表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/140

6章 第24話 犯罪への道

次回は10月24日投稿予定です。

「ルベル! 今の内にニーナを」

 星辰がクスカを睨みつけながらルベルに指示した。急激に霧が晴れていく。


「分かってる。いちいち言うな。さあ、ニーナ」

 ルベルがいつの間にかニーナ傍にいて、屈んでニーナに右手を差し出した。


「あ、ありがとうルベル君……」

 ニーナはルベルの手を取り起き上がった。もう一つの手で顔に手を当てヒーリングで自分の顔の傷を治癒した。


(思いっきりニーナの顔面を躊躇なく蹴るとはな……。反吐が出る野郎だ)

 ニーナの様子を見たルベルもクスカを睨みつける。


「君が紅鏡星辰君かね。初めまして。丁度良かった、君に会いたかったんだよ」

 クスカは埃を払いながらゆっくりと立ち上がり、あくまでも紳士っぽく星辰に挨拶をした。しかし、嫌な笑い顔である。


「僕たちにテーゲ星を落とされた恨みを返すためにか?」


「聞いていたのかね? テレパシーかな?」

 星辰の言葉にクスカはわざとらしく、少し驚いた様におどけて見せた。


「どっちでも良いだろう? しかし、俺達への仕返しのために地球くんだりまで来るとはご苦労なことだな」

 ルベルはニーナと共に立ち上がりながら言った。ニーナの顔面の傷はほとんど治癒した。ニーナはしゃがんでいるウルラの方に走っていった。


「そう言う君はルベル君だったかな。君も初めましてだね。私は自分の事は自分でするんだよ。特に大事なことはね」

 ニーナをチラッと見た後、クスカはルベルを見ながら言った。


「ふん。そんなに俺達への復讐が大事か?」


「大事な事とは地球のことさ。オリハルコニウムとアダマンニウム両方がある貴重な星だ。君たちの意趣返しについてはそのついでだ」


「どうだか、逆じゃあないのかい」

 ウルラが話に入ってくる。


「うるさいぞ。小娘が」

 クスカがウルラを睨みつける。だが、ウルラはひるまない。


「ふん。図星の様だな」

 ルベルが少し呆れた様に言った。


「まあ、どうとらえようとそちらの勝手だがね。そこにいる星辰君については少し違う」


「……仲間になれって話なら断る!」

 星辰は食い気味にクスカに答えた。


「ドロースも説得しようとしたが、無駄だ。こいつは言ったら聞かない。悪党の言う事には特にな」


「まあまあ、少しでもいいから聞きたまえ。私とドロースもまた、銀河連邦警察の実験体だった。君と同じだ。つまり同族みたいなものだ」


「だったらなんだ?」


「我々は選ばれた人間なんだ」


「選ばれた人間?」

 ルベルが星辰の代わりに聞いた。


「そうだ。他の生物より高い能力を与えられた生物。それが我々だ。我々は他の連中より高みに立つことのできる能力を与えられた」


「お前は何を言っているんだ?」

 星辰が本気で分からないと言う顔をした。


「分からないかな? つまり、我々は生まれながらに人に上に立つことを運命づけられているんだ。だが、銀河連邦警察にいたのでは一警察官で終わる。それで良いのかね? 他人のために人生を捧げることを強制されるよ。実験体は特にだ。後悔しないかね?」


「僕は、他人のために尽くすことが使命だと言うなら、その使命に誇りを持っている。後悔などするはずはない」

 星辰はきっぱりと答えた。


「なるほど。これは強情だ」

 クスカは感心した様に言った後、少しだけくっくっと笑い声をあげた。


「だが、実験体として少し忠告しよう。銀河連邦警察において実験体は人ではない。物だ。物ととして扱われる。君も物として扱われるだろう。どうだい、そんな連中に使われるのは嫌じゃないのかね?」


「たとえそうだとしても僕は犯罪者にならない!」


「そうかね。残念だ。どうやら銀河連邦警察が性格を設定したのは正解だった様だな。強固な設定だ」


「僕からも一つ聞きたい?」

 不意に星辰もクスカに質問をなげた。


「ほう。何かね?」

 クスカは星辰に質問され、興味深そうに星辰を見た。まだ、多少は脈があるのかも知れない。と言う顔をしている。


「お前は、物として扱われたから連邦警察を離れて犯罪者になったのか?」


「ん? そうだね。まあ、それも多少あるが……。まあちょっぴりだけどね。それより、警察官より犯罪者の方が素自分にとって魅力的だったんだよ。それに他人より優れている私が警察官などをやって他人を助けなくてはならない」


「……」

 星辰は黙ってクスカの言葉を聞いた。


「それに対して犯罪者は良い。他人を踏みにじっても構わない。金持ちにだってなれる。とるに足りない連中を支配することもできる。そのくだらない連中の生殺与奪も持つことができる。最高だよ」

 その言葉を聞いたウルラがクスカを鬼の形相で睨みつけた。


「力のない連中を守る警察官などくだらない。なぜ、私が、そんなことをしなくてはならない。この他人より優れている私がだよ。本当にくだらない」


「つまり自分から犯罪の道に入ったってことか?」


「ん? ああ、そうだよ」


「分かった」


「ん? 何がかね?」


「お前が格好悪いくだらない奴ってことがだ」


「なんだと?」


「お前が犯罪者になったのはやむを得ない事情があるのかなと一瞬思ったけど、やっぱり違ったみたいだ。それより自分から犯罪者になるお前はくだらない格好悪い奴だってことだ」


「小僧……」

 クスカが星辰を睨みつける。


「クスカ。お前を逮捕する!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