003 帝国1
昨日は2話投稿しています。
日を改めてもらってありがとうございます。今日もよろしくお願いします。
今日は古代と呼ばれた時代についてお話していきたいと思います。
「古代というと時代遅れということか」
そうバカにしたものではありません。
この時期に現代まで通じる思想や宗教、学問が生まれています。様々な政治体制が試され、生き残りをかけて大いに争い、古代帝国が誕生してもいるので。
ええ、はい。古代と付くからにはすでに滅んでいます。現在の大国がその帝国の後継を主張しているくらいには、民の心の基盤として残っています。
前回の話とも重なりますが、農業を営むようになった人類はクニを構成するようになりました。
農業は作業量が多く、開墾や治水などは特にマンパワーを必要とする大事業ですから、人手というリソースを集め、効率化することで利益を高め、富を蓄積していきました。
しかし、財があるということは奪えるということでもあります。
狩猟民や遊牧民にとってはねらい目の獲物になりました。彼らは常に先頭技術と通じる技術を使って生きているので、農耕民よりも強かった。
また、農耕に手を出すということは収穫によって収入が依存するということです。不作が起きれば大きな打撃になります。そうなると同じ農耕民も資源を奪いあう敵となります。
富を得た結果、敵が増えました。
これに対抗するため、役割分担が生まれます。
戦闘者と労働者。
さらに、それらを管理する者。
身分の誕生です。
はじめはお互い様の役割分担だったと考えられていますが、実用的に命令系統が生まれます。管理者、戦闘者、労働者の順の序列でなければ効率が悪い。もっと細かな改装に別れたクニもありました。
王や貴族につながる要素ですが、古代には王政以外にも寡頭制や共和制、民主制なども生まれています。どの政治形態がベストなのかは今でも議論の余地がありますが、一旦帝政に向かいました。
クニの強さは生産力や技術などで決まりますよね。生産力があれば人口が増えますし、技術の発展で施設や兵器が強化され、狩猟民や遊牧民に対抗できるようになります。
そしてほかの農耕民のクニとも。
金属器と農業による生産力を得たクニですが、様々な理由で争ったり争わなかったりしながら統合して大きな国になっていきました。
多くの場合は争いによるものだったでしょう。
農耕国同士の戦いはひどく簡単に発生します。
不作です。
農業は多くの人口を支えられますが、天候や災害で収穫が減ると一気に大量の民の命が危険にさらされる。当時のクニは大きくない共同体でしたから、無事だった場所から物資を輸送するというわけにもいかず。近隣のクニも同じ不作であったこともあるでしょう。
そうなれば生存競争。
生きるか死ぬかとなればなりふり構わなくなるのはいつの時代も変わりません。
これが農業国同士のああそ位で最も多くの要因でしょう。
そうして争い合っていくと、クニは統合されていきます。
クニ同士で争うようになると、予防的に他国を支配下に置いておくことも必要になってきます。
しかしですね。
統治技術が発展しなければ大帝国までたどり着きません。
軍でにらみを利かせられる範囲は移動能力や通信能力によって限界がありました。
軍だけでは管理しきれない範囲を統治するには官僚機構を必要とします。
そして軍と官僚を維持するための税制。
税制を成立させるための文字による標準化が有利に働きました。
「標準化とはなんだ?」
使用する文字の統一、それによる記法や、計数の単位の統一などですね。共通するルールを定めることが統治の前提と言えると思います。
これを統一できないなら一つの国ではなく強い国と属国、のような関係でしたね。多分。
三千年から二千年前くらいに、国々が相互に争い、様々な知識や技術、体制の試行錯誤が行われ淘汰されていきました。
最終的に古代帝国、世界帝国とも呼ばれる巨大な帝国が生まれます。
しかしのその前、試行錯誤の段階で、人類の英知の礎が築かれたと言えます。
最初に述べたように、現代まで通じる思想や宗教、学問が生まれたのです。
人類が本気で生きることについて考えた時期だったのだと思います。
例えば王や将軍ならば必ず熟知しておくべきと言えるような戦に関わる思想。
統治に有益な法の重要性を説く思想。
逆に法を否定する思想もありました。
巨大な建築に必要な数学。
強固な城砦が生まれ、攻城兵器が生まれ。
世界の多くを支配する宗教が生まれ。
金属器が青銅から鉄に進歩しました。
ほかに何があったかな。当然まだまだあるんだけど、思いつくのは……。
