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6章 第21話 メイドたちのファミリア

次は10月3日前後に投稿予定です。

「この猿が、生意気な……」


「いけ、ファミリア、あの猿どものファミリアを切り裂け!」


「イエス、マスター」

 クスカの部下たちは一斉に量産型ファミリアに命令を下した。無数の刃物だらけの獣たちが、ソフィーたちに襲い掛かってくる。


「結局。それかい。本当にどっちが猿だよ」


「エレナさん」

 ソフィーが少したしなめる様にエレナを見る。


「分かってるって。ヴァイラス」

 エレナが自身のファミリアを呼ぶ。


「マスター。ファミリアを動ケナクする、ウイルスを散布することが出来ます? イカガイタシマスカ?」


「いいよ。それで」


「イエス、マスター」

 エレナの命令を受けたヴァイラスがウイルスを散布する。


「な、なんだ、ファミリアの動きが」

 ヴァイラスのウイルスが散布された瞬間、クスカの部下のファミリアたちの動きが鈍くなった。


「効きは、思ったより悪いか改善の余地があるね」

 エレナがそれを見ながら、のんきに分析している。


「エレナさん。私たちのファミリアにはワクチンを……」

 シルビアが少しせかす様にエレナに言った。


「心配しなくても、二人のファミリアにはファミリアには投与済だよ」


「さすがですね。ではセクティオ。オペ開始です」


「イエス、マスター」

 次にソフィーの命令を受けたファミリアが動き出した。

 素早く動いて、周りの敵のファミリアの形状をあっという間に変形させ、ファミリアの刃の部分が外していく。


「な、なんだ。俺達のファミリアの形が……」


「セクティオの能力は手術する能力」


「しゅ、手術だと。ファミリアに……」

 クスカの部下たちは呆気にとられている。


「まあ、機械に使う場合は改造や修理と言った方がいいでしょうかね。それに、もう動かせなくなったでしょう。人間で言う、神経を切断しましたから」


「そこは配線でいいんじゃね」

 エレナがつっこむ。


「まあ、そこは雰囲気というか気分です」


「あっそ。まあ、私もどっちでもいいけども」


「こ、このメイドども!」


「まだ動けるファミリアがある。そいつらを動かせ! 数はまだ、こちらの方が多い」

 クスカの部下の一人が叫ぶ。確かに、セクティオも全てのファミリアを「手術」することは出来なかったようだ。


「あらあら、全部とはいきませんでしたか。まあ、数が多いので仕方ないですね」

 クスカの部下たちの様子にソフィーは少しおどけた様に言った。


「ファミリアを動けなくするウイルスだったんだけど……。うーん、時間が経つと動かせる様になるファミリアがあるね。やっぱ改良の余地があるか……」

 エレナも敵のファミリアの様子を見て頭を掻いた。見たところ、ソフィーとエレナには余裕があった。


「ここは私に。メディカーメン。私たちの出番です」

 シルビアがそう言って少しだけ前にでる。


「イエス、マスター」

 シルビアのファミリア、メディカーメンから無数の液体が飛び出り、動いている敵ファミリアに当たっていった。


「は、くだらない。そんな攻撃など……。ん? ……なんだ、またファミリアがうごかない?」

 敵のファミリアは動かなくなっている。


「分かりやすく言えば、毒ですよ。メディカーメンの能力は薬をつくる能力。ファミリアに毒をかけたんですよ」


「ど、毒? そ、そんなものでファミリアが……」


「メディカーメンも、そのファミリアですよ」

 辛うじて動いていたファミリアはメディカーメンの作った毒で機能を停止した様だ。これで、クスカの部下たちのファミリアで動いているのもは一体も無くなった。


「く、くそおおお。こんなもので……。俺達はクスカ様が送り込んだ特殊部隊だぞ! 地球人ごときに……」

 敵の一人が悔しそうにそう地面をたたいた。


「そんな風に見下しているから足元をすくわれるんですよ」

 ソフィーが地面を叩いている敵に近づきながら少し諭すように話かけた。


「なにを言う、この猿が!」


「その猿に負けてるお前たちは猿以下って訳だ」

 エレナも近づいてきて言った。


「なんだと! この猿が!」

 猿以下と言われた敵は立ち上がり、ソフィーに襲いかかった。いや、襲い掛かろうとした。だが、転んでしまった。


「な、なんだ。何かおかしい?」

 そう、何かがおかしい。周りのクスカの部下たちは全て動けなくなっている。


「そ、そうだ。手が足になってる。足が手に?」

 クスカの部下たちは足と手が逆になっていた。


「セクティオは手術する能力と言ったでしょう。あなたたちの体の手と足を入れ替えさせていただきました。うまく動けないでしょう?」

 ソフィーは静かに喋った。


「それと、お前ら全員にウイルスか毒のどちらかを体に入れさせてもらったよ。その作用が効いてて、気づかなかったのさ」


「な、なんだと。なんてことだ……」

 そう言うとそのクスカの部下は気を失った。


「さて、こちらは片付きましたね……」

 ソフィーが、そうつぶやいた瞬間。


「皆さん、どいてください!!」

 上空から桜の声が聞こえた。

 三人とも上を見る

 

「やばい! みんな逃げろ!」

 エレナが叫ぶ。三人は今いる場所から咄嗟に散った。


「どりゃああああ!!!!」

 次の瞬間、人間の声と共に上空から一つの物体がソフィー達三人がいた場所に落ちた。衝撃音が当たりに響きわたる。

 まるで隕石が落ちた様な跡が地面に出来た。

 その跡の中心に人間がおり、地面に拳を突き立てていた。ゆっくりと立ち上がる。殴られているのも人間の形をしている。


「はあああ」

 立ち上がった人間がゆっくりと息を吐いた。桜である。


「マスター。無事デショウカ?」

 一体のファミリアが桜に近づいてきて桜に聞いてきた。


「大丈夫ですよ。インぺプルス」

 桜がファミリアに顔を向けて質問を返す。


「桜さん。本当に大丈夫ですか? 骨とかに異常は?」

 シルビアも桜に近づいて聞いた。


「大丈夫です。骨も問題なしです」

 桜は微笑む様に答えた。


「良かったです」

 シルビアも微笑む返す。


「いやいやいや、普通の人間なら骨折の前に死ぬって……。どうなってんのあの子……」

 その様子を見ていた、エレナが呆れたようにつぶやく。


「突撃と衝撃を司るファミリア。インぺプルス。言わば一点突破の能力とでもいいましょうか?」


「いや、威力が凄すぎる。マジ、隕石じゃん……」


「桜さん。敵の隊長格を仕留めた様ですね。お疲れ様です」

 ソフィーも桜に近づき、桜


「はい。ありがとうございます」


「こいつ、生きてる? ん? 辛うじて生きてるか……」

 エレナも皆に近づいて、桜に殴られた相手を蹴りながら呟いた。桜に殴られ地面に叩きつけられた相手はクスカの部下たちの隊長格で他よりも強かった。


「はい。手加減したので」

 桜はケロッとして言った。


(あれで手加減したって? こいつ、マジかよ……。絶対怒らさんとこ……)

 その様子を見て、エレナはドン引きしていた。


「こいつ、星辰坊ちゃんを馬鹿にしたんです。これでも軽い方です」

 桜はそう言って、少し怒った様に目を吊り上げた。その様子はまるでまだ少女の様である。

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