6章 第22話 不意をつく声
次回は10月10日前後に投稿予定です。
「なるほど。それなら確かにこれくらいの罰は受けるべきでしょうね」
桜の言葉にソフィーがうなずく。
「この人たちどうしましょうか?」
シルビアがソフィーに聞いた。
「後で、ロカさんを通して銀河連邦警察に引き渡しましょう」
「かしこまりました」
ソフィーの言葉にシルビアは答えながらカーテシーをした。
「あの、ソフィーさん。星辰坊ちゃんの……」
「星辰様の元の援軍には行けませんよ」
桜の言葉をソフィーは遮った。
「ですが……」
「また、クスカたちの部下たちがくるかも。我々は旦那様と菖蒲お嬢様をお守りせねばなりません。後方を守るのも私たちの役目ですよ」
「分かりました……」
桜は肩を落としながら返事をした。
「三人ともあれを!」
その時、シルビアが指をさした。三人が指さした方向を見ると、およそ人間と言えない人影が無数にいた。
「あれは、月影さんから聞いたことがある。インセクトヒューマンだろうね」
エレナが少し険しい顔で言った。
「星辰さんのにおいを嗅ぎつけたのでしょうか?」
「虫を改造した連中です。本能かも」
ソフィーがシルビアの質問に答える。
「あんな怪物まで……。星辰坊ちゃんは大丈夫でしょうか?」
桜が心配そうに呟いた。
「星辰様なら大丈夫ですよ」
その心配を払拭させるに様にソフィーは少し微笑んだ。
「根拠は?」
エレナがソフィーに聞く。
「勘です」
「やれやれ。根拠なしか」
ソフィーのエレナが呆れたように肩をすくめる。
「根拠ならありますよ。星辰様はテーゲ星から自力で戻って来た方です」
「そうですね」
シルビアもソフィーに微笑み返した。
「どちらにせよ、こいつらを倒さないと星辰様の援軍には行けそうにないですね」
「分かりました。まずは、この怪物どもを倒す事に集中します」
ソフィーの言葉に答える様に、桜は怪物どもに向かって身構え向かって言った。
「はてさて、雑魚の次は虫退治か。苦手なんだよねぇ」
エレナが少しうんざりした顔をした。
「ふふ。まあ、そうも言ってられませんね」
シルビアがエレナの顔をちらりと見ながら構えを取る。
「そう言う事です。さて、桜さんだけ働かすわけにいきませんよ」
「はいはい。しょうがないね」
エレナが仕方ないとばかりに構える。
さらに、その頃。
星辰、ルベルと別れたニーナとウルラは、インセクトヒューマンに倒しながら人々を助けていた。
「ち、思ったより数が多いね」
インセクトヒューマン、両手に一本づつもった短槍で切り裂きながら、ウルラは少し愚痴った。
「これでは、いつか死人が……」
ニーナはグラキエースの冷気でインセクトヒューマンを凍らせながら言った。
「ふん、地球人が何人死んだってしったこっちゃないけどね。まったく、姉さまは人が良すぎる」
「でも、そう言いながら、インセクトヒューマンを倒して地球人を助けてるね?」
「そ、それは……。姉さまの命令だから」
ニーナの言葉にウルラは少し狼狽えた。
「ふふ。そう言う事にしてあげる」
(な、なんだこいつ……。姉さまが言った通りだ。なんか調子狂うなこの女……)
ニーナの笑顔に少し狼狽えるウルラ。
「まあ、いい。ここは、これを使ってみるか。サモン・ファミリア」
そう言って、ウルラはファミリアを召喚した。
「これは?」
「アタシは二体ファミリアを持ってる。こいつは最近手にいれたんだ。相性はそこまで良くないから使わなかったし、戦闘に使えないと思ったから使わなかったけどね。ただ、この状況では、もう一体のテネブライよりは、使えるだろうさ」
「御命令ヲ、マスター」
「ぬいぐるみを作り出せ。ラーナ・デア」
ファミリアに話かけられたウルラが命令を下す。
「イエス。マスター」
ラーナ・デアが数多くのぬいぐるみを瞬時に生み出した。猫、犬、ウサギ、熊等のファンシーな奴ばかりだ。
「これって、ぬいぐるみ?」
ニーナがきょとんとした顔をする。
「みんな、けが人を見かけたら病院に運んであげて」
「はーい」
「分かったー」
ぬいぐるみたちが、いっせいに腕を上げて返事をして、方々《ほうぼう》へと駆け出していった。
「あ、このぬいぐるみ喋れるんだ」
「意志あるぬいぐるみを作れる能力。それが、ラーナ・デアの能力。そして、作り出したぬいぐるみにも命令を下せる」
「へえ、かわいいね」
「まあね」
「ふふ」
「なんだい?」
笑っているニーナに顔向けるウルラ。
「地球人はどうでも良いみたいなことを言っておきながら、やっぱり助けるんだね」
「だ、だから、姉さまの命令で……」
「そうだな。なかなか少女らしい、かわいい趣味のファミリアじゃあないか」
狼狽えるウルラの言葉を遮るように、男の声がこだまする。
「誰!?」
ニーナが周辺を見渡す。
「この声は! あそこだ!」
ウルラが声のしたと思われる方向を見て指さした。木陰にいたと思われた人影が歩いてくる。
「ふ。相変わらず勘がいいね」
指をさされた男が、また声をかけてくる。
「通信を使わないで会うのは久しいな。ウルラ君」
段々と近づいてくる、その歩いてきた紳士ぶった男が、ウルラを見てそう言った。
「クスカ……」
ウルラは苦々しげに、その男を睨みつけた。
その男はクスカであった。




