6章 第4話 本当の気持ち
次回は6月20日(木)投稿予定です。(今週くらい週二投稿になります。スミマセン)
ユーラーとの挨拶が終わり、星辰たち三人は地球行きの宇宙船に乗り込んだ。
三人が乗り込むと宇宙船は地球に向かって出発した。
「……」
宇宙に出て、今までいた惑星が見える。
その様子を星辰は無言で見ていた。
いや、ユーラーと二人で話をした後から星辰は何かを考えている様だった。
「……」
アクイラも星辰の様子を見て考え事をしていた。
「星辰君が気になるの?」
アクイラの席の隣にいたニーナが声を掛けてくる。
「べ、別に……。て、言うかなんニーナがいるんだよ?」
「頭領にお目付け役をお願いされましたから。もう表面上の役目に過ぎないけど」
「ふーん。そうかよ……」
そう言って、また横を向くアクイラ。
「でも、いまさら星辰君をさらおうとか考えていないよね?」
「さあな」
「星辰君をアルゴルに引き渡すより、協力して一緒に妹さんを助ける方が良いんじゃないかしら? アクイラもそう思ってるんでしょ?」
「……」
ニーナの問いに、肯定も否定もせずにアクイラは黙っている。
「何か他のことを考えてるの?」
「まあな」
「頭領と二人で話してから、星辰君がどことなく元気ないから?」
「元気が無いと言うより考え事をしている感じだな」
「やっぱり、ドロースが言った事が……」
さすがにニーナも心配そうな表情で星辰をチラリと見た。
「この銀河じゃ、ああ言う話は無いわけじゃあないが……。アタシが星辰の立場だと、言われたら多少はショックを受けるかもな……」
「……。ここはアクイラが励ますのはどう?」
「激励するって、星辰に何を言えってんだよ?」
「それは……」
「あるなら言ってるっての。それに、ユーラーがきっと、そう言うことは言ってるだろ?」
「うん」
ニーナはうなずくと、別の席に座っているルベルに目を向けた。
「……」
ルベルも無言で座っている。
「ルベル君も喋らないね。こっちもらしくないかも」
「まあ、銀河連邦警察が一応禁止されている実験に手をつけてショックだったんだろ。知らねえけどよ」
「……そう言えば、ルベル君って、銀河連邦の警察官だっけ? 星辰君も」
「ルベルの奴は、一等巡査だったな。確か。星辰は三等巡査だったかな?」
「そう」
「ニーナは辺境の惑星にまで来ることになって良かったのかよ?」
「うん。ちょっと見てみたかったし、なんならしばらくいても良いって頭領が……」
「お前、家族は?」
「私はもう家族はいないの。私以外はアルゴルにね……」
そう言ってニーナは少し悲しそうな顔した。
「そうか。悪い事聞いちまったな……」
「ううん。敵も討てたし。これで前に進めそうな気がする」
「お前が深紅の秩序にいたのは、そう言う理由だったのか?」
「うん。敵を討てたのは、アクイラのお陰でもあるね。改めてありがとう」
「アタシは何も……」
「あ、ワープが始まるみたいだね」
ニーナがそう言うと二人は黙り、話はそこで終わった。
しばらくして宇宙船がワープを行った。
一度のワープ後は、ワープできないため通常の航行をしばらく行い、またワープできる状態になればワープを実行して、地球に向かう。
「……」
星辰は窓からその宇宙を眺めている。いつもとは違う真剣な表情で何かを考えている。
(あと数回のワープで地球だな。そうなれば星辰とは離ればなれになるな……)
アクイラは憂鬱そうな顔で再度星辰の横顔を見た。
(なんで、アタシはこんなにあいつを気にしてるんだ……。こんな気持ちは初めてだ)
星辰とルベルの三人とでテーゲ星に飛ばされ、成り行きとは言え星辰たちと旅をする中で、だんだん星辰のことを考える時間が増えていった。
一緒にいて、気が付くと星辰を目で追っている自分がいる。
アクイラはその気持ちについてずっと考えていた。
最初は星辰が妹のウルラを交換するためのターゲットだから、星辰の事をいつも考えて、星辰を観察するために見ていると自分で思っていた。
しかし、段々とそうではないとアクイラも気づいていった。
だがその気持ちはアクイラにとって初めての感情でアクイラは戸惑った。自分では、どうすることもできない気持ちだった。
星辰を見ていると切なくなる。それが、なぜかはアクイラも分からなかった。
ただ、星辰と離れることが寂しくて悲しい。そんな気持ちになるのだ。
様々なことを考えていると、次のワープが始まった。
「アクイラ」
ニーナがアクイラを呼ぶ声が聞こえる。
「……ううん」
ニーナの声で、アクイラが目を覚ます。どうやら、いつの間にか寝ていたらしい。
「あれは……」
窓から外から宇宙を見ると、見覚えのある青い惑星が見える。
「地球……」
アクイラは青い星を見て、つぶやく。なぜか心がざわめく。
「ねえ、アクイラ……」
ニーナがアクイラにだけ聞こえる様に小声で話かけてくる。
「ん?」
アクイラがニーナの方に振り向く。
「星辰君に自分の気持ちを伝えるなら今の内だよ」
「自分の気持ちってなんだよ?」
「星辰君が好きなんでしょ? だったら……」
「な、なに言ってんだよ」
「だって、そうでしょ?」
「なんで、アタシがあのチンチクリンを好きになるんだよ?」
アクイラはニーナの言葉に動揺した。
「誰がどう見てもそうだよ。自分自身分からなかったの?」
ニーナがアクイラに詰め寄る。
「な、なんだと……?」
(そうなのか? アタシは星辰の事を……)
アクイラはそこで、やっと自分の気持ちを知った様な気がした。
「い、いいや、ち、違うって……」
顔を赤くしながら、アクイラは否定した。
「ねえ、アクイラ、次はいつ会えるか分からないんだよ」
ニーナはいつになく真剣な顔をしてアクイラに詰め寄る。
「う、うるさい! 違うって言ったら違う!」
アクイラはまたプイッと横を向いた。
「もう……」
ニーナが呆れた様にため息をついた。
そうしているうちに、宇宙船は徐々に地球へと降下を始めていく。また、ステルス機能を使用して外から見えなくなった。
星辰たちは地球へと帰って来たのである。




