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5章 第6話 亜音速の刃

次回は5月20日投稿予定です。

 ルベルとセルペンスの二人が戦いが繰り広げられていた、その頃。

 アクイラとニーナもまた、トライアドの一人アピスとの戦闘を繰り広げていた。

 四枚の羽根を背中に生やしたアピスは、その羽で空を浮いていた。


「ふっ」

 アピスは少し笑ったと思った瞬間、アピスの目の色が変わり二人のいる陸に向かって突撃してくる。


「ちい!」

 アクイラとニーナの二人に、アピスが起こした真空の刃が襲い掛かった。


「木が……」

 その刃は二人の周りの木々を切り裂いた。断面が鋭利な刃物で切った様だった。

 ニーナが一瞬呆然となる。


「とんでもねえな……。ニーナ大丈夫か?」


「うん。ファミリアも」


「こっちも、アルタイルは無事だ」


「ほう、良く避けたね。いや良くファミリアに避けさせたと言うべきか? 青髪のお嬢ちゃんもミュータントか何かかな? 動体視力が常人のレベルじゃない」

 二人のいる位置よりも高い空中から、アピスは二人を呼びかけた。


「亜音速の飛行から繰り出される真空の刃……」

 アピスと倒れた木々を見ながらニーナはつぶやいた。


「これが飛行型サイボーグアピスかよ……。聞くと見るとじゃ大違いだな」


「ふふ。あらゆるものを切り裂く真空の刃もファミリアのフィールドまでは避けない。精々、ファミリアを切り裂かれないようすることだね」

 そう言うとアピスが、さらに高い空へとゆっくりと舞い上がる。


「させるかよ」

 アクイラはそう言うと姿を消した。

 一瞬で空中に舞い上がり、アピスの蹴りをお見舞いする。


「見えてるよ」

 しかし、アピスはそれをあっさりと避けた。

 アクイラとアピスの位置が入れ替わるり、アクイラがアピスの方向へと振り返る。


「アクイラ! 空中戦は不利です。ここは陸に降りて」

 ニーナが陸上からアクイラに声をかけた。


「分かってるよ」

 アクイラは陸へと降り立った。


「さすが、強化された人間だね。なかなかのもんだ」

 上空からアピスは褒めた。


「ち、あっさり避けておいてよく言うぜ」


「ふふ」

 アピスが空から二人に突撃してきた。その飛行と共に真空の渦が生み出され、木々を切り倒してい行く。

 


「ちっ。アルタイル。ファイア」


「グラキエース。氷の刃を!」


「イエス。マスター」

 二人のファミリアが能力を発動する。

 無数の炎の玉と氷の刃がアピスの周りに生み出される。


「ふふ」

 アピスは余裕の笑みを浮かべている。


「食らわせろ!」


「グラキエース!」

 二人の叫びと同時に炎と氷がアピスに襲い掛かる。二つの相反する塊がぶつかり空中で爆発が起きる。


「やりました?」


「いや、あっちだ」

 ニーナの言葉をアクイラが否定する。


「甘いね」

 二人の攻撃はアピスに届かなかった。当たる瞬間にその場を離れた様だ。


(これが、亜音速のスピード……)

 ニーナが、少々悔しそうにアピスを見ている。


(あのスピードに加えて、生み出される真空も面倒だ)


「少し埒が明かないか……。私もファミリアを使用させてもらうよ。サモン。ファミリア」

 アピスの近くにファミリアが召喚される。飛行機の様な形状をしている。


「ラピドゥス。能力発動」


「イエス。マスター」

 アピスの言葉にファミリアが答える。その瞬間アピスの体が少し光る。


「ちっ」

 アクイラが舌打ちをする。


「行くよ、お嬢ちゃんたち。亜音速を超えたスピードを味わいな」

 アピスはそう言うと、これまでより一段速いスピードで二人に襲い掛かった。

 これまで以上の真空の刃がアクイラとニーナに襲い掛かる。


「この!」


「くっ!」


「ほう、あれまで避けるとはとんでもないね。だが……」

 アピスが、地面からそう遠くない空中で二人に話かけ、そして消えた。

 