「戦に関わる思想について詳しく述べよ」
ですよね。残念ながらニワカ知識ですから、誤解を生みそうで怖い、ということを改めて言っておきます。
これは、この時代に生まれ、数百年のちに人類有数の多彩な天才であった覇王によって整理されたものが伝わっている思想書です。数百年の間に誰かが勝手に変えたり追加したり減らしたりしたかもしれない物を整理したということですね。
そしてこれには自分の解釈するところでは大きく二つの重要な点があると。
ひとつは、戦いは武力の行使のみを指すものではなく、もっと大きな視点で扱うものである。
もうひとつはとにかく情報が重要である。
ええ、元は非常に美しい文章なのですが、一言一句を覚えてはいないので。
詳しく述べると自分の誤解が多く入りそうなのですが。
「述べよ」
はい。
まず、戦争とはやったら負け。損。戦わないで勝つべき。むしろ勝敗とかいう土台に立たないのが最強。
最初にこのような感じのことが述べられています。
はい。反戦思想と言ってもいいくらいです。
あ、興味を失うのは早いですよ。
戦いとは有形無形のリソースを大量に消費して、国家存亡をかけて行うものであって、確実に勝てる時以外は戦ってはいけない。逆に確実に勝てるなら必ず戦うべきである。そう言ってますから。
「あらかじめ確実に勝てるなら苦労はせぬ」
あらかじめ勝てるか判断するための情報の集め方と、判断に必要な基準を示しているのがこの思想なのです。
続けていいですか?
はい。
とにかく戦いは損なので、これを避けるべきである。
戦いを有利にするための敵の謀をつぶす。
外交で味方を作り敵を孤立させ、敵が攻めることをためらわせる。
国を強く保ち攻められる隙を見せない。
軍事は内政、外交の下位にある手段に過ぎないということを強調していたように思います。
武を練り保つことは前提で、しかし鍛え上げた武力を使うのに固執することは順序が変わることである。
そして戦争は騙しあいである。
軍を率いるものはそれを知り、忘れてはならない。
そしてそれゆえに正しい情報を集め、相手に偽の情報を与える。これは一朝一夕にできることではないから日ごろから備えなければならない。これを怠るのは人道に反する。なぜならそれで多くの味方が死に、国が亡ぶからである。
そして戦いが避けられないなら短時間で終わらせるべきであるから、やはり準備と情報を、と。
え、はい。
最初に言いましたよね。情報が重要だと。
中でもよく知られている一文にこうあります。
彼を知り己を知れば百戦殆からず。
敵と味方に付いて正しい情報を持っていれば間違った判断はしないということです。敵だけではないですよ。味方もです。
味方について考え違いをしていることで敗北した事例は世界中で無数にありましたね。敵だけを見てはだめです。味方なんか常に確認できるのですから、当然に把握しなければなりません。
ほかに印象的なこととしては。
敵は分断し、味方は集中せよ、とか。
命を奪うより士気をくじけ、補給を焼け、とか。
感情ではなく冷徹に国家の戦略的利益を考えろとか。
あとは絶対に勝てないなら将軍は王が戦えと言っても戦わなくてもよい、絶対に勝てるなら王が止めても戦うべきというのも印象に残ってますね。
あとはそうですね、百戦百勝するより戦わずに勝つ方が価値がある。理想的な勝ち方はひたすら地味で、誰かが大活躍した結果の勝利は王や将軍の視点で見ると下の下である、とか。
もう少し地形や用兵などについて具体的なことも書かれていますが、ちょっと覚えていませんね。重要な判断基準についてだとか。戦争をする身分ではなかったので。
それから、最後の章でスパイの使いかたについて書かれていました。情報を得るための手段ですね。二重スパイの扱いなど書いてあったことに驚いた覚えがあります。挙兵すれば時間もカネも人的資源も消費が莫大となるのだからそれより少ない手間やコストをケチってスパイを使わないのはバカみたいな話も目からうろこでしたね。確かにその通りだなって。
まとめると、スパイをうまく使って、普段からあらゆる準備をして、敵の準備を妨害して、勝てる時だけ戦争しろと。そう言ったところでしょうか。
どうしました?
「いや。今日はここまででよい。休め」
はい。
※記録者注
急に濃い情報を得られた。しかしどこまで信用していいものか。覚えてない部分も多かった。参考にするにも研究が必要だろう。
適当言ってたら許(かすれて消えている)
お気に入りと評価してくれたらうれしいな。




