高校1年生編 1章 第6話 下校
次回は3月28日投稿予定です
放課後。
下校時間となった。
星辰もまた他の生徒たちの中に紛れて下校していた。
「おい」
「あ、ルベル」
下校途中星辰はルベルに後ろから呼び止められた。
「め、珍しいね。下校の時は女の子と一緒だと思ってたけど」
星辰の横に来て一緒に歩き始めたルベルを星辰は少し身構える様に話しかけた。
「たまたまだ。こう言う日もある。それよりお前なんで身構えている?」
「いや、だって……」
「オレが毎回、お前に絡んでくるとでも思っているのか?」
「だって、そうじゃないの?」
「お前をオレをなんだと思っている」
ルベルは星辰に少し顔を近づけてきて怒りの声をあげた。
「いや、だって……」
「ふん。まあいい。それにお前に絡んでくると言ったらベロニカだろう? 今日、屋上でな」
「見てたの?」
「それもたまたまな」
「そう……。彼女、僕のどこが良いんだろ?」
「さあな。お前の家が金持ちだからとかじゃあないのか?」
「彼女名門の生まれじゃあ無かったっけ? お金には困ってなさそうだから、それには興味無いと思う」
「じゃあ、ますます分からんな。あの女、子供の昔から男にはモテていたらしい。それが、なぜかお前にぞっこんだ。今も言った様に理由は分からんがな」
「まあ、そうだよね……」
「まあ、試しに付き合って見れば良いじゃないのか? アイツ顔は悪くないし、頭も模試で学年3位だ。案外お前とうまくいくんじゃないのか?」
「好きでもないのに無理だよ」
「ふん。まあ、お前はそう言うヤツか」
「……」
「まあ、アイツはオレもお断りだかな」
少しの沈黙の後にルベルは口を開いた。
「え、そうなの? でもベロニカが君の事に興味がない事にはムカつくとかなんとか言って無かったっけ?」
「アイツがオレよりお前になびいていることは確かに多少だがムカつくが……。とは言えあの女は悪く言ったら粘着質だ。下手すると一生付きまとわれるな」
「ま、まさか。ハハ……」
星辰は乾いた笑い声をあげた。
「まあ、せいぜい頑張れ。オレは家はこっちだからな。じゃあな」
分かれ道になりと、ルベルはそう言うなり星辰に背を向けて自身が一人暮らししているマンションへと歩き始めた。
「あ、うん、さようなら」
ルベルを見送ると星辰は紅鏡家へと歩き始めた。
紅鏡邸。
帰宅した星辰は、帰宅後すぐにメイド服の女性に呼び止められた。
「星辰様」
かつて星辰を護衛していた護衛メイドの一人、イギリス人女性のソフィーである。
星辰に護衛の必要性がない今は、紅鏡家のメイドの傍ら、紅鏡家で預かっているコルムの護衛の任務にあたっている。
メイド服ではない服を着て、事情を知らない人間にソフィーをハリウッド女優と紹介したら、10人いたら10人信じるだろう。それほどの美人だ。
「あ、ソフィーさん」
「旦那様が和室に来てくれとのことです」
「おじいちゃんが? なんだろう? 分かりました。ありがとう」
「星辰様。制服から私服に着替えられますか?」
「大丈夫。このまま行きます」
星辰はソフィーにそう言うと、紅鏡家当主郷太郎がいる部屋へと向かって歩き始めた。




