初登校のドキドキ♡
朝の光が差し込む学園の門を前に、私は深く息を吸った。灰色の肌、ひび割れた指先、腐敗の匂い——ゾンビとしての自分が、まさか学園生活に足を踏み入れるなんて、夢にも思わなかった。胸は高鳴り、手は少し震える。制服のスカートは完璧に整えたつもりでも、どこかぎこちなく見える。
「大丈夫、私ならできる」
小さくつぶやき、門をくぐる。校庭にはすでに学生たちが集まり、笑い声や話し声が混ざっている。その中で、私の灰色の肌が目立つのは否めない。視線が集中するたび、心臓が早鐘のように打ち、ドキドキと胸を震わせる。
クラスに入ると、周囲の目線が一層強くなる。友達同士の囁き、驚き、好奇心——すべてが私に刺さる。でも、私は笑顔を作り、丁寧にお辞儀をする。ぎこちないけれど、意識して優雅に振る舞う。腐敗した体とお嬢様らしい所作のギャップに、自分でも少し笑いそうになる。
授業中も、体のバランスがまだ完璧ではなく、机の角に手をぶつけそうになる。でも、隣の席のクラスメイトが優しく「大丈夫?」と声をかけてくれた。その一言に、胸の奥がじんわり温かくなる。腐敗した体でも、誰かに受け入れてもらえる感覚が、こんなにも心強いなんて思わなかった。
休み時間、校庭に出ると、夕陽が赤く染まる空の下、影が長く伸びる。腐敗した体の私でも、この場所に居場所がある——そう感じる瞬間、心が小さく震えた。転んだり失敗したり、笑われたりする日もあるかもしれない。それでも、この一歩を踏み出したことが、確かな希望に変わる。
「ゾンビだけど、私もここで生きていけるんだ」
心の中でそうつぶやき、少しだけ背筋を伸ばす。胸の奥がぎゅっと熱くなる。笑いと涙、ちょっぴり切なさと胸キュン——すべてが入り混じった学園生活が、今まさに始まろうとしていた。
教室に戻ると、友達の笑顔が少しずつ私の不安を溶かす。腐敗した体でも、少しずつお嬢様として、そして学園生として、歩いていける——そんな小さな確信を胸に抱きながら、私は次の授業へと向かうのだった。




