025 近代5
前回のお話をした後日、権威の作り方を尋ねられましたので、そういう話をしたいと思います。
といっても、自分は作り方なんて考える立場ではなかったので、自分の考えに過ぎないこと、そしてできるだけ実例や失敗例をお話ししますので、頭のいい人を集めて分析してもらいたいです。今までと同じですね。
権威というものは形がありません。
それなのに強い影響力を発揮する、維持しようとする力が働くのは、つまり有力者にとっての価値があるからです。
何せ、武力を持たない権威はいつでも潰せるのですから。
ではなにが、権威に力を与えているのか。
それはこれまでに話した内容にもありました。ないはずのものが影響力を発揮する。
そうですね、信用です。
無から価値を生み出し、おカネという現実の力に変えられる力ですね。
まずひとつ、それが実例です。
おカネもまた権威の一つと言えるでしょう。
おカネがあればいろいろなものと取引できるという信用が、皆におカネを大事にさせるわけです。
多数からの信用が権威となるとすれば、二つ分かることがありますね。
信用は、得ることが難しい、時間がかかるものという点。
一度毀損されれば価値が一気に失われる点。
先ほどの例、おカネの例でひとつ。
ちょっと難しいんで自分も勘違いしてるかもしれないと断っておきます。
はじめ、信用貨幣、銀行券は、貴金属、具体的には金と引き換えにできることをその価値の保証として流通していたんですね。
とすると、金の量が発行可能な量の上限を決めていたわけです。
先日の説明だけですと、信用で無尽蔵に増やせるように思われますが、一斉に交換されると終わるという潰し方が存在しましたね。
そうすると、結局金の量による制限が生まれてしまいます。
狙って潰そうとする競争相手や敵がいますからね。敵国とか。
現実的に、等価な量ではなく、一部を金として確保していればいいというルールになっていましたが、制限があるのは同じです。
銀行券による通貨は、金との固定相場で取引されることで安定していましたが、弱点を持ったまま。
戦時など明確な敵がいる場合、金を交換して外に持ち出すことで経済を攻撃される恐れがありました。
金の保有量以上に経済発展すると通貨量が不足してしまいます。
結局金の保有量より多くの預金があるので、一斉に交換に行くと交換できないので破綻します。
みんながおカネを稼いで、預金が増えたのですが、そうなるとちゃんとおカネが価値を維持してくれるのか不安になりますよね。
あの銀行がやばいらしいぞ、という情報が流れた結果銀行がつぶれるなんてことが起きるようになりました。
新聞で書かれたりすると一斉に銀行に人が集まるんですね。
情報発信の力です。危険性ともいう。
信用は事実がともなわなくても失われるという事例ですね。
さて、金に依存する体制は問題が多い。
特に経済成長の足を引っ張るのはよろしくない。
ではどうするべきでしょうか。
「話の流れからすれば、金との交換保証をやめるということか? だがそれが成立するのか? いや、前提として経済が成長しているのであるから、その事実を信用の担保とするのか?」
はい、たぶんそうですね。たぶんです。
結論から言うと、自分の時代には主要国はどこも金と交換しない通貨を発行していました。
そうなるまで、世情によってやめたり戻ったり紆余曲折があってからではありますが。
通貨量は国の総生産量、要は国民の収入の合計ですかね、これを参考に、これくらいなら大丈夫だろうという、多分いろいろ根拠があって決められてるのだろう規模に調整されていました。
その上で通貨とは別に通貨と紐付けられた金券やらなにやらが流通していて、実質的には何倍も通貨が流通していたと思います。
この頼りない通貨の裏付けの一つは、国家の法令によって定められていて、税金の支払いに必要であることが挙げられますね。
そのうえで、国がいい感じに調整してくれるという信用が制度を成立させました。
こうして改めて考えるととんでもない制度ですね。
そしてこの制度の運用を失敗した例もありました。
おカネが足りない国がありました。
あ、もう予想できたみたいな顔をしないでいただきたい。
足りないのでおカネを発行しまくったんですね。
この制度はそれが可能なので。
その結果、ハイパーインフレという現象を引き起こしました。
モノの量に対しておカネが多すぎると、おカネの価値が下がります。
おカネの価値が下がるとモノを必要量確保できないので、もっとおカネを発行しますよね。
そうするとさらにおカネの価値が下がりますよね。
そして、こいつらどうせまたおカネ発行するだろ、という悪い信用を得ることになります。
そうして無限に価値が下がっていきますよね。
実際には兆とか京とか垓とか書かれたお金が流通して、いや流通しようとしてできなかったのかな? ともあれ印刷されました。
あるいはその日の食べ物を買うのに一抱えある紙幣の束をもっていかなければならなかったり。
そんなむちゃくちゃなことになる恐れもある危険な制度でもありました。
信用って怖いですよね。
ちょっとおカネの話にそれましたね。
じゃあ次は株式市場の失敗についてちょっと触れましょうか。
株式の取引を集積して扱う株式市場が存在していました。
株式の取引は、将来への期待を取引することが本義だと思います。
将来性があるほど価格が上がるわけですね。
現在が強くても将来性がなければ伸びません。
悪い材料があれば下がります。
一方で買い取り希望が、つまり需要が高いほど価値が上がり、逆なら下がる。他のものとも共通の性質ももっていました。
この二つの性質から、株式は投資と投機、二つの性質を持ち合わせていました。
さらに、銀行券に準ずる資産の一つとして、借金の担保としても使われていました。
これが恐ろしいもので、たとえば調子がいい会社に買いが殺到して実態以上の価格になることがあります。上がりすぎるとおかしくね、となって一気に下がってひどいことになります。上向きだと思って100で買ったものが急に50に下がったりします。
あるいは、株の売買者の都合で大量に売却することで価格が下がります。
急な価格の低下に驚いてほかの人も慌てて少しでもマシな間に手放そうとすることが起きました。
株の売買者の都合や流れや勢いで株の価値が極端に変動してしまうんですね。
これの激しいのがバブル崩壊や恐慌と呼ばれて、世界大戦と並んで語られる事件なんですが。
額面の価値が一気に消滅したことで、世界から資産が消滅。
借金の担保としての価値が失われると貸しはがしが起きますね。
おカネ無くなったら出費を控えようとしますね。
その他さまざまに波及してしまいます。
世界経済を冷え込ませて組織が沢山潰れて個人は言わずもがなです。
信用は実態と違うところでも毀損されうるという事例でしょうかね。
ええと、次回はもっと権威の話をしますから許してください。
※記録者注
このページが活用されるとすれば我々の死後であろうから、分析の優先順位は下げる。
お気に入りと評価してくれたらうれしいな。




