高校1年生編 1章 第12話 残忍な聖職者
次回は5月9日投稿予定してます
「アルゴルの?」
「うん。名前はサエウム=クレールス。偽名だろうけど……」
「サエウム=クレールス……」
「別名、残忍な聖職者だって……。ふざけた二つ名だね」
「あのよ、そのAマイナスの指名手配犯ってのは、そんなにヤバイのか?」
星辰とベロニカが、モンタージュ。端的に言えばホログラフィーの男の話をしていると、伊丹が口を挟んできた。Aマイナス級の指名手配犯と言われてもピンとこない様だ。
「二年前に地球に来たクスカがBプラス級の指名手配犯だよ」
ベロニカが少しぶっきらぼうに伊丹に返答する。伊丹は芹沢に比べると愛想がない。ベロニカにすれば何か気に入らなかったらしい。
「それって、つまり、あのクスカってのより、ヤバイってこと?」
次に芹沢が少し慌てた様に恐る恐る聞いてきた。
「銀河連邦の指名手配犯は捕まえにくさで、おおよそのランクが決まるんだよ」
「あん。どう言う事だよ?」
ベロニカの説明を聞いても伊丹は分からなかったらしく怪訝な顔で、聞いてきた。しかし、この刑事、悪い男では無いが、顔が厳つい。
「そうですね……。例えば戦闘能力が皆無でも、凄腕のハッカーの様な人物がA級指名手配犯になっている場合もあります」
伊丹の質問をベロニカの代わりに星辰が答えた。
「まあ、A級指名手配犯のハッカーなら別の意味でヤバイけどさ」
「そのサエウムと言う男の戦闘能力の情報は何かある?」
「詳しくは何も、でも戦闘能力高めのAマイナス級指名手配犯だよ。こいつは……何人も殺してる。銀河警察の警察官もね……」
星辰の問いにベロニカはシリアスな表情で答えた。Aマイナス級は、それだけ緊張感がある相手だ。
「せ、先輩。思ってた以上にヤバイ奴みたいですよ。こいつを逮捕して銀河警察を出し抜くとか言ってましたけど……」
「うるせえ! 余計なこと言うんじゃねえ!」
「あ、イタ!」
色々と口を滑らす芹沢の頭を伊丹が叩いた。
(こいつら、そんなこと考えてたのかよ……)
伊丹と芹沢の話を聞いていたベロニカは呆れた。
「だがヤバイってのは分かった。かなり不本意だが、やはりお前ら銀河の警察に任せるしか無い様だな」
伊丹は多少悔しそうな顔で星辰たちを見た。ただ、このサエウムを捕まえることは諦めた様だ。
「はい。失礼な言い方かも知れませんが、この男を見つけても我々への通報だけで接近しないでください」
「おうよ」
「俺たちも命は惜しいからね」
星辰の言葉に伊丹、芹沢が答える。
「君たちも同じく、こいつを見つけても近づかないでくれ」
「そうそう。こいつに出会って生きてたのは運が良かっただけ。次は殺されるよ」
「あ、ああ、分かったよ……」
星辰とベロニカは次に相良大地の子分たちに忠告した。彼らは意外とすんなり忠告を受けいれた。話からして、彼らにはどうしようも無いだけは分かった様だ。
「じゃあ、俺たちはこれで引き上げるよ」
芹沢はそう言って歩き始めようとした、その時。
「!」
星辰とベロニカは何か違和感を感じた。
「どうした。坊ちゃん?」
星辰とベロニカの様子が変わったことに気づいた伊丹が聞いた。
「何か嫌な予感が……。四人とも、ここからすぐに立ち去ってください」
「なんだと?」
星辰の発した言葉に伊丹は怪訝な顔をした。彼には何も無い様に見える。
「早く!」
「それなんだけど……。あ、足が動かないんだ……」
星辰が怒鳴る様に言葉を発すると芹沢が泣く様な声で答えた。
「なんだと! お、俺もだ。どうなってやがる」
伊丹も足が動かないらしく、慌てた様に叫んだ。
「お、俺も動かない!」
「俺もだ!」
残りのヤンキーの少年二人も、伊丹、芹沢と同じ症状で口々に叫んでいた。
「くっ……」
次の瞬間にはあっという間に四人は石像になっていた。
星辰もなす術が無く、見ることしか出来なかった。
「フッフッ。やはりサイキッカーのお二人には効果が薄かった様ですね」
どこからともなく声が聞こえてきた。
声のした方向を見ると、一人長身の男がいつの間にか立っていた。
「お初に紅鏡星辰君。私はサエウム=クレールスと申します」




