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6章 第31話 囚われていた少女

次回は12月12日投稿予定です。

(確かに恋の文字だ。アクイラの星辰に対する恋の感情を読み取って成長したのか?)

 ルベルはレグルスを見た。破壊された箇所が完全に修復されていた。


(うわさ)に違わぬデタラメなファミリアだな。だが興味深い。なるほど、使い方次第では強力な兵器になりそうだ」

 体勢を立て直したクスカはレグルスをまじまじと観察している。


「たが恋などで進化するとは片腹痛い。また動けなくすれば良いだけだ……」

 そう言って口を開けるクスカ。


「まずい! また光線で攻撃されたら」

 ルベルの危惧も虚しく、その巨大な口からまた光輝く閃光が放たれるた。

 それは、真っ直ぐレグルスへと向かいレグルスに直撃すると同時に周辺を真っ白にする様な(まぶ)しい光を放つ。

 意識のあるルベルやウルラはあまりの眩しさに目を閉じた。


「ぐ……。これではレグルスも……。ん? な、これは……」

 光がおさまり目が開けられる様になるとルベルとウルラはその様子に少し混乱した。


「な、なんだと! こ、これは!? どうなっている?」

 損傷を受けたのはレグルスではなく、クスカの方であった。人間で言うところの右腕が無い。


「レグルスの勇者モードの盾で、お前の光線をそっくりそのまま返した」

 星辰はゆっくりと立つとクスカに向かって言った。


「馬鹿な! そんな能力は今まで無かったはず」


「今、レグルスが成長して身につけた力だ。アクイラがくれた力と言っても言い」

 星辰はそう言うと両手を目の前に突き出した。


(なんだ星辰の奴、何をするつもりだ?)

 ルベルの困惑をよそに、星辰の目の前にメイドを着た女性が二人ほど何も無い空間から現れた。


(あれはソフィーさんとシルビアさん、星辰のやつ二人をこちらに呼び寄せたのか?)


「ここは?」


「いったい?」

 呼び寄せられた二人も流石に多少の混乱している。


「急に呼んでごめん二人とも」

 星辰はそう言って自分の右手でソフィーの左手を、左手でシルビアの右の手を(にぎ)った。


「星辰様? これは……」


「星辰さんの記憶?」


「二人に僕の記憶の一部を読んでもらった。ある程度の状況は分かるはず。二人のファミリアでアクイラを治して欲しい。傷はなんとか(ふさ)いだけど、まだ予断を許さないから……」


「承りました。星辰様」

 ソフィーとシルビアは星辰に向かってカーテシーで答えた。


「ぐ、グハァああ! はあ、はあ」

 その時、クスカが叫び声をあげた。そちらの方を見ると無くなった右腕が再生している。


「やはり再生出来るのか……」


「当たり前だ。小僧、私は人間より高等な存在なのだ。四肢を再生することも出来る」


「ああ、そう……」

 星辰はそっけなく答える。


「それより、その小娘を助けるだと?」


「そうだ」


「それはいただけない。そんな小娘など正直どうでも良いが、せっかく死にかけていたのだ。助けられてしまっては面白く無い」


「星辰さんの記憶にもありましたけど……」


「本当にクズの様ですね」

 シルビアとソフィーの二人がクスカに対峙する様に身構えた。


「二人とも大丈夫。こいつは僕が引き受けるから。それよりもアクイラの治療(ちりょう)を急いで欲しい」

 星辰は二人の前に出ると二人を止めた。


「星辰さん……」


「星辰様。ですが……」


「ほう。私をそのままにして、どうやってその娘を治療するのかね」


「動くな!」

 星辰は右手の人差し指をクスカに向かって指さすとそう叫んだ。


「はっ、何かと思えば……。ん? な、なんだ本当に動けない」


獅子の咆哮(ライオンズロアー)。自分より弱い生物に命令する能力。星辰の奴、あんな能力まで……)


