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異世界インタビュー ~転移者の世界の歴史  作者: ほすてふ


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022 近代2

 今回はこれまでになく危険な話をするんですが。

 嫌そうな顔しないでくださいよ。


「よい。述べよ」


 はい。

 近代に入って、特権階級による支配に対する反動が起きました。

 平等主義、国民主権などですね。

 そして人権意識が強まり、国民は国家意識を持つようになります。


 奴隷も解放する方向に世論が動きました。

 上と自分たちが平等なら下とも平等じゃないとおかしいよね、人権あげないとねと言うわけですね。

 これは労働者を使う商業、工業系の産業を主体とする都市を中心に広まります。

 彼らは、ある程度教育を受けた労働者を必要としていたからです。


 一方、農業主体の地域では反対運動が起きました。

 重要な労働力ですから。

 当時の大規模農場は輸入された奴隷によって成立していたんですね。


 結果、のちに世界最大の大国となる国で奴隷の有無を争点とする戦争が発生しました。

 ほかにも所得格差だとかいろいろあったのですが、主力産業の違いが大きな原因だったのは間違いないところかと思います。


 この時の結果で世界の歴史が変わっていたかもしれないのですが、現実は商業工業主体側が勝利し、再統一を果たしました。


 このことからわかるのは必要かどうかというのは大きいということですね。

 時に戦争になるほど。



 続きまして、特権支配による反動として、社会主義、共産主義、全体主義という思想、概念が生まれました。


 というのもですね。

 資本主義は貧富の差によって新たな階層が出来たからですね。

 みんな人権があって平等じゃないのか。

 そのために支配階級を打倒したのにこれじゃ結局同じじゃないか。

 じゃあどうすればいいんだよ。

 そんな感じで生まれたものだと考えたらいいかと思います。


 じゃあどうすればいいんだよと言う部分ですが。

 国が全部管理して、公平に分け合おう。生産とか、仕事とか、役割分担で差ができるからさ、ちゃんと真面目にお仕事してたらみんな同じように生活できるようにしよう。

 そんな方向性ですね。

 儲からないが、必要な仕事はあります。

 そんな人たちにも十分な報酬を出せるようにしましょう。

 国全体で生まれる利益を配分するのだ。


 そんな、大きな政府と言える考え方です。


「それならば小さな政府もあるのか?」


 ありましたね。

 資本主義の圧力がもっとも高いころに、政府は治安維持と防衛だけやってろという考えがありました。

 ほかのことは需要があれば事業になって民間で回すから問題ないだろという考えです。

 そこまで行かなくとも、民間の自由を重視する自由主義が強いとこっちに傾きます。



 話を戻しますが、みんなが同じように収入を得る幸せな世界について。

 どうですか?


「今聞いた限りでは不完全であろう。国の権力が強すぎる。これまで何度も述べておったろう。権力が強いと腐敗するものだと」


 そうですね。

 そしてこの場合は二つの意味で、その通りです。


 一つは、殿下のおっしゃる通り、国を実際に動かす担当者の権限が強いことです。これは治安維持など考えれば必要な構造ですが、簡単に腐敗する条件を満たしていますね。

 もう一つは、弱者の権利の乱用です。

 すべての人に平等におカネを与えると考えてもらえばわかるんじゃないかと思いますが、まずサボる人がいますし、病気や仕事の不足などで働けない人が出たら労働なしでおカネを渡すことになりますね。

 もともとは家族や親せき、近隣住民などが支えていた人々を国が支える必要がある、これはまだいいのですが。

 ずるをしてその特権だけを得ようとする悪いやつが出るんですね。



 国側が強いと前者が本来の目的と矛盾する特権階級化します。

 民側が強いと後者が、これもある種の特権階級化して、より良い国にしようという方向性から外れて足を引っ張ります。


 平等主義は悪意に非常に弱いんです。その前の民主主義でもそうですが、その度合いがより強いんですね。

 ルールがあれば悪用しようという者が出るのは必然なので。古代にすでに見抜かれていたことですね。


 全員が前向きに自分たちの、国のために一生懸命になれる環境でなければ成立しません。


 しかし、これを前向きに推し進めようとした人たちがいました。


 平等を完全に達成するには一度すべての人の財産を取り上げて再分配する必要がありますよね。

 そうしようとすると既得権者が反発するので、これを滅ぼそう。それが第一段階であると。

 土地の権利者も滅ぼしてみんなのものにしよう。

 少し前の革命に似たようなことがありましたが、今回はもっと徹底しています。

 彼らは独裁政権を打ち立て、粛清をくり返して、民衆の間にスパイを放ち、密告社会を作って逆らうものをあぶり出す、そんな国を作り上げました。

 一例ではなく、いくつもですね。

 一例だけならそれが例外と言えたのでしょうけれど。


 それで世界を二分する大国の片方が生まれたのですが、その国はなんやかんや無理がたまって崩壊しました。

 その後も同じ名目でやっている国もありますが、部分的に資本主義を導入したりしてましたね。



 ともあれ、こういうのは度合いです。程度問題。

 人権、自由、法の支配。

 この三つを世情に合わせてうまく均衡させて調整していくのが正解である。


 というのが、自分がいた時代の正しいとされていた考え方の一つでした。

 最大多数の最大幸福という考え方がありまして。

 法や体制を定めるにあたっての基本となる概念です。

 例えば殺人はすべての人間にとって有害ですよね。だから禁じます。みたいな。

 すべての国民にとって有益なら、それはコストがかかるとしてもやるほうがいいとか。

 そういう指針で国を設計するようになっていきました。

 局地的には諸説あったりしますが、ひとまずそういう建前で自分がいた時代の主要な国のほとんどはやっていましたね。

 将来的には変わっていくのだと思いますが。自分がいた時代に抱えていた問題はまた後日お話しするとして。


 そうですね、王が統治しなくなった時代の王について少し。


 生き残った王や皇帝は、主に国政を民主議会に預けるという立場で存在している国が多いです。少なくとも、民主主義国ではそういった形でなければ維持できなかったのだと思います。

 民主主義との折衷案と言いますか、矛盾しない形で共存を探った結果と言いますか。


 そういった家が残っている国では彼らは敬われ、外交などでも尊重されます。

 王や皇帝を否定して生まれた共和制国家の元首も敬意を表する礼を取っていました。

 国際政治の都合であるとしても、王の権威は国際的に通じるものでしたね。

 ですので、外交の場で大きな存在感を持っていました。謁見や外遊で友好国としての立場を示すようなこともありました。

 一部の国では否定されていましたので一度も外遊に行っていないなども。


 将来的にもし他国の権利を無視してもよいという覇権国家が世界を支配した場合、扱いはどうなるかわかりません。

 それはまだ起きてないことなので。





※記録者注

 いつかそうなるとしても、そうする機があるはずである。

お気に入りと評価してくれたらうれしいな。

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