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6章 第29話 切り裂く爪

次回は11月28日投稿予定です。

「ほう。旧型の鉄屑と思っていたら、なかなかの威力じゃあないか?」

 そう言いながらクスカには余裕があった。


「ちっ」


「兄さんの攻撃が効いてない?」


「効いてない訳では無いよ。それなりに痛い。大したものじゃあないか。ふふ」

 空に浮いているアピスに向かってクスカは余裕の笑みを浮かべた。


狼狽(うろたえ)るなアピス。想定内だ」

 シルウァーがアピスを叱咤(しった)する。


「兄さん。よし、だったら次はアタシが……」


「私の相手などをしてて良いのかな? 上空を見たまえ」


「何だ? 空だと?」

 クスカの言葉に皆一斉に空を見上げた。クスカの宇宙船から無数の黒い点が飛び立っている。


「インセクトヒューマンだよ。さっき放つ様に命令しておいたのさ。さあ、どうする? 奴ら地球人を殺してまわるぞ。地球人はなるべく殺したくなかったんだよ。商品だから」

 今日何回目かの嫌な笑いだ。


「ちい。インセクトヒューマンなら地球の通常兵器でも倒せるが、それにしても数が多すぎる!」

 ルベルもその数に驚きを隠せなかった。


「月影さんとロカさんが、対応に向かっている見たい」

 ニーナが能力で感じた内容を皆に伝えた。


「例え父さんたちでも、あの数では……」


「アピス。貴女がインセクトヒューマンの対応に向かってくれ。このままだと沢山の人が死ぬ」


「何だと……。しかし……」

 星辰の頼みを聞いたアピスは少し困惑した様にシルウァーを見た。


「行け。確かにお前の亜音速の刃なら羽虫共を撫で斬りにできる。ここは俺がどうにかする」


「兄さん……。分かったよ」

 シルウァーの命令を受けたアピスが無数の黒い点に向かって飛んで行った。


「クックックッ。虫は虫同士で潰し合えば良い」

 クスカが星辰たちの様子を嘲笑(あざわら)う。


「さて……」

 クスカは不意に真顔になると、右手の指から光線を放った。

 放たれた光がレグルスに直撃し、レグルスは完全に破壊された。


「レグルス!」


「最後の希望のレグルスも私の前では、こんなものだ」


「くっ……」


「紅鏡星辰。綺麗事ばかりのお前には正直ウンザリだか、命がおしいなら、このレグルスを動かすパーツとして生かしておいてやらんでもない? どうかね?」


「お前に加担する気はない!」


「強情な奴だ。銀河警察に、その様に性格を設定されていると思うと、もはや同情するよ」


「余計なお世話だ!」


「ふん。もう、面倒だ。まず足を切って動けなくするとしよう」

 そう言うとクスカはゆっくりと動き始めた。


「逃げよ。星辰」

 星辰を(かば)う様に前に立ったシルウァーは、そう言うと臨戦態勢(りんせんたいせい)の構えをとった。

 古強者の戦士としては意外なセリフに星辰は一瞬だけだが呆気にとられた。


「急に何を……」

 逃げよと言ったシルウァーを星辰は以外そうな目で見た。およそ、そう言う言葉とは無縁そうな男だ。


「全てファミリアが破壊された今、ここにいる全員でかかってもクスカは倒せん。あれはそう言う生物なのだ。俺が依頼された内容は奴を倒す事ではない。お前たちを守る事なのだ」


「逃げるって……。それで、お前はどうするんだ?」


「一人で奴を足止めする」


「それじゃ、捨て駒じゃないか」


「この前まで敵だった者を気にするな」


「今は敵じゃないだろ」


「もういいかね? 私がそう簡単に逃すとでも?」

 二人の話を遮る様に、前に巨大な竜がいた。


「くっ」

 目の前にいる巨大な竜に掴みかかるシルウァー。


「こいつを俺がおさえている内に逃げるのだ!」


「シルウァー!」


「ほう。旧式のサイボーグとは言え、パワーもなかなかのものだ。だが……」

 クスカが、その巨大な口を開けてシルウァーの左肩辺りに噛みついた。

 そして、そのままシルウァー左肩から左胸までを噛み砕いた。


「グアああぁ!」

 クスカはダメ押しにシルウァーを殴り吹き飛ばした。


「な、こんな……」


(旧式かも知れんが、あのおっさんの装甲は並ではないはず。それをこんな簡単砕くとは……)

 ニーナもルベルも、今、目の前に起こっている事が信じられなかった。


「私がこの姿になっている時点で詰んでいるのだよ。紅鏡星辰君」

 クスカはそう言うと姿がふっと消えた。


「え? 消え……。あっ!」

 星辰が気が付いた時には、クスカは後ろにいた。そして、問答無用で星辰を地面に叩きつけた。


「グアアああ!!」

 地面に叩きつけられた星辰の叫び声と共に全身の骨が砕ける音がした。


「星辰!」

 アクイラが叫ぶ。


「ああーナイスな声と音だ。気が晴れる。そうだ。少し気が変わった。お前は腹をさいて殺すとしよう。レグルスだけ回収出来れば良い」


「星辰」

 疲労困憊(ひろうこんばい)のウルラ以外の三人がクスカへと立ち向かった。


「ふん」

 クスカは三人を見下した様に見ると襲ってきた三人に尻尾を叩きつけ吹き飛ばした。肉眼で確認するには不可能な速さだった。

 各々、近くにある建物壁、地面、木々などに叩きつけられる。


「姉様!」

 吹き飛ばされるアクイラを見て叫んだ。


「かはっ……!?」

 壁に叩きつけられたニーナが意識を失った。


「ぐうぅ……。ニーナ……」

 木にぶつかったルベルは、ニーナの姿を見ながら(うめ)いた。体中の骨が骨折して動けない。


(俺のヒーリングの力では、動けるまでに時間がかかる。ちくしょう)

 ルベルは自分のヒーリングの力を使って怪我を治癒した。

 しかし、ルベルのヒーリングの力では動けるまで時間がかかりそうだった。


(ぐっ、左足と何本か肋骨をやっちまってるな……。この状態で動けるか?)

 アクイラも怪我を負っていた。


「みんな! くそ……」

 星辰はゆっくりとふらつきながら立ち上がった。


「ほう。そう言えばヒーリングの力が使えたのだったな。大したものだ。だか、立っているのがやっとだろう?」


「ぐっ。まだだ……」

 星辰はふらつきながらクスカを見上げている。


「まだやる気とは本当に見上げた根性だよ。まあ、それも、もうお終いだよ」

 そう言うとクスカは右手の指のうち、人差し指のみ天に向かって立てた。


「私の爪は伸縮自在(しんしゅくじざい)でね。この指の爪で腹を切り裂いてあげよう。ちなみにこの爪でつけた傷にはヒーリングが効きにくい。苦しみながら死にたまえ」


「ごめん。みんな……。全部、僕のせいだ……」

 ほんの少し悟った様な顔を仲間に向ける星辰。


「貴様、何を言っている!」

 ルベルは星辰に向かって怒鳴った。


「シルウァーの言った様に逃げれば良かったと思っているのかね? いやあ、気にすることはないんじゃあ無いかな? 結局、逃げられなかったと思うよ。クックッ。大丈夫。仲間たちもすぐに、会わせてあげるさ」

 そう言ってクスカは右手の人差し指を星辰に向け伸ばした。

 だか、次の瞬間。


「何?」

 クスカはほんの少しだけ意外そうな顔をした。


「グハッ……」

 クスカの爪を受けたのは星辰ではなく、星辰を(かば)ったアクイラであった。

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