023 近代3
今回は発明とその影響を話していきたいと思います。
と言っても細かいことは専門外ですので、ざっとね、概要だけになりますのは許してください。
まず以前お話しした水蒸気を使った動力装置。
これと同系統、物質の圧力変化を利用した動力装置が生まれます。
これは石油を利用したものです。大地に埋まっている油ですね。
これを精製して品質を上げて、噴霧して着火すると瞬間的にガスに変化して膨れ上がります。
これを断続的に行って回転動力として取り出すんですね。
水蒸気動力よりも、より精密な金属加工技術と冶金技術が必要です。より圧力が高くなって、爆発してひどいことになるので。
まあつまり石油の利用法が増えたわけなんです。
石油はそれなりに地下に埋蔵されている資源で、あるところにはあるのですが、ないところには全然でない。大航海時代以降、世界が狭くなってから活用できるようになった資源と言えます。
石油は他に、その成分から様々な特徴を持った物質に変換することができるようになりました。
木材と互換する程度の強度で加工がしやすく熱に弱い物質や、ゴムの互換物質、繊維の代用品など、機械工業と相性のいい物質をたくさん生み出しました。
「ゴムとは?」
ゴムは一部の植物の樹脂から得られたんですが、密閉や衝撃吸収に便利な弾力性が高い物質です。
均質で大量に生産できることで、既存の多くの商品の素材を塗り替えました。旧来のものを好む人も多かったですが、大量生産向きというのは安価になるということですから。
木材、陶器、ゴム、繊維、金属も。
ただ致命的な欠点として、自然に分解されない点がありまして、のちに社会問題となります。燃えるんですけど有害なガスも出すもので。
それから、埋蔵量に限界があるので、そのことについて定期的に話題がでてましたね。
結果ですが植物から石油製品の代替物質を作る研究も生まれていました。なんだか一周回っていて面白いですよね。
身の回りの多くのものが石油加工品に依存してしまって、まあそれくらい便利で安価な素材として使えたということです。
えー、話を戻しましょう。
次に歯車、これはかなり古くから使われていたものですが、機械に多く使われました。
垂直運動の向きを変えたり、回転運動に変えたり、あるいはその逆だったり、動力の利用に必須の部品です。
歯車を動的に組み替えて速度と力を調整する機構が生まれて利便性が高まりました。
精密な加工技術と比較的劣化しにくい石油由来の潤滑油で歯車の効率も上がって力の損失が減る事で、動力装置の効率が上がりました。
回転と言えばベアリングですね。
二つのわっかの間に同じ大きさの球体をぐるりと挟んだもので、まあ横には落ちないようにして。回転軸の摩擦を減らして滑らかに回転するようにする部品です。車軸などの耐久度や力の損失を大幅に減らしました。無限に需要がある部品だと思います。
力学の研究は理論、構造面でこれらの装置、部品をどんどん進歩させていき、冶金、金属加工、そして金属の供給力がそれを実用化させていきました。
様々な分野が相互に進歩に影響し合うわけです。これが知識の集積の必要性ということでしょうかね。
それから影響力が大きいと言えば、肥料でしょうか。
先ほどの石油加工ともかかわるんですが、物質の構成を組み替える研究が盛んになりました。
これは例えば燃やしたり、水に溶かしたりすることが代表的なものですね。
様々な条件で様々な変化をたくさん試して発見された手法です。
有害物質がすごくよく生まれるので気をつけないといけない研究ですが、この手法によって一部の肥料を大量生産できるようになりました。
植物の成長に必要な三つの肥料のうち一つをほぼ無尽蔵に供給可能になりました。
こればっかり使うとほかの要素とのバランスが崩れて逆に育たない死の大地になるんですけど。
だから植物の生育について条件をよく調べるほうが重要ですよね。自分の世界と同じでない可能性もあるわけですし。
続いては爆発物ですかね。
爆発物も初期のものから進歩して、火であぶっても爆発しない物が生まれました。
