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6章 第40話 運命

次はやっと新章になります。

2月14日投稿予定です。

 その時、部屋の備え付けの電話が鳴った。

 誰かが二人のいるこの部屋を訪ねてきた様だ。

 月影が鳴っている電話をとる。


「星辰君? もう体調はよろしいのですか? そうですか……。分かりました。お入りください」


 月影は電話の受話器を置き部屋の開閉ボタンと思わしき物を押した。


「星辰君か?」


 ロカが月影に(たず)ねた。


「はい」


 月影がロカの方に顔を向けると扉を開ける音がした。そして、コツコツ足音が近づいてくる。


「星辰君」


「月影先生」


 月影に名前を呼ばれた星辰はニコッ笑うと月影の名前を呼んだ。


「もう体は平気なのかい?」


 ロカが星辰に尋ねる。


「心配をおかけ申し訳ありませんでした。でも、もう問題ありません」

 

 ロカを見た星辰が屈託なく答える。


「星辰君、しかしな……」


「貴方は二日は寝込んでいたのです。まだ、もう少し静養した方が良いのでは?」


「本当に大丈夫です。動かない方が体が鈍ってしまいます。ソフィーさんも激しい運動でなければと言ってました」


 見かけでは確かに大丈夫な様に見える。


(あの怪我、普通の人間だったら死んでいてもおかしくないが……)


(ヒーリングは怪我は治せても疲労までは回復出来ない。常人なら起き上がるにも、あと数日はかかりますが……)


 二人とも星辰の回復力には少々驚いた。ただ、星辰は普通の人間ではない。


「ソフィーさんからのお墨付きがあるなら良いか。な、月影さんよ」


 ロカが月影を見る。


「そうですね。ちなみに、どの様な用事か聞いてもよろしいでしょうか?」


「……あの、アクイラとウルラの行方について先生なら、何か掴んでるかと思って……」


 彼女たち二人は逃亡した。


「彼女たちについて、この数日調べてみましたが……」


 そう言うと月影は首を振った。


「そう……」


 その答えに星辰も少しうなだれる。


「もう少し調査に時間ぎ必要ですが……。もう日本はおろか地球からいないかも知れません」


「……」


「なあに。生きてたらまた会えるさ」


 黙ってる星辰をロカは励ました。


「はい。あとコルムちゃんはうちで預かるって聞いたんだけど?」


「はい。旦那様から許可はおりてます。それとソフィーさんたち四人を彼女の護衛(ごえい)につけることにしました」


「あの四人が? そうか。だったら安心だね」


「ただ、あの四人が星辰君の護衛の任からは外れます」


「承知しました。僕ならもう大丈夫」


(まあ、今の星辰君に護衛は必要無いか。ルベルもいるしな……)


「それと、これからもよろしくお願いします」

 

 星辰はそう言うと少し頭を下げた。


「改まって、どうしたのです?」


 さすがの月影も星辰の様子に多少、困惑した。


「あの仮面の男。ハロスに僕は手も足も出なかった。多分、万全の状態でも勝てなかったと思う。だから僕はもっと強くなりたい」


「ハロスの様な犯罪者を捕えるために?」


「はい。みんなを守るために」


「確かに今の星辰君ではハロスレベルの戦士と戦うには力も経験も不足してます」


「はい。だから二人に鍛えて欲しいんです。ダメでしょうか?」


「望むところさ。息子のルベルと一緒に鍛えてやる。なあ、月影」


「そうですね。これから大変ですよ」


「はい。改めてよろしくお願いします。では、これで失礼します」


 そう言うと星辰は、二人に一礼したあとクルッと回って扉へと歩いていった。


「星辰君、少し変わったか?」


「この一ヶ月の間に色々な事が彼の身に起きましたから……」


「そうか。変わざるをえんと言うところか……」


「どんな子も大きくなるものですよ。貴方の息子ルベル君も含めてね」


「そうだな」


「さて、本当に忙しくなりそうですね」


「全くだな。地球もこれから大変だろう」


「ええ」

 月影は短くそう言うと星辰の後を追う様に部屋の扉へと歩き始め、それに合わせる様にロカも歩む。

 

「地球だけでなく、星辰君もさらに困難な戦いに巻き込まれるでしょう」


 歩きながら月影はロカに話しかけた。


「そのために俺たち大人がいるのさ。俺たちが子供のころ、ティグリス警視に守ってもらった様に今度は俺たちが星辰君たち子供を守る番だ」


「はい」


 ロカに返事をした後、月影は少し難しい顔をした。星辰の人生はこれから困難の連続かも知れない。だが歩みを止める訳には行かないのだ。


「後、アクイラ嬢のことですが……」


「アクイラがどうした?」


「また会えると……」


「ああ、あれは星辰君を激励するつもりで言ったんだが……。少し見え透いてたと言うか、また会えると言う根拠が無いが……」


「いえ、私もまた会えると思います。と言うより星辰君に会いに来る」


「ラートルがかけた暗示によって、星辰君に会いに来ると?」


「それもありますが……。いささか陳腐(ちんぷ)な物言いかもしれませんが、星辰君と彼女が再会するのは運命な気がします」


「ふっ。運命か。なるほど人が聞いたら、確かに陳腐に聞こえるかもな」


「彼には彼女が必要な気がするのです」


「運命なら尚のこと二人は会えるさ」


「はい」

 月影の返事を最後に二人は押し黙って歩き続けた。

 星辰とアクイラの二人が再会するには、いささか時間わ要するのである。

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