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蒼き星の子と機械仕掛けの獅子王レグルス  作者: 常聖大
高校1年生編 1章
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高校1年生編 1章 第7話 祖父からの提案

次回は4月4日投稿予定です。

 紅鏡邸は流石に資産家だけあり広い。しかも当主郷太郎のいる和室は邸宅の端に位置するまで、いささか時間がかかった。

 和室の前で星辰は(ふすま)をノックした。

 この襖、一見するとただの襖に見えるが、金属製でロックされている。中からロックを解除してもらわないと入れない。


「誰か? 星辰かね?」


 部屋の横にある、インターホンから郷太郎の声が聞こえてくる。


「はい。おじいちゃん。星辰です」


「そうか。入ってくれ」


「はい」


 星辰が返事をすると、襖は自動で開いた。自動の様だ。

 和室は戦国時代の千利休好みの()()のある質素な部屋だ。とは言え、流石それ相応の広さはある。

 窓の前に障子があるが、今は両方開いて部屋に微風が入ってきている。庭が見えるが、こちらもいかにも和風と言った(おもむき)がある庭だ。静けさがあると言うべきだろうか。


「あれ? 先生もいらしたんですか?」


 部屋の中には郷太郎の他に、星辰の教育係とも言うべき月影が正座で座っていた。郷太郎は胡座をかいている。


「はい」


 月影は微笑みながら正座のまま星辰に頭を下げた。


「私が月影さんを呼んだんだよ。まあ、まずそこに座りなさい」


「はい」


 郷太郎に促され星辰は正座で座った。

 最も上座に郷太郎が座り、横に月影が座っている。星辰は郷太郎の真正面に座った形だ。


「わざわざ来てもらってすまんな」


 星辰が座ると郷太郎は星辰に詫びた。


「いえ。でも、どの様なご用件でしょうか?」


「うむ。月影さん」


「はい……」


 郷太郎は月影に指示すると、月影が置いてあったカバンか何かから複数の冊子の様な物を取り出し郷太郎に渡した。


「うむ。星辰これを……」


 月影から渡された冊子を郷太郎は、そのまま星辰なな渡した。5冊はある。


「?」


 星辰は受け取ってみたが、何のことか分からず狐につままれた様な顔をした。


「ともかく開いてみなさい」


「はい」


 郷太郎に言われた星辰は受け取った冊子を次々と開いて見た。


「これは?」


 全て別々の女性の写真が1枚挟まっている。全員、星辰と同じ年代と思われる少女の様だ。なかなかの美人揃いだ。


「お見合いの写真じゃよ。全て名家のご令嬢じゃ」


「え、お見合い!?」


 見合いの写真と言われ、流石の星辰も驚いた。


「お前を是非娘の許婚(いいなずけ)にといくつかのお宅から言われてな。良い機会じゃ、そのうちの誰かと見合いしてみんかね?」


「お見合いだなんて、僕は今年で16歳ですよ」


「なんの。昔は15で元服した。な、どうかね?」


「残念ですが……。全て丁重にお断りください」


「そうか……。突然すまなかったな」


「いえ」


「あまり聞くのはデリカシーが無いかも知れんが、学校に好きな娘はいないのかね?」


「いえ。それも……」


「そうか」


「あの、おじいちゃん。ありがとうございます」


「急になにかね? 礼を言われることはしていないと思うが……」


 郷太郎は少し面食らった様な顔をした。


「おじいちゃんは僕の事を気にかけて、このお話をしてくれたんだと思います。だから……」


「……」


 郷太郎はどう答えたら良いか分からず黙っている。


「ただ、僕はあのラートルが言う様に、他人に恋愛感情を持つことが出来ない様につくられているのは本当の様です……」


「……」


 ここは郷太郎も月影も沈黙し、星辰の言葉を待った。


「おじいちゃんやお姉ちゃんの事は家族として大事に思ってます。またルベルやニーナは仲間として、クラスメートも友人として大事です。ですが、他人に恋愛感情を持てるかと言うと、先程も言った様に僕には出来ないみたいなんです」


「星辰……」


 郷太郎が寂しげな表情で星辰を見た。


「でも、それで良いのかも知れません。僕は銀河連邦の警察官です。宇宙犯罪者との戦いで命を落とすかも知れませんし、そうならなかったとしても伴侶(はんりょ)となる女性を不幸にしてしまう気がするんです」


「その女性を愛せないゆえに?」


 ここで月影が口を挟んだ。


「はい」


 星辰は短く答えた。


「……」


 郷太郎は黙って複雑な表情を変えてない。


「ではおじいちゃん。先生。失礼いたします」


 星辰はそう言って立とうとした、その時。


「む」


 月影が左手首を気にする様子を見せた。


「どうしたのかね? 月影さん」


 月影の様子に郷太郎が何があったのか(たず)ねた。


「ロカから電話が入りました」


「ロカさんから?」


 郷太郎が怪訝(けげん)な顔をする。


「この様な時に申し訳ありません。一度切って、折り返し電話いたします」


「いえ、何か緊急の事件かも知れません。出た方が良いのではないでしょうか?」


 星辰がそう言うと月影は郷太郎の顔を見た。郷太郎が頷く。


「では……」


 月影はそう言って、左手首つけている腕時計を自分の胸の辺りまで近づけてスイッチを押した。

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