002 石器時代
本日2話目です。
どこから話し始めるべきか。
数万年から数百万年前、自分たちの先祖は洞穴に棲んで石の武器を使い、毛皮を纏って大型の獣を狩猟し、のヤモリで採取をして生活していました。
なぜそんなことがわかるのか? 考古学ですね。発掘物と、周辺の地層の年代を調べる技術があって。
罠と石槍で毛皮と分厚い脂肪を持つ、大型の獣を狩って、洞窟に壁画を残している遺跡があって。
そして自分の種族より力が強くて脳の容量も大きな近縁種が居たんですが、若干の混血の痕跡があるものの、自分の時代には生き残ってないようですね。
脳の容量? ええ、知能はおおむね脳の容量に比例すると考えられてましたね。
滅んだほうの種族も石器を使って葬儀のようなことをしていたらしい痕跡があったようで。
知恵も力も自分の種族よりもある種族がなぜ滅んだか?
わかんないですね。
一説には、自分の種族は嘘をつく能力、架空の話をする能力があったから、というのを聞いたような気がする。本当かどうかはわかんないですね。
ただ、古い物語には力のない人間が力のある存在をだまして利益をせしめるものも結構あったような気がしますね。古くないのにもあるけど。
架空の話ができるというのは、情報の伝達や未来の予測が効率化できるってことなので事実だとすれば結構な差があるような気がしますね。
当時は世界が寒冷期で、大型の毛皮の生えたゾウとか鹿なんかが獲物だったらしいですよ。ゾウってこの世界にいます? 自分の倍ほどの背の高さの四足獣で重さは10倍から20倍くらい? もっとかな? 大きな弧を描くような形の牙が象牙と呼ばれて珍重されてて。
象牙とか鹿の角、あとは骨とかが出土してるんで。
その後、世界が温暖化してくると、獲物の大きさが小さくなっていって、弓が世界に登場しました。
気候と獲物の大きさの関係?
わかんないですね。寒いほうがでかい傾向があるらしいとは。自分の時代にいる生き物も、同種だと寒い場所のほうが大きい場合が。クマとか鹿とか。
でも地上最大の生物は暑いところにいるし。さっきのゾウの近縁種なんですけど。
で、話を戻しましょう。
弓も初めは矢じりは石でしたね。
これは小さな得物を槍で取るのが大変だったからじゃないかと。逆に、槍が流行っていた時代は大きな得物に致命傷を与えるためと。そう考えてます援。
ウサギとかを狙うなら槍より弓じゃないですか。すばやい小型の得物ですね。
それか、時期は不明ながら、火や土器の利用も。火はもっと昔、土器は比較的若い時代からだと思いますが。
石器時代で覚えているのはこのくらいですかね。
「あまり内容がないように聞こえるが」
ダジャレですか? 違う? すみません。
昔すぎてわかってることも少ないことと。
興味の問題もありますね。
この時代から武器を使っていて、弓が開発されたのは大きなことじゃないかな。
弓や近似の投射兵器はずっと主力兵器ですね。
それから宗教らしきものはあったらしいこと。
ただ、それらの変化による影響はあんまり自分にはわかりませんね。
わからないことが多い?
ええ、すみません。
石器の時代は金属器の発明、農業の開始などで終焉に向かいます。
これは地理的な事情などで事情が変わりますが、青銅器の時代は五千年くらい前からと言われてますね。銅とスズの合金。融点が低くて加工がしやすかったらしいです。
農業のほうは諸説ありますが、二万年以上前からとか。
気候変動によって大型の獣の減少と、人口の増加によって簡単な栽培から本格的な農業になっていたんじゃないでしょうかね。
農業の影響は大きいです。
農業を始めたことで、人類は知恵と財産の蓄積ができるようになったと。
保存可能な食糧である穀物の影響が特に大きくて。
ええ、人類同士の殺し合いが本格化したのは農業が原因と考えられています。
一部の国の発掘結果から、狩猟採集の時代の人骨の痕跡には争った形跡がある物がなく、農業開始以降にはそれがあると。集落の遺構にも、対人の防衛施設があったりですね。堀とか。
実際のところはわかりませんよ?
でもまあ殺してでも奪い取る価値があるものを所有しているかどうかというのは大きな差ですよね。
獣は無駄に同種で殺し合うことが少ないじゃないですか。縄張り争いとか発情期のつがいを得るための争いとかはありますけど。そう考えると普通に争っててもおかしくないな?
