015 近世1
ひとまず中世は区切りとして、ここから近世ということにして話を進めますね。
自分の世界ではいろいろ正しい区切りや流れがあるはずですが、なにぶん記憶を頼りに話しているので覚え違いや勘違い、忘れたものなどあるでしょうが、ご容赦ください。
さて、絶対王政という体制を支えるのに必要なのは経済の発展と言いましたが、それ以外にももちろんあります。
すでに話した軍事力もそうですし、技術の発展もですね。学問の進歩もです。
宗教による抑圧からの解放、そしてなによりヒトモノカネの集積、必要なものを生みだそうという圧力が経済力や軍事力の発展に寄与しています。
冶金や加工技術の進歩で軽く小さく複雑で丈夫なものを作り出せるようになったりですね。
実際のところ、当時国力を高めた国は、豊かな地域ではありませんでした。
農作物にあふれる豊かな地域は古代から発展しており、このころ発展した地域は古代では辺境でした。
豊穣の恩恵を眺めつつも、厳しい環境にあることで、流通が発展し、また対抗するためにも技術や学問の進歩が必要だったのではないか、と考えています。
逆にあまりに環境が厳しくても発展できなかった。
ちょうどいい厳しさと豊かさとの距離だったのではないかと思います。
適当に湿地に種をまくだけで、必死で技術と知識を生かした農業をしている地域の何倍も収穫が得られるなら、そんな頑張らないでおおらかになるでしょうからね。
さて、経済発展のところをもう少し。
経済力はどうやって発展するでしょうか。
商取引が盛んに行われることです。
おカネが使われると別の誰かがおカネを得ますね。するとその誰かがまたお金を使うことができます。
おカネを得た人がおカネを使い得た人がおカネを使い得た人が使い得た人が使い、とおカネが巡ることで、取引量が増えますね。
一定の期間に、何度も同じお金で取引があればより経済規模が大きくなりますね。
ですがそれを妨げる要素があります。
まず将来の不安。貯蓄しようと思ってしまいますね。貯蓄するとおカネの循環が止まります。将来の不安がなくなれば、みんなおカネをたくさん使うようになります。
税金。税を支払うことで、循環するおカネが止まります。税を受け取ってすぐ使えばいいかもしれませんが、税の計算もしなきゃいけませんし、税が正しいかチェックしなきゃいけませんし、国家の予算の使用はきちんと検討しなきゃいけません。
対価を払う対象、商材やサービスの不足。欲しいものややりたいことがなければおカネを払いたいと思いません。
おカネの不足。そもそも使えるおカネを持っていない。収入が少ない。
盗賊やスリなどの犯罪。おカネを奪われる。
物理的、時間的制約。おカネ、コインが足りない。移動や検討など、様々な理由でおカネを使うまでの間隔が伸びる。
概念の上では一枚のコインで無限に取引できますが、実際には不可能です。
これらの課題を解決することで、より経済規模が大きくなります。
つまり、たくさん給料が支払われて、商材やサービスが満ち溢れ、将来の不安がなく希望があって、市場全体に潤沢に通貨があり、治安が良い。他にもあるでしょうけど、すぐ思いつくのはこんなところです。
この中の多くは、商人の利害と一致することがわかるでしょうか。
商人が儲かっていると、商材やサービスが供給され、多くの人が雇われて給料が支払われ、儲かっているので希望があり、また治安が良いことは商人にとって最も大事なことです。商人は暴力や犯罪に弱いので。
そんなわけで、絶対王政の時代、商業重視の政策を取りました。
それによって商人たちは儲かりますが、問題も生じます。
まず、盗賊や泥棒です。
儲かってると狙われちゃいますよね。
そこで、現金を預かるサービスが生まれて発展します。
強固な金庫を用意して確実に補完しました。
そして預かり証を発行します。偽造されないようにさまざまに工夫されていきました。
そのうち、次の問題が起きました。
コインの流通量が足りないのです。
コイン、通貨は市場を巡ってこそですが、足りないと取引が硬直してしまいます。
市場にある商材やサービスの規模に見合った量の通貨がなければなりません。
