平行線 1
大きな人と小さな人のお話
あるところに、大きな人と小さな人が住んでいました。
大きな人は、やることがいっぱいで、いつも忙しくしていました。
小さな人が思い通りにしないと、大きな人の時間割りが乱れてしまうので、イライラしながら言いました。
早くしなさい
言ったことをきちんと守りなさい
〇〇ちゃんのようにしなさい
おまえは××だから困る
余計なことをするな
うるさい黙れ
大きな人から見たら全然できないので、ほんの少しできたとしても怒られるばかり。
いつも一生懸命頑張っているのに、1個でも間違えると色んなことをいっぺんに言われるので、小さな人はどうしたらいいのか分からなくなりました。
このように、精神的ダメージを与えて動けなくする技の名前をコトバボディーブローといいます。
小さな人は、大きな人の言った通りにしても、まだまだ上手にできません。
そのため、次々と追加で繰り出されるコトバボディーブローを受けてますます動けなくなり、どんどん上手に出来なくなってしまいました。
自分はここに居るのに
自分はここに居ない
そんな感じがした小さな人は、不安でいっぱいになりました。
同時に欲しいモノがいっぱいになっていきました。
それでも、こっちを見て欲しい
それでも、ぎゅっと抱きしめて欲しい
それでも、一番好きと言って欲しい
それでも、優しく微笑みかけて欲しい
欲しいモノが沢山あふれてきた小さな人は、コトバボディーブローを覚えることにしました。
大きな人と同じ技を使ったら欲しいモノをくれるかな、と思ったからです。
そうして、初めて大きな人にコトバボディーブローを返しました。