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6章 第14話 殺しの経験

次回は8月15日前後に投稿予定です。

「この娘が、ラートル……」

 初対面のニーナがラートルを見て身構えた。


「そう、星辰君たちから聞いてるのね。クスカ様の使い走りよ。よろしくね」


「……」

 ラートルは微笑みながらニーナに挨拶したが、ニーナは身構えたまま返答しない。


「あらあら、初対面なのに、嫌われたものね」

 ラートルがおどけた様にしゃべっているとルベルが持っていた短槍でラートルに襲い掛かった。


「ルベル君はもっと女の子に優しいと思ったけれど、違ったかしら」

 しかし、ラートルの影が伸縮してラートルの前で壁となりルベルの短槍を突きを防いだ。まるで硬い金属の壁の様だった。


「貴様は危険と判断した」

 短槍を突き出しながらルベルはそう言った。その突きはすべて影によって塞がれている。


「ふうん。そう…… !」

 ふと、ラートルが視線をルベルから逸らすとニーナの姿を見る事は出来ても、星辰がいない。


(どこに? ……!)

 次の瞬間、ラートルの後ろから刀を抜いた星辰がラートルに斬りかかった。しかし、すんでのところで影の壁で斬撃を防いだ。


「ラートル。君を捕まえる」

 斬撃を防がれながら星辰はラートルを見つめながら言った。


「テレポーテーションで後ろを取ったのね……」

 ラートルは自身の影へと吸い込まれる。


「ちいっ。あのエクスプローの能力か……。思った以上に厄介だな」

 ルベルが吐き捨てる様に言った。


「ふふ。あの星辰君が後ろから攻撃してくるとはね」

 どこからかラートルの声が聞こえる。


「少し、いいえ、かなり驚いたわ」

 星辰たちのいる場所から、ほど近い場所の木の影からラートルが現れる。


「……」

 星辰たちがラートルを睨みつける。


「本当に嫌われたわね…… !!!」

 余裕の構えをしていたラートルを、さらに後ろから襲ったものがいた。その攻撃をラートルはまともに受け吹っ飛ばされた。


「よっしゃ。少しは気が張れたぜ」


「アクイラのお嬢ちゃんね」

 吹っ飛ばされたラートルは体勢を整えながらアクイラの方を見た。アクイラに蹴りをまともに受けた。蹴りを受けた右腕は折れている。


「どうやら、最初からいたみたいね。全く連携を取っていた様には見えなかったけども……」


「ふん」

 アクイラはラートルの言葉に答える気は無い様だ。


(ルベル君が初手、星辰君が二段目、本命はアクイラちゃんだった訳か)


「息ぴったり。テーゲ星での経験が生かされているわけね……」

 ラートルは少し考察したのち、感心した様に言った。


「ちょいと癪だが、その様だな」

 ルベルが少しだけ前に歩を進めながらラートルへと言葉をかけた。


「四対一。いや、どこからかウルラちゃんもいるとすれば五対一ね。少し不利かな。ふふふ……」

 絶対的に不利な状態でラートルは不気味に微笑んでいる。


「この状況で笑ってる?」


「ニーナ、そいつはそういう奴だ。だが……何をする気だ?

 ただならぬ雰囲気にルベルも少し不安げだ。


「こいつ、また何かするつもりだな。おい、全員で……」


「ふふふ」

 アクイラの言葉を遮るように、ラートルが折れていない方の手で指を鳴らす。影から、黒装束の人間たちが木や壁の影から無数に出現した。


「こいつらは? 人間? でも何か違うような……」

 星辰が黒装束の人間たちを見て言った。しかし、人間と言うには何か変だ。


「星辰、こいつらはインセクトヒューマンだ。しかし、こんなものまで持っているとはな……」

 ルベルが星辰に完結に説明する。


「え? インセクト? 昆虫ってこと」


「虫を人間に模した生命体にした物よ。実験段階の代物だから知性はなくて本能でしか動けないんだけど、命令には忠実よ」

 ラートルが説明を付け加える。


「まさか、このインセクトヒューマンを……」

 星辰に嫌な予感がよぎる。ここにいるラートル以外の全員が嫌な予感がよぎった。


「ここにいる四人以外の周辺の人間を襲ってきなさい。殺しても構わないわ」

 ラートルの命令を受けたインセクトヒューマンたちが、一斉に散っていく。


「さあ、急がないと犠牲者が増えるわよ。そうそう私を殺しても、インセクトヒューマンは命令を止めないからね」

 ラートルはそう言って、また微笑んだ。


「なんてことを……」

 ニーナの顔が青ざめる。


「みんな、インセクトヒューマンを止めいくぞ!」


「そうそう、早くしないと犠牲者が増えちゃうよ」


「だが、星辰、こいつはどうする?」


「……」

 ルベルの言葉に星辰は少しの間黙った。この女を野放しには出来ない。


「行け、星辰。こいつはアタシがぶちのめしてやるからよ」


「アクイラ」


「おまえはそう言う奴だろ……。早く行け、本当に犠牲者が出ちまう」


「……分かった。気を付けて……。ルベル、ニーナ行こう」


「よし」


「アクイラ気を付けて」

 アクイラに促され星辰達は走り出した。


「ウルラ。お前も行け」

 ウルラがいつの間にかアクイラの横にいた。


「でも、姉さま……」


「心配するな。星辰たちをサポートしろ。いや、して欲しい……」


「そこまで言うなら、分かったよ」

 アクイラの言葉を受け、ウルラも後ろ髪を引かれつつも走り出した。


「あらあら、ウルラちゃんと二人で戦った方が良いんじゃない?」


「うるせえな。お前には借りがあるんだ。アタシの手でけりをつけないと気がすまねえんだよ」


「そう。でも、あなたじゃ私を倒すのは無理じゃないかしら?」


「ああ? 舐めるなよ」


「ふふ、あなたと私では経験が違うのよ」


「? なんだ? 何してる?」

 ラートルの様子がおかしい。徐々に体を大きくなっている様に見える。


「いや、こいつ……」

 大きくなっている様に見えるのではなく、少女から成人の女性くらいまで体が大きくなっている。肌が緑色に変化している。


「ふふ。この姿になるのは久しぶりね」

 変身したことにより右腕の骨折は治っているようだ。


「変身か」

 アクイラがつぶやく。


「そう。あまり驚いてない様ね。まあ、そう言う宇宙人もいるし。それと、さっきの経験が違うって件だけど」


「経験が違うとかなんとかって言ってたな? 戦闘経験が違うって言いたいのかよ?」


「厳密には違う経験かな」


「じゃあ、なんの経験だって言うんだよ?」


「ふふ、殺しの経験よ」

 そう言ってラートルは相変わらず不気味に笑った。


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