016 近世2
おカネの話をしたので次は輸送の話をしましょう。
商材や、おカネを使う人を輸送する量と速さ。これも商取引の回数の増加につながりますよね。
まずは既存のもの、道路の整備でしょうか。
戦の際に攻め込まれたとき危険なので道をあえて整備しないという選択肢がありましたが、商業重視の場合は道は整備したほうがいい。徒歩にせよ、馬にせよ、移動速度がはるかに変わります。
そして船ですね。
船は陸上輸送に比べて圧倒的な輸送量があります。水運を利用するために運河を掘ることもありましたね。
技術発展で船に関する技術も更新されました。風上に向かって進める帆船であったり、船の武装として砲が採用されたり。
また、世界球体説や地動説が唱えられ、方角がわかる道具や天体の位置から現在地を把握できるようになり、外洋航海術が開発されます。
「球体説とは?」
世界が球体であるという説です。
自分の世界は実際にほぼ球体でした。ちょっとだけ歪んでましたが。
この世界はわかりませんが、水平線に進む船が下から沈むように見えなくなるようなら球体と考えていいんじゃないでしょうか。
地動説は天文学のデータが蓄積されると証明されました。
自分の世界は宇宙に浮かぶ天体の一つであり、自転しながら太陽を円軌道で周回する惑星であり、月という世界を円軌道で周回する衛星を持っていました。
太陽を周回する惑星は複数あり、地上から観測できるものもあります。見かけ上の動きがほかの星と違うことから特別な星と解釈されていましたね。
もう一度言いますがこの世界のことはわかりませんので。
ただ、自分の世界では、球体で自転しながら太陽を周回するということがわかり、星の動きに説明がつきました。
それまでにも観測で分かっていたことの裏付けが取れた形ですね。
そして計算で球面上の現在位置が算出できるようになったわけです。
太陽の角度や、特定の星の角度を測定することで、ですね。
どうも、古代以前の国々の一部は同じ発見をしていたらしい形跡があるんですが、宗教によって世界は平面であるとされていた事でその知恵は失われていたようです。
ともあれ、陸が見えなくとも現在位置と方角がわかるのであれば、航海可能範囲は一気に広がります。
外洋航海はつまり長距離航海でもあります。
さて、長距離航海は必要だったのか。
実はですね、かつて遊牧帝国によって接続していた陸の交易路が、遊牧帝国の分裂や経路上の国の勃興によって使えなくなったんですね。
道中のコストが上がりすぎました。
交易で得られる品が手に入らなくなったことで、どうにか流通を確保できないかという動きが生まれたのです。
その中の一つが新航路の開拓というわけです。
そしてそれは、外洋航海技術の確立という形で結実します。
これによって大航海時代と名付けられました。
時代は大型船による長距離交易になったわけです。
ちょっと面白い話があって。
交易の目的としていた地域が東の方向にあったんですね。
でも、東へ向かうと地形の都合、大きく回り込まなければならず、必ず海がひどく荒れる難所も越えなければならなくて大変でした。
しかし、世界が球体であるならば、西側からぐるっと目的地に行けるんじゃないかと言って西に進んだ人たちがいまして。
ええ、理屈は正しいです。
世界の球体説を証明することにもなります。
その挑戦ですが。
新大陸を見つけてしまったんですね。
目的地との間に南北に長い新大陸があってぶつかってそこを目的地と勘違いして地名に目的地の地名をつけてしまったという。
いえ、新大陸というのは航海技術を開発した文化圏の人たちにとってであり、現地の人々にとってはただの地元だったんですけどね。
のちに世界は一周されて、世界の球体説は証明されました。
ただ、東回りよりも厳しい海域を超える必要があって大変だったみたいですね。
さて、過去にないレベルで世界が繋がりました。
過去に起きた問題と同じことが各地で起きたりもしました。疫病とかね。
長期の航海になると必ずと言っていいほど起きるが原因がわからない病気が発見されたり。
船の輸送力によって過去にない規模の交易がおこなわれました。
「原因不明の病気とは?」
口の中や肌の色がおかしくなったり関節がいたくなったり、手足がしびれたり、動悸、息切れがおきたり、怪我が治りにくくなったり、といった症状が出たらしいです。
この病気が解き明かされたのは結構後になってからなのですが、食べ物に原因があるらしいことはそれなりに早く突き止められました。
結論から言うと、野菜や果物などに含まれるある成分が不足すると、人体は正常に機能しなくなり、長期にわたると症状が悪化して死に至ることもあるというものでした。
食べ物はお腹が膨れればいいだけではなく、その中に複数の要素があって、それぞれを適量摂取することで理想的な体調や成長ができると、そういうことが分かったんですね。
これは原因を究明しようとしていた医師による比較実験で証明されました。
のちに食料の成分についても解析が進みましたが、当時は保存がきく果物や酢漬け野菜などを食事に加えることで対応していたようですね。
原因が原因なので、陸上でも発生しうることもわかりました。
年を取って偏食になった年配の方や、好きな物しか食べないお金持ちなどに事例がありました。
え、詳しくですか?
それはこの世界の食べ物で実証試験してもらいたいですが。
自分の世界の食べ物ですと、肉と豆、野菜や果物、穀物や砂糖、乳や海藻など、その他、といった感じで大雑把に要素が分かれていまして、その中でも食べ物によって含有量が違いますし、例外もあるので。はい。
肉と豆は筋肉を育てたい時、怪我をしたあとなどに大事な食べ物です。
野菜や果物は体調を正常に整えるための要素があります。
穀物や砂糖、そして脂は通常活動する際の力に変化しますが、過剰に摂取すると太ります。
乳や海藻、骨などは骨や歯を強くしたり、野菜などとは違う体調の調整をしてくれています。
その他はまあその他で。
自分の時代には、普段からいろいろなものをバランスよく摂取するべしと、幼少のころから教えられるくらい重要なことと教えられていましたね。
あと甘いものばっか食べすぎるなとも。
一方でいっぱい頭を使った時、甘いものを摂取すると集中力が戻るとか。そういうこともね。ありました。
あとそうですね、はげしく運動をした後すぐに肉や豆を摂取することを継続すると筋肉がどんどんつきますが、脂を一緒に多くとりすぎると効果が薄くなるとか。
とはいっても、食べ物については複合的に働くので表面だけ真似して全然効果が出ないという人もいましたね。
個人の体質もありますから、理論だけでなく一人一人に合ったケアをできる訓練補助者が仕事になったりしてました。
※記録者注
食料に関する研究へ予算配分を検討。
お気に入りと評価してくれたらうれしいな。




