表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/139

5章 第10話 決戦の火ぶた

次は5月29日に投稿予定です。

 アルゴルの塔に入り込んだ四人は階段を使用してドロースの待つ最上階へと向かった。

 いたるところに深紅の秩序とアルゴルの構成員の死体が転がっている。

 見たところ、アルゴルの構成員たちは降伏しないものはほとんど死亡した様だ。

 確かに、最上階まで障害となるものはなかった。


「……」

 四人は無言で階段を足早に駆け上がっていく。ファミリアはいったん戻した。


「星辰。大丈夫か? お前死体は見慣れていないだろ?」

 アクイラが星辰に傍に来て聞いた。


「うん、大丈夫」


「そうか? ならいいけどよ……」

 星辰の顔色は多少良くない。アクイラは、まだ心配そうだった。


「星辰、戦争なんだ。人が死ぬのは避けられない」

 ルベルも、星辰の横にきて話しかけてきた。


「……うん。本当に大丈夫だよ。ありがとう」

 星辰はルベルに少しだけ笑みを浮かべて答えた。


(ふん、平和な国で育った割には冷静か……)

 会話しているうちに、塔の中間地点の階層に上った。この階層は何もない、広い部屋となっていた。深紅の秩序の兵が何人かおり、ここもすでに制圧されている。


「しかし、この塔って中に入ってみると本当に大きいね」

 星辰が広さに驚いた様に言った。


「ここまで、全くといいほど敵がいませんでしたね」


「深紅の秩序が全て片付けたおかげだな。アルゴルと言えばほぼ軍隊みたいなもんだ。それをこうも簡単に追い詰めるとはな……」

 アクイラが感心した様に言う。


「ドロースとサングイストライアド以外は雑魚だったからな。物量で押せば、下っ端の兵隊は壊滅できるだろう。そこまで、深紅の秩序に味方するものが多かったってことだろう」


「砦に行くまでに見た、この星の様子から見たら深紅の秩序に味方したくもなるよ」

 星辰がルベルに話しかける。すでに精神状態は完全に落ち着いた様だ。


「まあな」


「今更だけど、ドロースは逃げないのかな?」

 星辰が率直な疑問を口にした。


「空路は深紅の秩序の飛空艇があるから逃げられないと思います。逃げるなら陸路ですが、塔の隠し通路も抑えていますし……」


「おやおや、なめられたもんだね」


「!」

 どこからか、女性の声が聞こえてくる。


「全員、サイコキネシスで身を守れ!」

 ルベルが怒鳴った。

 次の瞬間には黒い針の様なものが天井を貫いて星辰たちのいた階層の深紅の秩序の兵士たちを皆殺しにした。兵士たちの断末魔が響き渡る。

 星辰達は、サイコキネシスで黒い針から自分たちを守ったため怪我はなかった。


「おい!」

 さらに天井が破壊された。


「ふふ」

 崩れた天井から妖艶な女性が降りてくる。


「ドロース……」

 降りて来た女を見たアクイラがつぶやいた。


「暇になったんでね、私の方から来てやったよ」


「お前がドロースか?」


「そうだよ。初めましてだね。 紅鏡星辰……だったか? 思ったより小さい小僧だね。本当にあのティグリスの息子か?」

 ドロースはそう言うと微笑んだ。


「余計なお世話だ!」


「威勢だけは良い」

 そう言うとドロースはアクイラの方を見た。


「久しいねアクイラ。よくその坊やを連れてきてくれた」


「なんだと?」


「だって、そうだろう? 私たちに、その坊やを渡すためにここまできたんだろ? 違うのか?」


「……」


「黙っていたんじゃ分からないよ。それともコルムがどうなってもいいのか?」


「ちっ」

 苦々しげに舌打ちするアクイラ。


「やめろ!」

 その様子を見た星辰が怒鳴った。


「僕はお前らに引き渡されるために来たんじゃない。お前を倒すために来たんだ!」


「なんだと? こいつ、今なんて言った?」


「お前を倒すと言ったんだ!」


「小僧……。おい、アクイラいいのか? コルムがどうなっても?」


「!」

 ドロースの脅しにアクイラが一瞬、苦しそうな顔した。


「アクイラ」

 星辰がアクイラに呼びかける。


「ユーラーさんの言った通りだ。僕を引き渡しても、こいつらは君の妹さんをきっと渡さない」


「そんなことはないよ。悪党には悪党なりの矜持がある。約束は守るさ」


「ふん。そんな口約束が当てになるか。思った以上の胸糞悪い悪党だ。見かけは美人だかな」

 星辰の右後ろにいたルベルが歩を進めながら話に入ってくる。


「アクイラ、私も弟がいたので、気持ちは分かるつもりです。でもこの人は、確かにそんな約束守るつもりはありませんよ」

 アクイラのそばにいたニーナも前に出て、諭すように言った。ドロースを見る目に若干の憎しみの色があった。


「ルベル、ニーナ……」

 アクイラが少し驚いた様に二人を見た。


「ふふふ。随分と評判が悪いものだ。私は約束は守ると言っているのだよ?」


「この星の人たちを踏みつけてる奴が言っても説得力はない!」


「たとえ、約束を守らないつもりでも、コルムは人質も同然だ? いいんだね?」


「……ふん。腹をくくったつもりだったんだけどな」

 アクイラがつぶやくようにしゃべり始める。


「ん? なんだって?」


「お前らが約束は守らないことは薄々分かっていた……。だけど、アタシはそれでもコルムを見捨てたくなかった」


「じゃあ、今から見捨てるのか?」


「見捨てるんじゃねえ! コルムも助ける。お前もぶちのめす!」


「言ってくれる小娘が! そんなうまくいくかよ!」


「アクイラ、さっき言ったけど僕も妹さんを助けるのを手伝う。その前に、まずはこいつをやっつけよう!」


「こいつを捕まえる。そうすれば最低でも口は封じれるだろ」


「そうですね」

 ルベルとニーナが星辰に同意する様に戦いの構えをとった。

 星辰とアクイラも同じ様に戦闘の構えをとる。


「小僧どもが……。だが、面白い。この銀河の魔女たる私が、そう簡単に倒せると思うな!」

 ドロースもまた、ドロースとの戦いが火ぶたを切ろうとしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