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6章 第1話 継承

次の投稿は6月12日前後予定です。

 その星を支配していたアルゴルとの戦いはドロースが逮捕されたことで終結した。戦いを起こした深紅の秩序も無傷ではなく、死者も多数に上ったが、残った皆は勝利に歓喜した。

 捕まえられたドロースは、そのままユーラーに引き渡された。


「ふっ、ここまで見事に捕まえるとはね」

 アルゴルの塔の前で、ドロースを引き渡されたユーラーは感心した様に笑った。


「申し訳ないが、せっかくだがこの女は我らに引き渡してもらってもよろしいかな? 星辰どの」


「え、あ、はい」

 「星辰どの」と呼ばれ少し面食らった星辰がユーラーにうなずく。


「星辰どの?」

 アクイラがユーラーを見ながら驚いた様に聞いた。


「ここまでの結果を出したんだ。もう坊やとは呼べまい」

 そう言うとユーラーは立ち上がりドロースに近づく。


「私たちの決起には気づいていた様だが油断したな」


「……」

 膝を屈しているドロースは立っているユーラーを見上げる様に睨みつける。


「遊び半分で戦争するもんじゃない。その傲慢さがこうなる」

 ユーラーがドロースの顎をつかんでクイっと上げる。


「ちっ」


「ないか言いたいことは無いかい?」


「油断したのは、認めてやる。だが、それだけだ。不老不死の私からすれば、一瞬だけ失敗しただけに過ぎない」


「謝罪の言葉はないのか?」

 ユーラーが手を放す。


「謝罪?」


「この星の連中に対する謝罪だ?」


「なぜ私が、そんなことをしなくてはならない?」


「随分、この星の連中に迷惑かけた。お前らのお陰で死んだ者、家族が死んだ者が大勢いるんだ」


「知るか。お前らの様な虫けらがいくら死のうが私には関係ない。弱い者は強い者にただ従えっていればいいんだ」

 このドロースの言葉に周りにいる深紅の秩序の連中が気色ばむ。それをユーラーは右手を挙げて抑えた。


「本気で言ってるのか?」


「くっくっ、本気だよ。」


「そうかい。少しでも謝罪するなら考えても良かったが」

 ユーラーはそう言うと、右手でドロースの頭をつかんだ。


「?」

 ユーラーのその行動に怪訝な顔をする星辰達。


「な、なにを……。まさか、まさかああ!」

 ドロース急に人が変わった様に取り乱した。


「や、やめろ、やめろおお!!」

 叫ぶドロースを無視し続けるユーラー。ドロースの頭をつかんでいる手が光り始めた。


「なんだ? ユーラーの奴は何をやっている?」


「さ、さあ?」

 アクイラも星辰もユーラーが何をやっているのか分からなった。


「銀河の魔女がドロースからユーラーに継承されているんだ」

 ルベルだけ状況を知っている様だった。


「え、それじゃあ……」


「俺も初めて見る。継承には、互いの了承はいらんらしいからな。しかし、ユーラーにも魔女を継承する素養があったのか……」


「……」

 ユーラーの手の光が収まった。


「はあ、はあ……」

 ドロースはたったそれだけのことで随分疲労した様に方で息をしていた。外見は全く変わらない。

 ユーラーはドロース頭から手を離した。

 

「魔女の力なんぞ興味はなかったが、お前が反省しないのなら私が貰う事にしたよ。海賊らしくな」


「こ、このくそアマぁ。……はッ!」

 ドロースはユーラーの手に剣が握られていることに気づいた。


「魔女だと首を切っても再生してしまうが、もう人間だ。分かるよな?」


「ま、待て、待って。ゆるし……」

 ドロースが命乞いの途中で、ユーラーはドロースの首をはねた。


「……」

 ユーラーは無言で剣を振って剣についている血を払った。

 周りの深紅の秩序の連中が一斉に歓声を上げた。


「ユーラーさん……」

 星辰は驚いた様にユーラーを見ている。


「星辰どのが、血を見るのが嫌いなのは理解している。だが、こうでもしないと、この星の連中は前に進めない」


「……」

 星辰は周りを見て。少しうつむいた。


「悪いな。最後においしいところを持って行ってしまって」

 ユーラーがルベルとアクイラを見て言った。


「いや、アタシは別に……」


「あなたにも魔女の素養があったんですね?」

 ルベルがユーラーに聞いた。


「まあな。なんとなくだが、相性は悪くないと思っていた。継承できると確信できたのは、ドロースを見た瞬間にだが。ただ、さすがに戦闘中だと、その隙がない。連れてきてもらわんとな」


「……もしドロースを、銀河連邦警察に渡していたらどうなってたでしょう?」

 不意に星辰がユーラーに聞いてきた。


「それは……。おそらく、内々で処理されたでしょう」

 ユーラーが星辰の問いに答えた。


「それは、たらればの話だ。星辰」


「ああ、うん。そうだね……」

 ルベルに諭され、うなずく星辰。

 だが、次の瞬間。星辰はその場で倒れた。


「星辰!」

 アクイラが、倒れた星辰に駆け寄った。


「星辰! 大丈夫か!」

 アクイラは倒れた星辰を抱きおこした。しかし、星辰は答えなかった。ルベル、ニーナ、ユーラーも彼の顔を見た。


「レグルスが進化した反動だ。進化した分、エナジーの消費量も増えてガス欠を起こしたんだろう」


「まず医務室のある飛空艇に運びましょう」

 ルベルとニーナは目を合わせてうなずいた。


「アタシが運ぶどこだ?」

 アクイラは星辰を抱えて立ち上がった。


「おい、誰か案内しな!」

 ユーラーが部下の一人に命じた。


「こちらです」

 虎のような部下の一人が答えて走り出した。


「分かった」

 アクイラが、その部下の一人についていく。


「ルベル。私たちもついていきましょう」


「……しょうがないな」

 ニーナにうながされて、ルベルは渋々うなずいた。二人ともアクイラの後を追う様に走り出した。

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