まあそういう説があるってことで。
このころには祭祀が行われたという説が濃厚です。実用性がなさそうな人工物が見つかっていたりするので、それらが宗教関係のアイテムなんじゃないかという。
人形とか、装飾過多な土器とかですね。
装飾と言えば、ヒスイとか貴石、宝石の類を加工するような技術も当時にはあったようです。石器加工技術の延長でしょうかね。
あ、そうだ、犬を飼い始めたのもかなり歴史が古いみたいですね。狼から全く気質が違う犬って種族を分流させたみたいな。人類の最高の友とか言われてましたね。
農業以降、豊かな土地、大きな川の周囲に有力な文明、文化が生まれまして、大きな都市が建設されるようにもなりました。
その中で貧富の差や技術の発展などが進行して、神権政治や金属器の発明などで勢力に差が生まれていたようですね。
地理的要因、技術的要因、文化や政治体制などですね。
交易のようなことも広く行われていたようで、大規模な戦争もあったようです。
農業に向いた恵まれた立地がまず発展。
そして発展した国々の交流のクロスポイントも発展していきます。
一方で、狩猟民や遊牧民のような別方向で力をつけた者たちもいたみたいですね。
海を渡る能力を持った大きな勢力が現れて散々暴れて消えた、なんてこともあったようです。
移動手段と情報伝達手段の限界によって、あまりに広範囲を支配する国はなかなか生まれませんでした。
遠くだと背いたからお仕置きしに行きますねということができない体と思います。
都市国家のような、街を中心とした政治体制が広まっていって、そののち、それらを束ねる必要があったり、結果的にそうなったこともあるかもですが、同盟か君臨か、することが起きて大きな国ができていったのだと。
農業技術など、人々が扱う技術は徐々に発展していきましたが、環境的に厳しい場所に強い国や新しい技術が生まれることが多かったような話もあります。
生存のための圧力によるものかと思います。
湿地に適当に種をまけば穀物が大量にとれるような豊かな場所では農業技術の発展は遅く保守的に。
農業の概念を知った厳しい気好意や場所に住むものたちは生きるためか様々に工夫をして、その技術が伝播したり。交流や移住がありましたからね。
ほかには、巨大な噴火があり世界の数%くらいを占める範囲でろくに植物が育たなくなることがあったようで、それによって大移動があったとか。
それから、そうですね、年に数度、立っていられないような大きな地震がある地域では、石積みの住居が発展せず、木製の建築技術が発展したとか。
地域性によって技術が発展し、知恵を蓄えていきました。
それらは神話や民話という形で現在も語り継がれているものもありまして。
例えば、ローカルな宗教のタブー、禁忌ですね。これは地域における生活の知恵の場合が結構あったんですね。
あれを食うなこれを食えとか、体を清めろとか。右手と左手の役割を分けさせるとかも。
病気や食あたりを回避するための経験則が込められているような事例ですね。
そう言った宗教が広まると、地域性のミスマッチが生まれたりして問題になったりもするんですが。
それから文字ですか。
これも重要な発明ですよね。
記録というのは借金という概念も産みましたが。
文字を使う者たちが使わない者たちよりもその版図を広げた傾向があります。
知識の喪失を減らせますから、安定度を底上げしてくれますね。
情報の伝達として同時代だけではなく過去から未来への情報伝達ができる。それから書置きができるのもなにげに大きいですよね。
神権政治ですか?
宗教が政治のトップになる政治体制ですね。
さきほども少し触れましたが、宗教は伝えることが重要じゃないですか。よくわからないけどそうなる、ということの理由を神様によるものだからと言って従わせると生き残れますよね。そういう実績が積み重なれば信頼されてこの人たちに従ったほうがいいよね、となりますから、宗教がトップになるというのはどちらかと言えばわかりやすい政治体制です。
弱点は宗教の教えと現実の齟齬が起きたときのロスが大きくなることですね。
ある地方の生活の知恵が別の地方でも通じるとは限りません。
そのほか、体制維持のためのルールが生まれることもありますね。神権政治の国が広範囲に広がった場合、無駄が大きくなって国が持つ実質的なパワーが低くなりがちですね。
なのでか、自分のいた国では政教分離が原則とされてました。ロスとか以前に腐敗もしやすいですし。
基本的には原始的な支配体制だという考え方が強いと思います。
自分たちの世界には直接ご利益をくれる神様とかも居ませんでしたし。
居るのかもしれないけど少なくとも未確認でしたね。
ですが、当時の人々にとっては神様は居たみたいです。
それは先人の知恵の集合体だったり、一つにまとまることのできる力だったり。
というのは自分の考えですけどね。
※記録者注
転移者の疲労が見えたので日を改める。貧弱である。殿下の貴重な時間を費やす価値があるのか。話し方はうまくない。整理して別紙にまとめる。
お気に入りと評価してくれたらうれしいな。




