平行線 2
大きな人は、今まで一方的にコトバボディーブローを小さな人に入れ続けてきました。
しかし、初めて小さな人から反撃され、驚きとショックで間髪入れずにコトバ右フックを思い切り小さな人に入れました。
大人に向かってなんてことを言うんだ
金をかけて苦労して育ててやっているのに生意気だ
こんなにひどい性格だと周りと上手くいかない
その曲がった根性を叩き直してやる
その時はノックダウンした小さな人でしたが、再び立ち上がり、時間をかえたり、場所をかえたりして、何度も何度もコトバボディーブローを大きな人へ返しました。
小さな人はその技しか使えませんでしたが、大きな人は色んな技や反則技を駆使して思い切りやり返してきました。
傷だらけになって倒れた小さな人は、何だかとても悲しくなりました。
ただ、自分をみて欲しくて
ただ、ぎゅっと抱きしめて欲しくて
ただ、優しく微笑みかけて欲しくて
ただ、本当に愛されているのか確かめたくて
ただ、欲しいモノを手に入れて安心したいだけなのに、まったく逆のことをされるのはなぜだろう?
傷だらけの小さな人は、いろいろ考えました。
大きな人にノックアウトさせられるのがいけないのかな?
大きな人と同じように、相手を倒すくらい強くならないといけないのかな?
小さな人は、目の前のお手本を参考にして、コトバボディーブロー以外の技を習得しようと決心しました。
大きな人よりも強力な技を使ったら欲しいモノをくれるかな、と思ったからです。
大きな人は、自分と同じ技やそれ以外の大技を次々と身に付けていく小さな人を見ていて、嫌悪と恐怖を感じました。
そして、手に負えなくなって大敗する前に、小さな人を自分の中から排除しようと思いました。
交わることのない思い
歩み寄りのない平行線
その先には……