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6章 第35話 殺し甲斐

次回は1月10日投稿予定です

「星辰君が弱い?」

 星辰が吹っ飛ばされた様子をニーナは呆然とした表情で見ていた。現実とは思えなかった。他の面子も愕然(がくぜん)とした表情をしている。


「さて、本来の仕事に戻るか」

 ハロスはそう言ってクスカの方に振り向いた。


「あ、あ、う、うわあああ!!」

 ハロスに見つめられたクスカは叫びながら空へと飛び去った。


「ほう、もうあそこまで動ける様に回復するとは流石だね。テネル」


「ココにマスター」

 ハロスに呼ばれたファミリアが現れた。どこか物陰に隠れていた様だ。どことなく昆虫を連想させる。


「ボール状になってくれ。それで、あいつを落とす。直撃したら、そのまま連れてこい」


「承知シマシタ」

 ハロスのファミリア、テネルが丸いボールの様に変形した。巨大なバレーボールか何かに見える。


「さあ、行ってこい!」

 ハロスはその巨大なボールをバスケのドリブルの様に二、三回叩くと、次に右手でおもいきり叩いた。

 そのボールは勢いよく空に飛んでいく。かなりのスピードだ。

 その勢いのままクスカへと向かっていく。


「待て、待って! う、うわわあああぁァああ!!!」

 そして、それはクスカへ直撃しクスカの叫び声が辺りに響いた。まるで断末魔だった。


「うーん、クリーンヒット! 今日も絶好調だね」

 ハロスは右手を額にかざして花火を見ているかの様に呑気(のんき)雰囲気(ふんいき)で、その様子を見ている。

 ハロスのファミリア、テネルは空中でボールから元の機械の姿に戻りクスカの背中のあたりを掴んだ。クスカは気を失っているのかグッタリとしていて抵抗しない。


「ターゲットヲ連レテ参リマシタ」

 クスカはそのままテネルによってハロスの元に連れてこられた。


「僕から逃げられると思ったのかい?」


「あ、あ、た、助けて……」

 クスカはまだ息はあり、ハロスに命乞いをした。流石に動けないらしい。


「まだ生きているとは恐れ入るねえ。しかし、どうトドメを刺すかな? 面倒だ心臓を握りつぶすか」

 ハロスはクスカの命乞いを無視して話を進める。


「テネル。こいつの心臓の位置は分かるかい?」


「コチラデス」

 テネルが昆虫で例えるなら前足で、クスカの心臓の位置がある箇所を指した。


「ありがとう。さて、ここだな」

 ハロスはクスカに近づき、テネルが示したクスカの心臓のあると思われる箇所を右手で触った。


「待て……。待ってくれ……。なんでもする、私ほどの者を殺して良いのか?」


「うるさいな。全く。さてと。ふん!」


「あぐ!」


「コルム見るな!」

 ハロスはクスカの命乞いを相変わらず無視して右手をクスカ中へと突き刺した。

 ウルラはコルムを抱きかかえる様にコルムの目を隠した。


「ええと? あ、これだな。ふっ」

 ハロスは力を入れる。腕をファミリアの力で伸ばしてクスカの心臓を掴み、そのまま手で握り潰した。


「あ、あぐわ、うぐ。そんな、私がこんなことで……。あの小僧に関わったせいか? あ、あの小僧に言っておけ、銀河連邦の警察官だなんだと言っていても結局は奴らにとって、お前は実験隊に過ぎない……。物なんだ……と。どこまで信念を貫けるか見ておいてやる……とな……」

 クスカはルベル達にそう言って生き絶えた。全くあっけなく終わりだった。


「なかなかしぶとい奴だ。そこだけは評価できるね。まあ、さて、仕事も終わったし帰るか。テネル、そいつの死体を運んでくれ」


「イエス。マスター」

 テネルはクスカの死体の背中を掴む。


「あ、そうそう。君たちに言いたいことがある」

 ハロスはそう言うとルベル達の方へと振り向いた。


「分かっているとは思うが星辰君は死んで無い。あれくらいじゃね。まだ弱いが良い線いっている。流石に銀河連邦警察がつくった実験体だ」


「良い線だと? どう言う意味だ」


「僕は強い戦士と戦い殺すのが生き甲斐でね。趣味と言っても良い。さっきも言ったが星辰君はまだまだ弱いが、なかなか良い線いっている。数年後には殺し甲斐のある戦士になりそうだ」

 ルベルの問いにハロスは答えた。


(銀河連邦警察のデータベースにそんなことが載っていたな。ふざけた奴だ……)


「アクイラ嬢や君たちも良い線いっているよ。だが君たちも、まだ弱い。今の状態じゃあ、殺す気にもならない。早く僕が殺す気になれる戦士に成長してくれたまえ」


「それが言いたいことか?」


「そうだよ。星辰君にも伝えてくれ。頼んだよ。また会うことがありそうだ。じゃあね」

 ハロスはそう言うと、ルベル達とは逆の方向へ再び振り返り歩き始めた。まるで散歩するかの様に。


(舐めやがって……)


(ルベル君。ダメ)

 ハロスの背中を(にら)むルベルをニーナは止めた。


(分かっている。例え万全の状態でも、今の俺たちでは、こいつには勝てない)

 ルベルが唇を()む。


「あ、そうだ、すっかり忘れていた」

 ハロスは立ち止まると腰を曲げて地面を触り始めた。


「?」

 その行為にルベル達が困惑して顔を見合わせる。


「ん!」

 ハロスは自分の影を調べている様だ。そして、影ある地面の一部を掴むと、急に力を込めて一気に何かを引き抜いた。


「あ、あれは!」

 ハロスが地面から引き抜いた物にルベル達は驚いた。いや物では無い。人だ。


「う、うぐ」

 引き抜かれた人はハロスに首を絞められ苦悶の表情を浮かべている。


「君の事をすっかり忘れていたよ。ラートル君」

 ハロスが地面から引き抜いた物、それはラートルだった。

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