「どこに?」

 ニーナがあたりを見渡す。


「! 後ろだ! ニーナ!」

 アクイラが何かに気づいて叫んだ。

 アピスがニーナの背後を取っており、アクイラ顔負けの蹴りをニーナに繰り出した。


「ぐ、くう……」

 ニーナは咄嗟にその蹴りを右腕で防御したが、そのまま蹴りを受けた位置を残った手で押さえてうずくまった。


「この野郎!」

 アクイラがアピスに殴りかかった。


「ふん」

 アピスはアクイラのチラッと見ると再度消えた。アクイラの拳が空を切る。


「おい、ニーナ」


「だ、大丈夫……」

 ニーナの右腕が折れていた。

 だが、ニーナが怪我をした腕を抑えながら能力で治療を行った。


「! これは、ヒーリング能力まであるとは驚いたね。だが、何回もできはしないだろう?」

 いつの間にか、アピスは二人の頭上にいた。


「はあ、はあ……」

 怪我を治癒したニーナが立ち上がる。


「ラピドゥスは本体を加速させる能力。並みの人間が使えば、足が少し速くなる程度のものだが、私が使用すれば亜音速を超えたスピードが出せる」

 アピスは上空から二人を見下ろしながら言った。


「だが、お前たちの動体視力だと、亜音速を超えた飛行でも真空の刃は見切れると判断した。フィールドが無くても、避けられたのでは意味がない。ラピドゥスの能力を使用すれば、こう言った戦いも可能さ」


(こいつ、あっさりと戦い方を変えてきやがった……。早すぎて動きが見えねえ)


(能力だけじゃない。戦闘経験も私たちを凌駕している)

 アピスの冷静さに二人は舌を巻いた。


「さて、悪いが死んでもらうよ」


「ち、やってみやがれ!」


「そうさせてもらおう」

 アクイラの言葉に答える様に、アピスが消える。


(くそ。強がって見たもののどうする?)


「アクイラ!」

 アクイラが考え事をしているとニーナが叫んだ。


「は!?」

 アクイラの目のまえにアピスがいた。拳が繰り出される。


「く、この!」

 アクイラはその拳を防御すると反撃の拳を繰り出した。アピスはその攻撃をさばいてと後ろへと一歩下がってまた消えた。


「アクイラ」

 ニーナがアクイラに駆け寄ってくる。


「ニーナ、あんたはアタシの背中につけ。アタシはアンタの後ろを見張る」


「うん」

 アクイラとニーナの二人は背中合わせになった。


「どうする? アクイラ。頭領が言っていた様に、ここに足止めできているけど……」


「いや、戦闘経験値が違いすぎる。長期戦になったらアタシらやられる。倒すことだけを考える」


「そうだね。私も同じことを考えてた」


「決まりだな」


「ふん。そう、うまくいくかね」

 アピスが姿を現し、アクイラに殴りかかる。

 ヒットアンドアウェーを繰り返してアクイラを痛めつけた。


「ぐううう……」

 アクイラは防御に集中してダメージを最小限におさえた。しかし、徐々にアピスの攻撃を防ぎきれなくなってきている。防戦一方では、いずれ追い込まれるのは目に見えていた。


「アクイラ!」


「アタシのことはいい。ニーナ! あのファミリアに攻撃しろ」


「え? 分かった! グラキエース。氷の刃を」


「イエス。マスター」

 また、ラピドゥスの周りの氷の刃が複数作り出される。


「ふん」

 アピスはその様子を見て、亜音速で空へと舞い上がり氷の刃は破壊した。


「確かにラピドゥスを破壊すれば加速の能力は使えなくなるが、そんな簡単に破壊できると思うわないことだね。ん?」


「……」

 アクイラはその間にも両方の手をかざして、アピスが切った木々を浮かせて、さらに鋭く尖らせて槍の様にしていた。


「ニーナ手伝ってくれ!」


「分かった!」

 ニーナもサイコキネシスを使用してアクイラを手伝い木の槍を作り出す。


「いけ! こいつらを飛ばせ!」

 アクイラが叫び、アピスに木の槍たちを飛ばした。


「うん!」

 アクイラの合図と共にニーナも木の槍をアピスに飛ばす。


「ふ、ふふ。何をするかと思ってみていたら、くだらない……。ん?」

 木の槍を避けようとして、何か違和感に気づくアピス。


(そうか、私を狙ってるふりをして後ろのラピドゥスを狙ってるのか)

 アピスは違和感の正体に気づくと、また亜光速で飛行して木の槍を全て真っ二つに切断した。


「残念だったね。お嬢ちゃん……。いない?」

 陸にはニーナしかいない。


「グラキエース。氷の刃!」


「イエス。マスター」

 グラキエースが氷の刃を生み出しアピスを攻撃した。


「ちっ」

 その氷の刃も避けるアピス。当てるのは至難の業だ。


「こんなもの。しかし、あの黒髪のお嬢ちゃんはどこに行った?」

 アクイラを探すアピス。しかし、次の瞬間


「アルタイル。ファイア!」

 後ろから声が聞こえ、アピスの背中に衝撃が走る。


「なにぃ!」

 アピスの四枚の羽は全て破壊された。羽を失い地面に墜落していく。


「あの木やニーナの氷の刃はアンタの気を引くための囮さ」

 アピスの羽を破壊したのは、アクイラのアルタイルの炎だった。

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