5章 第11話 魔女との戦い
次回は5月31日投稿予定です。
「サモン、ファミリア」
星辰たち四人がファミリアを召喚する。
「ファミリア使いが四人が、ふふ、暇つぶしには良いかもねえ」
ドロースは余裕の笑みを浮かべている。
そして、おもむろに両手を前に突き出した。
「みんな! 避けて!」
ニーナが叫んだ。
その瞬間、ドロースの爪が伸びて星辰達を襲った。
「良く避けた。全員、なかなかの反射神経だ」
星辰達は、爪はフロアの壁に突き刺さっている。
「心臓や頭に当たれば即死だ。気を付けることだよ」
ドロースの爪が元に戻っていく。
(あの爪は近接武器扱い。やっかいだな……)
ドロースの爪を見ながらルベルは思った。
「みんな、こっちから攻撃だ!」
星辰が残りの三人に呼びかける。
まずは、ニーナが動いた。
「グラキエース。ダイヤモンドダスト!」
「イエス。マスター」
「む? これは?」
ドロースを冷気が包む。ドロースの体が凍っていく。
「アルタイル! ファイア!」
次にアクイラがアルタイルに命令を下した。
「イエス。マスター」
次にアルタイルの生み出した炎がドロースを襲った。爆発が起きて一面に煙が立ち込める。
「今だ!」
アクイラ
「今だ! レグルス取り押さえろ」
星辰の命令を受けた人型のレグルスは煙の中に飛び込んだ。
だが、次の瞬間。金属音と共にレグルスは吹き飛ばされた。
「な!?」
星辰は一瞬、何が起きたのか理解できなかった。
「ふふ。この私が、これくらいで弱るとでも?」
煙が消えてドロースの姿が見え始める。ところどころ火傷を負っている上に足には凍傷もおっている様に見える。並みの人間なら重症だ。
だが、重症のはずなのに、ドロースは意に介していなかった。
「さすがに、ファミリアは硬いな」
ドロースが愚痴る。
「あいつ。ただ単に殴ってレグルスを吹っ飛ばしたのか?」
星辰が驚きの声を上げる。
「銀河の魔女たる私をなめて貰っては困るな……。 !?」
ドロースは余裕の笑みを絶やさない。だが、その油断をついて攻撃を繰り出す者がいた。
ドロースは複数のシャボン玉のカッターによって八つ裂きとなった。
「ルベル!」
星辰はルベルの方を向いた。
「今の内だ。早く拘束しろ!」
「うん! レグルス! あ……」
ルベルの言葉に反応した星辰がレグルスに命令を下そうとしたが……。
「ふふふ。大したものだ。思ったよりもやるね。今までの雑魚とは大違いだ……」
バラバラになったドロースは恐ろしいスピードで体が繋がって立ち上がった。火傷も凍傷も治っていく。
「な、これが……」
ニーナが絶句する。いや、その場の全員が一瞬絶句した。
(銀河の魔女か……。なぜ、あのアクイラが、こいつらの言葉に唯々諾々だったのが、少し理解できてきた)
ルベルが、アクイラはチラッと見る。
「……」
アクイラは険しい顔で、ドロースを見ている。
(ユーラーがドロースをなめていたと言っていたが。それは俺達もそうだったのかも知れない。四人いれば何とかなると……)
ルベルは自分の考えの甘さを少し悔い始めていた。
「ふふ。さっきの爪はうまく避けたが、これならどうかな?」
そう言った、ドロースの髪の毛が急激に伸びて針状になり、星辰たちを襲い始める。
「みんな。避けろ!」
星辰が叫ぶ。
「でも、数が……」
ニーナが狼狽える。爪と違い髪の毛は単純に数が多い。無数の針が星辰たちを襲った。
「ん?」
だが、星辰達を襲った髪の毛の針は、彼らの周囲で止まり届かなかった。
「シャボンバリアー」
星辰達の周りにシャボン玉のバリアーが張られており、それがドロースの髪の毛を止めていた。
「ありがとう……」
「……」
ルベルは星辰の礼に答えなかった。
(なんとかしのいだが……)
ルベルが冷や汗を流す。星辰達四人を守っていた、シャボン玉のバリアーがはじけて消えた。
「ふふ。本当に面白い。思った以上の暇つぶしになるね」
「暇つぶしですって?」
「そうだよ。ユーラーが起こしたこの戦いはわざと起こさせたのさ。暇でね。人間と言うのは刺激が無いと人生に張りが無い。ユーラーも薄々感づいているだろうがね」
ニーナの疑問にドロースが返答する。
「そこのアクイラのお嬢ちゃんが反逆しようが、しまいが、どうだって良かった。反逆してくれて、面白くなった」
「この野郎。ゲーム感覚かよ!」
アクイラが吼える。
「そうだよ」
「なめやがって!」
アクイラがアポーツで数多くの木の丸太を呼び出す。先ほどの戦闘でアピスが切断した木々だ。
「ニーナ!」
アクイラがニーナを呼びかける。
「分かった!」
ニーナも手を挙げて呼び寄せた木々を一瞬で鋭い杭にした。
「なるほどね」
「これでも、くらいな!」
木の杭がドロースを襲う。一発でも当たれば並みの人間なら致命傷になりそうだ。
「甘い甘い」
しかし木の杭は全て、ドロースの髪の針が止めた。
「このぉ!」
アクイラの額に血管が浮き出ている。
「アクイラ落ち着いて」
横にいたニーナが止める。しかし、ニーナも
「しかし、このままだと決めてにかけるか。しょうがない、サモン。ファミリア」
ドロースが左手を上げる。人型のファミリアが召喚された。
「さっき相手をしたファミリア使いどもにも、私はファミリアを使っていない。お前たちは、なかなか大したものだよ」
(この状況でファミリアまで使用されては……)
「悔しいが、この場は撤退……」
ルベルが三人に呼びかける。
「だめだ。ルベル!」
ルベルの言葉は星辰が遮る。
「なんだと? 星辰」
驚いたルベルが星辰を見た。
「こいつが僕たちを逃がしてくれる様な甘い奴に見えるか? それに、こいつをやっつけるチャンスは、今しかない。次はない!」
「それは……」
「それに僕たちは警察官だろう。警官が犯罪者から逃げたら、誰が犯罪者からみんなを守るんだ!」
「こいつ……」
「ふふ。面白い。そちらの赤い髪の坊やの選択は間違ってないよ。逃げるのもありだろう。まあ、逃がしはしないよ。せっかくのゲームだ……。マーテリア、スライム放出」
ドロースが自分のファミリアに命令を下した。
「イエス。マスター」
マーテリアから、大量のスライム状の物質が放出された。そのスライム状の物質は星辰達を襲っていく。




