029 そして2
技術発展や社会制度の変化で発生した問題をいくつかお伝えしたいかと思います。
まずは資源枯渇です。
技術が発展することで、大量生産が可能になると、原料も必要になりますね。
わかりやすいところでは埋蔵量に限りがある地中資源ですが。
それより前に木材が深刻な問題を起こします。
「森は侵食してくるほど豊富な資源ではないか?」
はい。
木材は再生可能な資源ですね。
しかし、古代から人口が多い地域ではコツコツと木を滅ぼしてきているんですよ。
特に製鉄に使う燃料に使ってきたようで、早くから製鉄していた地域が砂漠化したり荒野になったりしています。
古代なんかでもそうなので、人口も生産規模も増えた時代になると、消費に傾くと一気に減少してしまいます。
木材がなくなるというだけでも充分な厄介ごとなのですが、付随する問題も発生します。
まずですね、木が失われ地肌がむき出しになると、風に乗って広範囲に砂をまき散らします。これが精密さが必要な道具などが機能停止したりしまして、それから人の健康にも悪影響がありまして。まあめっちゃ降ってくる埃ですよね。
海を渡ってはるか遠くまで届くんですよ。
むしろ障害物がないから海を越えるのかもしれませんね。山があったらそこにぶつかるかな。
次にですね、地盤が緩くなりますね。
木の根が地盤を強固にしているので、土砂崩れなどが起きやすくなります。
山を切り開いて設備を作ろうとした国で、土砂崩れが頻発して非難されたことがありました。
非難されるだけならまだいいんですが、場合によっては集落が丸ごと潰れることもあります。山を切り開く場合どういう場所から道をつなぐか考えればですね。土砂が流れる先に集落があるのはむしろ当然と言いますか。
それから、樹木は山に多くの水を保管してくれていました。
どういうことかというと、木を取りつくしてはげ山にした地域で洪水が頻発するようになったんですね。
木々がいい感じに保水して、時間をかけて放出してくれていたのが、大雨の度に洪水になるようになったんです。
これは土砂崩れともつながりますね。
下流まで大きな被害が出るようになります。
さらにですね。
ええと、密閉できる袋を口に当てて呼吸をするとだんだん苦しくなってそのうち気絶しますか?
するのであれば。
植物は我々のような動物とは逆の呼吸をしているようなんですね。
我々が呼吸すると、空気中の特定の物質を取り込んで、別の物質にして放出しているようなんです。
植物はそれとは逆のことをしているようなんですね。
それによって動物が呼吸するのに必要な物質が維持されているようなんですが。
これはこちらの世界でもそうなのか調べてもらったほうがいいかもしれませんね。
我々の世界では、火を燃やすと呼吸の時と同じ気体が放出されることがわかっていました。火による空気成分の変質は簡単な実験で確かめられます。
植物を採取して燃やすとどんどんその気体に置き換わっていくわけですね。怖いですね。
まあ、偏るとその分植物が活性化して均衡を保とうとするので、よほどでなければ呼吸不能なんてことにはならないでしょうけど。人類はその気になればそのよほどの状況を作り出せるほどに技術を発展させてしまうので。
一度植物を駆逐してしまうと、その地域はひどく荒れてしまいます。
先ほども述べたように、木には保水力があるからですね。
保水力を失った土地に改めて植樹しようとしても、水が足りず根付きません。
これのため、砂漠が拡大していくのも問題になっていました。
次は少子化問題についてお話しようと思います。
これはですね、発展した豊かな国ほど、出生率が減りやすくなるという問題です。
原因は諸説ありますが、まず、医療技術の発展で無事成長する子供の割合が増えたことが挙げられます。
たくさん産まなくてもよくなったんですね。
それからコストの問題でしょうか。
教育にはコストがかかります。
国が扱う技術が高度化すると、それだけ高度な教育が必要になり、労働を始める年齢が遅くなっていきます。
それにより、一人当たりのコストが上がり、大勢養うことが難しくなりました。
ほかに、人口が都市に集中することが挙げられます。
田舎に老親を残し、稼げる都市に稼ぎに行くわけですね。そして都市で結婚し子供を作ります。
そうなると、子供の世話をする人手が足りなくなりました。
社会の側で負担を軽減する取り組みもありましたが、夫婦二人で、あるいは何らかの理由で一人で、子供を育てる負担は重くなります。労力としても、コストとしてもですね。
かといって、都市のほうが何をするにも都合がいいんです。仕事も、子供の教育も、娯楽も。
給金も高いですしね。
そして、女性の社会進出によってそれらの問題はさらに重くなります。
女性が権利を主張して社会進出をする流れは、自由主義、民主主義、平等主義の元では既定路線です。
労働力も増えますし、利点は多くあるのですが。
一方で、ただでさえ育児の負担が重いのに共働きになればさらに重くなります。男性が育児を担当することは可能ですが根本的な解決にはなりませんし、男は出産できないという差がありますね。妊娠期間のキャリア形成の不利もあります。
かといっておカネは稼ぎたいですからね。働くなというのも通りません。
そうして負担が増えて子供を作る余裕もなくなります。
最後に、幸福の種類が増えることです。
子を作って次世代へつなげる以外にさまざまな幸福の姿が提示されるんですね。情報発信の力によって。
仕事や芸術に打ち込むとか、娯楽にふけるとか、様々です。
人類視点で見れば悪手なのですが、自由主義や人権を重視するとそういった選択を完全に否定することが出来なくなります。
そしてそういった考えを持つ人たちが増えると、民主主義的に発言力が強まっていくんですね。
民主主義の弱点問題は多くの分野に影響しています。
そしてですね、似たような構図が国家間でも起きてまして。
過去に技術先進国が支配していた国が開放されたわけですが、技術格差が埋まっているわけではありません。
また、独裁制と民主制の差があったり、教育の差があったり、宗教の差があるんですね。
自由主義、平等主義、人権重視を掲げると、さまざまに異なる国にも手を差し伸べる流れになります。
飢えた国に食料を援助したり。技術を支援したり、様々ですね。
これは国際社会における多数派工作としても行われるのですが。
さて、少子化の条件を満たしていない国に、ある程度の豊かさが流入したらどんな結果になるでしょうか。
そのうちの一つが人口爆発。
技術先進国でも過去に起きているのですが、豊かになると一気に人口が増えるんですよね。
技術先進国の支援前提の体制で人口が増える。
技術先進国では少子化が起きているのにね。
人口は国力です。
「そのうち出し抜かれるのではないのか」
そうですね。
一つには、独裁制は民主制の弱点を攻撃しやすいという点があります。
民主制は弱点が多い体制ですから、独裁制による一貫した攻撃を受けると大きな被害につながります。
資本主義、自由主義もまた同様ですね。
次に宗教。
特定の文化圏では政教分離が主流となりましたが、別の文化圏ではそうとも限りませんでした。
その結果、宗教的な理由で対立を起こしました。
流入した技術を活用して。
さらに、移民制度を利用して民主主義国に浸透する手法も取られます。
このように、様々な文化、技術の違いによる混沌が生まれました。
民主主義の構造的な欠陥でもありますね。
かつて支配者となった国たちに対し、新たに独立した国々も最善を尽くして対抗する以上、その差異からくる弱点を突くのは当然のことでしょう。
その先がどうなるかは見ていないので自分にはわかりませんが、強国が崩壊するか、それとも主義の見直しが起きるか……。
今回はここまでです?
わかりました。ではまた。
※記録者注
技術が進んでも問題は消えないのかそれとも過渡期であるだけなのか。人はどこに辿り着くのか。
お気に入りと評価してくれたらうれしいな。




