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6章 第39話 コルウス警視監

次回は2月7日前後に投稿予定です。

 各国の首脳会議で地球が銀河連邦政府に加盟することが決定され、さらに数日が過ぎた。

 その日、月影とロカは紅鏡家の地下の一室で銀河連邦警察の警視監コルウスとモニター越しに話をしていた。


「これで地球は銀河連邦政府の傘下に入ることになる。いや、めでたい」


 本当にそう思っているのかコルウスは屈託なく笑った。


「君たちも、そう思うだろう?」


「はい。コルウス一等警視監殿」


 月影がいささか緊張感を持った表情で答えた。服装は銀河連邦警察の警官用の制服を着ている。


「警視監殿など堅苦しいのはよしてくれ」


「そうは参りません」


「やれやれ。まあ、良いか……。好きに呼んでくれたまえ。まあ、これで地球は君の意図通りになったと言う事だね」


「ありがとうございます」


「いや、何。地球で採掘されるオリハルコニウムとアダマンニウムの事を考えればお安い事だ。ではまた」


「はい。警視監もお元気で」


「ああ、そうそう。エバン君は警察に戻ってから三等警部補の地位だったと思うが、今日から一等警部補に昇進した。後で正式な辞令が出るだろう」


「は?」


 コルウスの言葉に月影はいささか驚き、ロカと顔を見合わせた。


「それは急ですね」


 ロカが口を挟む。


「まあ、私が昨日ゴリ押しで昇進させたからね。いや〜、びっくりさせたかったんだよ。サプライズと言うやつだ」

 

 コルウスはそう言ってアッハッハと少し豪快に笑った。


「私は二等警部補になる様な功績をあげておりませんが」


「いや、この地球を銀河連邦政府に加盟させた」


「それはコルウス警視監が……」


「いやいや、私はちょいと脅しただけだよ。君が地球の価値を教えてくれなきゃ今頃、地球はアルゴルの連中に支配されていたよ。それだけでも大きな功績だ」


「いや、しかし……」


 月影は()落ちない顔をする。


「それと紅鏡星辰君」


「……」


 星辰の名が出て、月影とロカは黙った。


「かの実験体の彼をあそこまでの戦士に育てた。いや、君は警察官より指導者の方が向いているかも知れないね。あ、いやいや皮肉では無いよ」


「彼を育てた事も特に功績とは思えませんが……」


 月影も少し困った顔をしてモニター越しのコルウスを見た。


「まあ、そうかたいことを言うな。昇進して悪いことはあるまい。あと、星辰君がティグリスとアリアの本当の子供と嘘をついていた事は不問にする。もう、どうでも良いだからね。エバン君にも事情があったんだろから」


「それは……」


「と言う事だ。まあ、私からのプレゼントみたいなものだよ。じゃあ、これで本当に失礼する」


 コルウスがそう言うとモニターは切れた。


「やれやれ、何というか。見かけによらず強引な人だ。昇進を押し付けられたな」


 そう言うとロカは月影を見た。


「ロカ」


「分かってる。コルウス警視監にも油断するなってんだろ? むしろキールムよりもな……」


「はい」


「しかし、良かったのか?」


「何がでしょう?」


「地球が銀河連邦政府に加盟することがだ。銀河連邦の警官としては言ってはならんセリフだと思うが、連邦政府が清廉と言う訳ではない」


「アルゴルの様な銀河の犯罪組織に支配されるよりはマシでしょう」


「まあ、そうか……。地球の国々からは何か言ってきてるのか?」


「多少は。まあ、上手いことやり過ごしました。旦那様が(かば)ってくれましたし」


「そうか……。紅鏡さん。良い方だな」


「本当に……。旦那様には感謝してもしきれないですね」


「うむ」


「本当に大変なのはこれからです。あなたの懸念(けねん)通り、銀河連邦政府や警察の内部から地球を支配する動きがあるかも知れない」


「銀河連邦政府が動かなくても、アルゴルの様な犯罪組織が地球を狙うかも……か?」


「そう。銀河連邦警察の力もなくてはティグリス警視やアリアさんが愛した地球は守れない。残念ですが」


「そして、地球を守るためには星辰君の力も……」


「彼の人生には選択肢がない。この地球を守ると言う人生しか……」


 月影はそう言うと少し悲しい顔をして、軽くうつむいた。

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