「こいつはしばらく動けない。二人とも今のうちに」


「は、はい」


「承知しました」

 シルビアとソフィーは自身のファミリアをアクイラの治療を始めた。

 それを見た星辰は動けなくなっているクスカへと歩いて近づいていき、クスカの体に触った。


「こ、小僧、何をする気だ」


「コルムちゃんの居場所をお前の記憶から教えてもらう」


「よ、読んでどうすると言うのだ?」


「よし」

 星辰はクスカを無視し、体から手を放すとクルッと向きを変えニーナの元へテレポートした。

 気を失っているニーナの肩に手を当てる。


(ニーナ。体中の骨が骨折してるけど、これならヒーリングで……)


「……。ううん……。あ、あれ、星辰君?」

 気がついたニーナが、周辺を見渡す。


「ニーナ良かった」


「星辰君が私を治療してくれたの? あ、これは星辰君の記憶?」


「うん。ヒーリングと同時に僕の記憶をニーナに読んでもらったんだ。具合は大丈夫?」


「う、うん? まだ少し混乱してるけど…。」


「良かった。じゃあ、僕の手を握って」


「え? うん……」

 うながされニーナは星辰が差し出している左手を握った。


「よし」

 ニーナに手を繋いだ星辰はそのまま共にルベルの元へとテレポートした。


「ルベル、体は大丈夫?」


「あ、ああ…。自分でヒーリングをかけて、動けるくらいにはなってきたが……」

 星辰に体の具合を聞かれたルベルはそう言うとゆっくりと立ち上がった。決して全快では無い。


「ルベルも僕の手を握ってくれ。ルベルの力も必要だ」


「分かったが、何をするつもりだ?」

 ルベルは星辰の手を握りながら疑問を聞いた。


「説明はあとで」

 ルベルの手を握るとそう言って星辰は三人でテレポートした。


「紅鏡星辰……」

 目の前に現れた星辰をウルラは半ば呆然とした様に見上げた。


「ウルラ。ニーナの手を握ってくれ」


「なんだ。何をするつもりだ」


「アクイラと君の妹を地球に呼び寄せる」


「く、クク、な、何を言い出すかと思えば……。そ、そんな事出来る訳無いだろう……」


「お前は黙っていろ」


「う、うぐ、ぐうぅ」

 横から口を挟んできたクスカを星辰は黙らせた。


「だが、あのクズの言う通りだ、そんな事出来る訳が……」

 ウルラは半ば諦めた様に(うつむ)いた。


「僕一人のサイコパワーだけなら無理だ。だけど、みんなのサイコパワーも加えて、さらにその合わせた力をレグルスで倍加させる」


「そんな事可能なのか?」


「みんなとレグルスの力なら」

 星辰は真っ直ぐにウルラを見ている。


「分かったよ。ダメ元でかけてやる」

 そう言うとウルラはニーナの空いている方の手を握った。


「ありがとう。よし。やるぞ」

 レグルスを自身の側に呼び寄せた星辰はそう言うと目を閉じ能力を解放した。


「で、出来るわ、わけ、が、な、な、い」

 クスカは苦しそうに(つぶや)いている。


(場所は分かってる。後はパワーさえあれば……)


「く、うう……」


「これは力を全て吸い取られる様な……」

 ニーナが(うめ)き、ウルラが肩で息をする。


(レグルス……。手を貸せ。お前は人を守るために造られたんだろ。だったら……)


「だったら人を救ってみせろーー!」

 星辰が叫ぶとレグルスの目が光り、星辰たちの目の前の空間に(ゆが)み、そして消えた。

 歪みが消えると、その後には光る塊が現れた。


「こ、これは……?」

 ニーナが、その光を半ば呆然として見ている。光りの塊は人間の様にも見える。


「あれ。こ、ここは?」

 光が消えると、そこに一人の少女がいたなぜ自分がここにいるのか困惑した様子で周辺をキョロキョロと見渡している。状況を理解出来ない様子だったが無理もなかった。


「コルム! 本当にコルムなのか?」

 ウルラはその少女を見るなりよろよろよろけながらだが、彼女に近づいていった。


「え? ウルラお姉ちゃん?」

 少女はウルラを見るなり驚いた様子で彼女を見た。


「コルム!」

 本人と確信したウルラが少女に抱きついた。正にクスカに囚われていた彼女たちの妹のコルムであった。


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