しかし、経済が発展し続けている状況では、適切な通貨量というのはわかりにくいですよね。
こんなに経済が発展したのは史上初めてのことでもありますからなおのこと。
だからと言って、通貨を大量に鋳造すれば解決するという問題ではありません。
まず金銀の量には限りがありました。
かといってかさましして品質の低い通貨にすると通貨の価値が下がります。商人は品質が低い通貨を使いたがりません。他の国に行ってしまうかもしれませんし、通貨の価値を低く見るかもしれません。
額面が同じにしても、他国通貨と比較されて通貨安を招きます。
そういう状況で、商人たちはいくつかの方法で取引を行います。
たとえば相互に売買する取引相手であれば、月末払いとして、月末にに帳簿を見合わせ差分だけ渡す、とか。
貸した金の証書を通過の代わりにするとか。これは返してもらえるかどうかという点で外工面より安く扱われることが多いですね。
そして、おカネの預かりサービスの預かり証を通貨の代わりとする、ということも。
預かりサービスはなによりも信用が大事な商売であるということはわかると思います。
返せと言われれたとき、すぐに返せなければなりません。
そもそも商人の命であるおカネを預けるのですからそれだけ信用があるということですよね。
そんなわけで、預かりサービスの預かり証が通貨と同様に使われるようになりました。
そうなると不思議なことが起きますよね。
預かりサービスの金庫の中と、預かり証、どちらにも価値があるとみなされるのです。
預かりサービスが信用されていることで。
一方その頃、預かりサービスは貸金サービスを始めました。
なぜか金庫の中におカネがいっぱいあるので。信用できるところに貸すことで確実に利息を取るわけですね。
そういうサービスを始めたところを自分の世界では銀行と呼びました。
こうして、金庫にしまわれていたおカネも市場に流通することになります。
「銀行が金を貸していては預けた者たちが返せと言い出した時に困るのではないか?」
それはそのとおりで、そんなときにすぐ返すことができない場合、銀行の信用が損なわれ、つぶれます。
ですが例えば100人から100ずつ預かり、一人に100貸すのはほぼ問題にならないだろうことはわかりますよね?
預金者が一斉に返せと言わなければ問題ないんです。どうせ彼らは預かり証で取引しているわけですし。
だからもうちょっと貸し付けても問題ないですよね。
貸す相手も慎重に選ぶし、担保も取ります。土地や貴重品などのですね。銀行に大きな額を預けている相手に、預かり証の形でおカネを貸せばリスクも小さくなりますね。
それに預かる相手も選びます。質の悪いやつとは取引しないようにします。
商人も銀行におカネを預けられないのは困りますから、よほどの理由がなければ談合しておカネを返せと言いに来るようなことはしません。そうしても全額返ってこなくなる可能性が高いですしね。
談合して強引に返せとするような商人にはほかの銀行も取引したがらなくなるでしょう。潰されるので。
付き合いのある商人の信用もまた銀行の信用になるわけですね。
そして銀行の規模が一定を超えると、預かる相手を選ぶ必要もなくなります。充分なおカネが金庫にあるようになるので。
そうやって、市場に流通するおカネが調整されていくようになりました。
これは信用という形のないものによって生まれる幻想のような価値ですが、これが成立するようにならないと通貨流通量の問題で経済発展は頭打ちになるかと思われます。
このような預かり証から、銀行券というものが生まれました。
コイン同様に扱え、偽造が難しい、紙のおカネがわり。ということで紙幣と呼ばれます。ただ、難しいとはいえ、偽造問題に悩まされることにはなります。
また、貸付た証書も通貨に準ずる扱いを受けるようになります。貸し付けた先の信用によって額面から目減りはしますが。
国や大商人、ほかの銀行などへの貸し付けた証書は相当な信用がありますよね。
このように、信用がカネになるシステムが生まれたのです。
※記録者注
騙されているような話だが、嘘はついていない。
お気に入りと評価してくれたらうれしいな。




