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まほろく短編集  作者:
10/23

書いてみた9 (サブキャラ達のあれこれ①)

BLあり、Rあり

〇イトマの場合


 胸にすっぽりとハマる小さな身体。同じシャンプーを使っているのに、自分からは決して匂わないような甘い香り。くりくりとした大きな目はこぼれそうで。唇は潤いを帯びて艶やかだ。そんな彼女たちが好きだった。誰がって訳じゃない、彼女、たちなのだ。それを許してくれる女の子とは関係を持った。所謂セフレだ。こんな隔離された学校で、暇潰しといえばこれだった。女の子の方だってこんな生活を何年も続けていれば飽き飽きだったのだろう、わりとあっさり関係を許してくれる子もいた。まぁ、一緒に気持ちよくなれるならこんないいことはない。お互いが暇になったら誘いあって寝る。そんな感じ。

 だけど、あの子は違った。好みのドンピシャだった。一目見たときから欲しいって思った。自分の下で喘ぐあの子を見たかった。どんなことをしてもいいって思った。

  誰もいない講堂で、あの子を引き倒し、動きを奪い、無理矢理に犯した。誤算だったのはあの子が男の子だったことぐらいだろうか、だけどそれすらどうでもよくなるくらい、あの子が喘ぐ姿が、不本意に感じてしまうことに悔しがる声が魅力的だった。

 今までどんなに可愛い女の子にだって身体さえ気持ちよければよかったのに、挿れて腰降って放って、それだけの対象だったのに。

 あの子にハマっていく自分がいた。

 なのに。

「あぁぁぁ……………。ヤりたい……………」

 視線の先にはあの子がいた。きゃっきゃ、楽しそうにいつものメンバーでつるんでいる。声はかけられない。だって側であの男がらんらんと目を光らせているからだ。

 あの一件以来、アイツのせいであの子に話しかけるどころか側に寄ることさえ許されなくなっていた。

「欲求不満か、おい」

 目の前に座っているのはイザークという者。こいつも俺と同じT級だ。190近くある身長は俺の頭を遥か高みから見下ろす。顔はまぁ、俺ほどじゃないけどイケてない訳じゃない。身長が高いせいだと思っているが、けっこうモテている。ちくしょう。

 気が付けばいつも一緒にいるから、仲はきっといいんだろう。数少ない男友達だ。

「適当にいつものセフレ呼び出せば?」

「そうなんだけどさー。」

 そんな気分じゃない、と言ったら驚かれた。

「お前はセックスしないと生きていけないんだと思ってた」

「バカにしてんの」

「外れてはないだろ」

 そうなんだけどさー、ともう一度繰り返す。

「こう、すぽっと腕に収まって、くりくりの大きな目で、うるうるした唇のネコちゃんは落ちてないもんかなー」

「なるほど」

 俺の視線の先を追い、納得したような顔をする。

「ドンピシャだな」

「だろ」

「まぁ、俺の目の前にもいるけどな」

「あ?まじか、何処だよ。教えろよ」

 きょろきょろとまわりを見回すが、可愛い感じの人間はいない。むしろ、こんなの喰えねぇよっていうムサイ男がたむろっているぐらいだ。あ、ラムセスがいる。まぁアイツなら目を瞑ってヤったら美味しいかもな。でも俺より背高いから全然収まんないじゃん。ムカつく。そう考えたら、いないじゃん。

「いねぇじゃん。」

「いるよ」

「?誰だよ。ラムセスとか言うなよ、ムカつくから」

 イザークの目は楽しそうに俺を見つめてくる。何だよ、ともう一回まわりを見回すけど、いない。あきらめて向き合うと、目の前に何かあった。

「ほら、収まる。目、くりくり。顔、可愛い。揃ったろ?」

 イザークの腕のなかにすっぽりと収まる。両肩がすぼまるほどの強さで抱き締められた。一瞬、何が起こったか分からなくってきょとんとしてしまう。イザークの香りが鼻腔をくすぐった。男の匂いだ。

「な、な、な!!ナニやってんだよ!」

 もがいて離そうとするが、如何せん体格差がある。とてもじゃないけど引き剥がせそうになかった。廻りに助けを求めようとしたが、各々のことにしか興味がないようだ。まったく気にもしない。

「ん?たまにはB級グルメを勧めてみたんだが、どうだろう。」

「どうだろうって、どういう………むぐっ?!」

 身体を引き寄せられたまま、顎を掬われて上向かせられる。そして、唇が重なった。軽いリップキスした後、唇を割られて歯茎を舐められた。男は攻める側なのに。俺、これって攻められて…………っ。

 肩を竦めてされるがままにしていたら、ちゅる、と唇が離れていった。

「こういう意味。どう?」

「…………どう、って…………」

「これはこれでイケるかもよ」

「……………ひ、まつぶしには、いいかもな」

 ちくしょう、今のキスだけで勃ちあがりかけてるとか、どんだけ欲求不満だったんだ………。お前、こんなに上手かったのか………?いつの間に。

 イザークの男らしい顔が、俺の顔の横に来る。耳元に息を吹き掛けてきた。

「ぅひゃ!」

「んじゃ、俺の部屋、来いよ」

 俺はびくん、と肩を震わせると小さく頷いた。

 するとイザークはにやりと笑い、また小さく囁く。

「な?いたろ。かわいいネコちゃん。」

 俺はそれに顔を赤らめると、ゆっくりとイザークの隣を歩き、その腕に絡み付いた。


END

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