を立てて行うことにはほぼほぼ使える考え方ですよね。


 一方で計画を立てる余裕がない場合には無力です。

 いままさに襲われているときとかですね。


 戦争で初めて会う強い相手と一騎打ちすることになった、とかだと駄目でしょう。


 そういう場合はもっと短期的な考え方が必要ですよね。

 どうしますか、一当てしてみて様子を見て行けるかどうか判断してまずそうなら逃げるとか時間を稼ぐとか決めたりどうしようもないから突っ込んで名誉を守るとかもあるんですかね。

 そういう短期的な観察と判断を行う流れもあるでしょう。




 重要なこととして、客観的な考え方ができるように教育すること。


 そして、物事を分析して名前をつけてわかりやすくすること。これは賢い人がやってくくれれば、自分のような凡人も改善活動に参加できるわけです。


 物事の要素を取り出して一つ一つ検証すること。

 簡単に見える作業でも分解すると多数の動きの集合で、数多くのノウハウが生かされていることがわかります。

 例えばいつも使用人のお姉さんに美味しいお茶を淹れていただいていますが、これも分解すれば多くの工程に分けられるでしょう。

 そういう中から共有できるものを抽出して広めることでも、全体の効率化は進みますよね。


 そういった取捨選択をする指揮者には特に有能でやる気があるものをおかなければなりませんが、士気が低い者を軽く見ずうまく使う度量も求められます。きっとそこが人選で難しいところなんじゃないかと思いますね。

 士気が高い人はたいてい低い人を見下すし敵意を持つことすらあります。


 世の中の半分は平均以下で、ボリュームゾーンは凡人でしょう。

 何かが平均より低い人を切り捨てると半分を切り捨てるのと同じことで、有能な者だけでなにかをしようとすると世界のほとんどを切り捨てることになります。


 有能ではない人をうまく使うことが人間社会では必要なことで、そのためにはわかりやすくすることが必要です。


 そう考えるとバカの視点こそ重要になってくると思いませんか。


 もちろん天才の飛躍は極めて重要なものです。

 ですが、天才が作った突破口を広げるのは秀才で、秀才を支えるのが凡人以下の大勢なわけですね。

 バカにしていいリソースではない。


 そして、そう考えると教育による底上げの重要性も感じませんか。

 危険もですけど。



 さっきから偉そうなことを言ってるような気がしてきました。すみません。


 例えば今の話を農業に生かすとすると、農業に関する要素を分解して一つ一つ検証しなければいけません。

 さらに天候など制御できない要素も考慮して評価しなければならず、まあまあ大変ですし見落としも多くなりますよね。

 なので記録できることをなんでも記録しておくことが大事だと思います。

 将来予定外に何かの役に立つこともあるでしょうしね。


 客観的な判断のためには記録。記録です。




※記録者注

 日報で資料庫が埋まりそうだ。

お気に入りと評価してくれたらうれしいな。

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