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EP.3 静寂都市

【その後は手も足も出せずにボコボコされて死んだね】

「うるさい。悪いか?」

【全然。むしろよく頑張ったじゃない?今回10分も粘ったわよね?】

「まあな。最初の秒殺から10分、成長したっと言えば成長したな」


自嘲気味で言い返す。

粘ったところで勝ってるわけがないのに…しかし粘らないと、勝機は絶対に見つけられない。


天聖族の聖術、魔星族の魔法、人類の科学武器…果ては伝説の武具、聖剣、魔槍など。それらの攻撃手段を無効化できる邪神相手に、俺が今までの時間逆行で世界中に飛び回って集めた知識を元に、一から編み出した対終焉(じゃじん)用術ーー「終焉スキル」で対抗しようとした。

既存のスキルをあらゆる組み合わせして、さらに属性の力を足すことで新スキルへと昇華させる。そしてそれは自分のものではなく、他人の元々の能力も進化させることができる。相容れない聖なる力「聖力」と魔なる力「魔力」を融合できたのはその術のおかげだ。


それでも何百回の試行錯誤でやっと邪神を8柱倒せるようになたっが、しかし最後のあの邪神にどうやっても通じなかった。…そういえば…


「確か、名前聞いた気がする」

【名前?邪神の?】

「ああ、アイツの髪に傷をつけたご褒美に名前を教えてくれると」

【ふむふむ、髪に傷を付けることできたね。すごいじゃない】

「褒められる気がしないな」

【それで、名前は?】

「確か…ラグドジェルだ」

【…ラグドジェル。分かったわ。私の方もそれを元に手掛かりを探すわね】

「頼む」

【じゃ、今回はこれでいいかな?】

「ああ、どうせもうやりようがないだろう」

【そうね。あ、念のため言っときますが、次は9()の回だから、やりたいことあれば今のうちおすすめするわ】

「…分かってる」

【では、また】


セラトリスは別れの挨拶を済ませ、そのまま消えた。彼女曰く、女神として長い時間に人間の世界に顕現できない欠点があるらしく、毎回俺が逆行した後の一時間内は必ず会いに来る。状況確認と彼女は言ってるが、俺の負け様を見て楽しみたいだけかもしれない。


「…とりあえずもうちょっと歩くか」


街は静かだ。それは昔この街に住んでだ人のほとんどは俺の予言「この都市は邪神に狙われてる、死にたくなければ逃げろ」を受けて、他の国に移住したからだ。一部残ってる人は「他の国に頼れる人いないから逃げられない」か「故郷を離れたくない」、などの理由で残った…俺もその一人だ。


それにここを離れても、最終的に世界は完全に消滅されることはもう知ってる。だから逃げることは無駄。この年の最終の日に、アイツ…ラグドジェルは絶対に世界を破壊できる大技を放ち、この星を無に帰す。


「コンビニ寄るか」


近くに見かけたコンビニに入る。今は全自動化したから、店員もちろんいないけど、客もいない。

俺はそのままアイスコーナーへ行って、好物の「パニックアイス」を手に取る。わさびと他もろもろが入ってる甘いアイスだ。食べたら強い刺激と痺れで頭がスッキリする効果がある。

会計カウンターに立つと、自動スキャンされ、会計詳細の電子映像が浮かんだ。確認を押すと口座から直接金額が引かれた。

そのまま店を出たところ、


「きゃ!」

「うお…!?」


何かにぶつかれ、倒れそうになったところギリギリ足を踏ん張った。


「いたたた…」

「ふう…危ないじゃないか、アイリス」


目の前に学生服を着てる、床に尻餅ついてる少女に手を伸ばす。不意に彼女を見る視線の隅に何か白いものが入った気がした。


「…きゃ!」


彼女も自分の状態を理解したのか、慌てて両足を閉じて大事の場所を隠すようにして、俺の手を取って立ち上がった。


「…見た?」

彼女は真っ赤な顔で小声で恐る恐ると俺に尋ねる。

「見てない」

「…本当?」

「本当」

「…でもお兄さんだったらいいか」

「よくないだろう」

「やっぱり見たじゃん!」

「あー悪かった、悪かった」

「もう…ぷふふ」

緊張がほぐれたのか、彼女が笑い出した。

アイリス・O(オー)・エディリス。ピンクの長い髪が特徴の彼女を含め、彼女の家族全員は俺と同じく訳あってこの都市に残った数少ない人で、家も近所だから、よくこういう風に街中に出会う。

見た目通り学生だが、今このユーグに学校へ行く必要もない。教師も逃げたからだ。しかし会うたびに彼女は大体学生服を着てるから、印象が深い。


「で、何で走ってた?」

「あ、それがですね。久しぶりに全力で走ろうかなって。運動しないと体鈍ちゃいますから」

「…それはそうだが、場所ちょっと選べ」

「はい…あれ、そういえば何でお兄さんがここに?」

「何でと言われても、散歩中だから」

「えっと、そうじゃなくて…だって、あれ」

アイリスは指で放送モニターの方を指した。

「生放送ですよね?」

「あ…」

説明面倒くさいことを聞かれた。

「あれだ。ちょっと似てる人に頼って、俺の代わりに出ることにしたんだ」

「じゃあ、サボり?」

「サボりじゃない。ちゃんと出てるからな」

「屁理屈」

「うるさい。とりあえず俺は行くぞ。お前も気を付けろよ」

「はい~」

俺は逃げるように歩き出し、アイリスもしつこく聞くなく、俺に元気よく手を振った後に走り出した。


(分身でテレビ出ることバレたら色々面倒くさいな…)


今生放送に出てる「俺」は、分身だ。

しかし単純の分身ではなく、力と記憶と知能、本物とほぼ同じの作り物。ただ邪神の戦いにおいては分身の力も無効化されるから、役に立つのは放送という面倒なことと邪神種の掃除だけ。


「さて…後はどこを回す…」


ドンーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!


次の行く場所を考える途中、ユーグの外に光の柱と爆音が響いた。

「それは…」

その力、その眩しい聖なる光を出せるのは、この世に一人しかない。

「…どうせやることないし、行くか」


俺は光が照らしてる場所へと歩き出した。

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