特殊な手順を経る必要があるので、天気の影響やいたずらや事故による被害が減りましたね。
それから銃弾がパッケージされたという話をしましたが、この特殊な手順を採用したことも大事な要素だと思います。
また方向性が変わるんですが、植物のこと。肥料で思い出したので。
品種改良という概念が生まれました。以前から植物や動物でなされていたことではあるんですが。
例えば、寒い年に不作だった時、その気温でもよく実を付けた個体を選別して次の年の種もみにするんです。
それを何世代も繰り返すと、寒さに強い品種になっていく。
こう言ったことを、食味、収量、病気への耐性、背の高さなど、様々な観点から繰り返していくんです。
親から子に形質を引き継ぐという現象を利用して、特徴を改良していく感じですね。
全部最高、みたいなものはそうそうできなくて、寒さ耐性が強い品種を作り出して栽培可能な場所を増やしたり、単純に収量と食味を増やして競争力をあげたりと目的別に様々な品種が作られていました。
自分の世界では馬で早くから行われていたのが有名でした。より大きく足が早い馬が好まれ、競って品種改良がおこなわれたりですね。
あとは、ああ、そうですね、比較的簡単に始められて影響が大きく、世界的権威になりうるものがありました。
「ほう。どんなものだ」
輸送技術の一つなのですが。
コンテナです。
輸送用の箱の大きさ、形状を定めて、輸送機器をすべてそれに合わせて設計する。
もちろんその箱にちょうど収まる小さい箱も規定したり。あるいは大きい箱もですか。
上や横に積んだ時の強度や滑らないように形状を工夫したり。現場で必要な工夫を組み込む必要はありますけど。
「そんなことが大きな影響となるのか?」
物流が増えれば増えるほど影響が大きくなりますね。
馬車の荷台をまるごと交換できると考えるとどうかな。積み込み積み下ろしの時間が大幅に軽減されます。荷崩れを抑止します。空間の無駄も減ります。
でも荷台ごととなると付属設備が必要になるかな? クレーン。
輸送箱を開けなければ中身を盗まれる心配も少なくなります。
いや、言いすぎたかもしれません。物流がそれほどでもなければ意味が薄いかも。
ただ、大きさをそろえる規格化という概念は遙か古代からありまして、度量衡の統一、通貨の統一などですね。
これと同じように、さまざまな道具の大きさを統一してその生産の上流に居ることが出来れば大きな利益が出ますし、品質管理さえしっかりできていれば権威にもなります。
「品質管理とは?」
ええと、規格外品を生み出さない努力ですね。コンテナの場合であれば大きさがずれているとか、強度が弱いとか。そういうのが混ざると機能しなくなるので。
失敗作をはじくとか、そもそも失敗しない工夫を積み重ねるとか、地味で大変な努力が必要です。
ですがたとえば正規品なら規格外品を売らないだろう、という信用が出来れば儲かります。
規格化と品質管理は非常に多くの分野で応用できる概念ですね。品質管理はすべてと言ってもいいかもしれません。
規格化は高度な工業に必須だと思います。工具や部品、どれを使ってもかっちりハマる体制を作ることで大量生産につながりますね。
いつでも同じものが手に入るというのは将来、経済が発展すればするほど重要な強みになっていきます。
ただ品質管理を現場に実行させるのはかなりすごく尋常でないほど大変ですけど。
ええと、そうですね。
地道な研究による土台がなく急にやろうとするとこの時期の発明や概念を導入しようとしても失敗すると思います。コストが見合うとも限りませんし。
以前も言いましたが、自分は成功例の一部を知っているだけですから、状況が違えば失敗するかもしれません。
ただ成功した考え方や概念を自分の話から吸い出して参考にしてもらえるのが一番丸いんじゃないかと。こちらの世界の状況については自分よりよく知っているわけですし。
という前提で次回ももう少しこの時期の話を続けます。
※記録者注
検討は進める。
お気に入りと評価してくれたらうれしいな。




