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4章 第5話 深紅の秩序

「ここは犯罪組織アルゴルが支配する星……」

 星辰がつぶやくように言った。


「なぜ、知っている? そこまで聞いてなかっただろう?」


「前に、この星の事を調べていたからな」

 アクイラがルベルの疑問に答える。


「あの塔にいるのが、この星の支配者か?」


「たぶんな」


「それでどうする? 星辰をアルゴルにつきだすのか?」

 ルベルがアクイラに矢継ぎ早に聞く。


「……」

 アクイラは黙っている。


「ちょっと待ってルベル。アルゴルでも僕を狙っているのは、クスカって奴だけなんだ」

 星辰がルベルを止める。


「そのクスカが、己の出世のためにお前のことをアルゴルの組織に報告していないであろうことは知っている。だからと言って、そいつがお前をこの星の支配者に突き出さないと言う根拠にはならん」


「だけど……」


「アタシの妹はクスカの元にいるんだ。あくまでも星辰はクスカに渡さねえと意味ねえよ」

 アクイラが反論する。


「ほう。そうなのか。だが、この星の支配者がクスカの息のかかったものかもしれない。そうじゃない場合でも星辰を渡して、クスカと交渉してもらう手もありそうだが?」


「でも、ここの支配者とクスカが結託して、アクイラの妹さんを渡さない可能性もあるよね?」

 見かねて星辰がルベルに反論した。


「お前どっちの味方だ? 何度も言うが、そいつはお前をさらおうとしている奴だぞ?」


「今は、二人とも仲間だろう?」


「俺は仲間と思っていない。現状では、この女の力も必要になりそうだから、一緒にいるだけだ」


「僕は今だけだったとしても、アクイラを仲間と思っている」


「……」

 アクイラは少しだけ複雑な表情で星辰を見た。


「ふん。何度も言うが、お前のお人よしにもあきれるな」


「ルベルが僕を心配しているのは分かるけど、今はもっと情報を集めた方が良いと思う」


「心配などしていない。父さんとエバンさんから頼まれた任務だからだ。お前なぞ本当はどうでもいいが、さらわれたら俺の沽券に関わる」


「もう分かったよ……本当に、なんて言うかな? ルベルも意地っ張りだな……」

 星辰がやれやれとばかりにため息をついた。


「お前に言われたくない!」

 ルベルはそう言うとまた横を向いた。


「……なあ、ひとつ良いか?」

 さっきから黙っていたアクイラが口を開いた。


「どうしたの?」

 星辰が聞き返す。


「この星の支配者はアルゴルと言ったが、厳密にはこの星にはアルゴルに支配に抵抗している連中がいる」


「それってどんな……」


「宇宙海賊だ」

 星辰の話の途中だが、アクイラが答える。


「どういうことだ?」

 ルベルが少し興味がわいたらしく、アクイラ方を向いて聞いた。


「お前が言ってただろ、この星は宝石が産出するって」

 アクイラはルベルの方を少し見て、そう言った。


「宝石が産出する……。そうか、その宝石の利権みたいなものを争ってアルゴルとその宇宙海賊が争ってるんだね」

 ルベルに変わって星辰がここは答えた。


「そう言うことだ」


「ほう、少しだが話が見えてきた。その海賊を頼ろうと言うわけか?」

 ルベルが少し感心した様に言った。


「まあな。かなり望み薄だが地球に帰ることを考えた場合、一番可能性がありそうだ」


「僕が聞くのもなんだけど、その宇宙海賊を頼ってアルゴルに反抗することになってもアクイラは大丈夫なの?」


「ああ。まあ、クスカにばれなきゃ良いんだよ。仮にクスカが、ここの支配者として、宇宙海賊を利用していあいつをぶちのめすのもありだしな」


「それなったら、僕がアルゴルに行かなくても妹さんも救える道筋が出来る?」


「そう都合良くいくか? 別の幹部が支配者の可能性もあるだろう。アルゴルに反抗したことをクスカにばれるんじゃないか?」

 ルベルが話に割って入ってきた。


「アルゴルの幹部連中は競い合っていて一枚板じゃないらしい。出世争いってやつだ」


「仮にこの星の支配者がクスカとは別の幹部だとして、そいつをやっつけてもクスカは何も言わない?」


「多分な。それどころか、出世争いのライバルが一人消えて礼すら言われるかもな。それはそれでしゃくだが……」

 アクイラは苦々しげに話した。


「それと元々、あの塔に忍びこもうとしていたしな」


「だから、この星のことを調べてたんだね?」


「そうだ」


「それが、あべこべにアルゴルに妹をさらわれた訳だ」

 ルベルが皮肉を言う。


「!」

 アクイラがキッとルベルをにらみつける。


「ルベル! 少し言いすぎじゃないか? さっきも言ったけど、クラスの女の子には優しかったじゃないか?」

 それを見た星辰がルベルをたしなめた。


「地球の女の子にはな。だが、そいつは俺を蹴ったからな」


「それ根に持ってたんだ……」


「当然だ。まあ、言い過ぎだと言うなら謝罪しよう。少しだけな」


「へ、別にいいぜ。本当のことだからな。それにアタシもお前は嫌いだからな」


「それで結構だ」


「まったく、やれやれだよ……。とにかく、その宇宙海賊を頼るんだよね。でも、宇宙海賊が僕たちに簡単に手を貸してくれるかな?」

 星辰は腕を組んで考えた。


「交渉次第だろうな」


「どんな宇宙海賊だ?」

 ルベルがアクイラに聞いた。


「知らなねえか? 深紅の秩序って名前を?」


「深紅の秩序って名前の海賊団ってこと? 宇宙海賊なのに秩序?」

 星辰がアクイラに聞いた。


「そうだ。まあ、何かの皮肉だろ。義賊らしいしな。この銀河じゃ、そこそこ有名な海賊さ」


「へえ、アクイラと同じ義賊なんだ」


「ああ、そうだな」

 アクイラが少し、照れくさそうに答える。


「確かに義賊なら、多少は話が通じるかも……って、ルベルどうしたの?」

 星辰がルベルの様子が変なことに気が付いた。


「深紅の秩序だと?」

 ルベルが少し驚いた様に聞いた。


「そうだが、お前何かあるのか?」

 アクイラがルベルに怪訝な表情で聞き返した。


「それは、あれだ、その宇宙海賊の頭の名は確かユーラー=レ=ウルティオ……」

 ルベルは、今話にあがっている宇宙海賊の頭領と思わる人物の名前を出した。


「ああ、そうだな。なんだ、知ってるじゃねえか?」

 アクイラがルベルを見ながら言う。


「ルベル知ってる人なの?」

 ルベルの様子を見ていた星辰も聞いた。


「ああ、知ってると言えば知ってるが……」

 ルベルが答えるが、だが何か歯切れが悪い。


「なんだか、らしくない感じだね? どうしたの?」

 ルベルの様子に、さすがの星辰も怪訝な面持ちで聞いてくる。


「ユーラーは偽名だ。本名はフェミナ=エクエス」


「宇宙海賊だし偽名を使うのはありえるが、お前なんで本名を知っている?」

 アクイラがルベルに疑問を聞いた。


「……ユーラー=レ=ウルティオ。元銀河連邦の警察官だ。父さん母さん、エバンさんとユーラ―の四人は同僚だったんだ」

 ルベルが少し言いにくそうに話しを始めた。

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