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Origin〜最強のデッキと神のカードで無双する〜  作者: 山科独名(やましなひな)
第二章 異世界のデッキ
22/23

夕焼け

 少年A(エー)がカードを実体化させた。これによって、フィッダブヤドは妖精ベニテを追うことが出来なくなり、時間稼ぎは意味をなさなくなった。早々に撤退したいところだが、バトル中のため逃げる事が出来ない。


「…っ!降参だ!降参する!」


「さっき降参なんてするわけがないって言ったのに?騎士の誇りはないの?」


 少年がフィッダブヤドに降参するか聞いたのは、この為だった。騎士フィッダブヤドの誇りを傷つける。ただその為だけに聞いたのだ。


「ぬぐ…!いや、それでも私は降参する!騎士の誇りなんぞ今は役に立たない!」


 だが、フィッダブヤドは誇り程度に囚われはしない人間であった。この思い切りの良さと、引き際を誤らぬ判断力は、流石銀白の騎士といったところだろう。


「そっかー。降参するのかー。でも駄目。」


 しかし少年は非情だった。降参は相手が認めなくては出来ない。そしてこの瞬間に、フィッダブヤドはこのバトルの意図に気が付いた。そう、ライフが減っても負けにならないということは、降参を認めなければデッキが尽きるまで攻撃できるという意味だったのだ。少年はそもそも精神力の勝負なんぞするつもりがなかった。フィッダブヤドを一方的に叩き潰すつもりだったのだ。


「私を…殺す為か…!」


「さ、60秒だ。僕のターン。」


 少年の2体のカードがフィッダブヤドを傷つける。


「ぐご…がは…!」


「効果を使って、ターンエンド。」


 2体は既に実体化している。それはつまり、フィッダブヤドの体を物理的に傷つける事ができる事を意味している。実はバトル中の実体化は制限されており、途方もない実力差がなくては、実体化状態で相手を攻撃することはできない。だが、その上で鎧を着込んだフィッダブヤドに大きなダメージを与えることができるという事は、フィッダブヤドとAとの間には天と地ほどの差がある事を意味していた。


「はあ…はあ…はあ…」


 ここでフィッダブヤドは60秒の意味に気づいた。この60秒の後に攻撃が来る。逆に言うとこの60秒は安全なのだ。しかし、安全だからこそ、この60秒は恐怖だ。次の攻撃が来る恐怖がこの60秒もの間フィッダブヤドを襲う。


「な、なぜ…」


「何故って?」


 フィッダブヤドは疑問だった。何故ここまでするのかと。何故そんなにも怒っているのかと。少年は答えた。


「下手な嘘はつくもんじゃないよ。」


 少年は、フィッダブヤドが嘘をついた事に怒っていたのだ。フィッダブヤドは考えた。どこで嘘をついたのか、と。その答えも少年が言った。


「異世界人はどんなデッキも使えるわけじゃない。カツラは僕のカードが読めなかったんだ。カツラのデッキは君の国の国宝なんかじゃない。カツラ自身のデッキだ。君はそれを奪おうとしたのさ。そもそも、国宝のデッキなんて、()()()()()()()()?」


「いや…国宝のデッキは存在する…!異世界人の手によって、ただ1枚を残して奪われてしまったんだ!」


「へえ、1枚は残ってるんだ。」


「…その通りだ。それは神のカードだ。異世界人も神のカードは扱えなかったんだろう。」


 神のカード。その言葉を聞いた瞬間、胸のあたりがチクリとしたように感じた。手を当ててみると、そこには服に縫い付けられたコインのようなものがあった。だが、今は関係ないと、その雑念を振り払う。


「…もしかして、最初っから国宝はその1枚しかなかったんじゃないかな?その神のカードをまともに扱えるデッキが欲しかったんじゃないかな?だって、デッキさえなければ、()()()()()()()()()()()()使()()()んだもの。…あれ?何で僕そんな事知ってるんだろ?」


「…」


 少年の言葉に黙り込むフィッダブヤド。彼は何かに気づいてしまったのかもしれない。そして、60秒が経過した。少年の攻撃を、今度は黙って受け止めるフィッダブヤド。しかし即座にこう言った。


「ターンエンド…」


 フィッダブヤドは60秒の休息も否定した。殴れと言わんばかりに、即ドローゴーを繰り返す。少年も、一方的に攻撃し続けた。そして何度目かの攻撃のあと、倒れたフィッダブヤドは起き上がらなくなった。


「…気絶したようだね。僕は君を殺す気は無いよ。僕は人を殺そうとする人が嫌いなんだ。…僕はカツラのおっさんを気に入っている。おっさんの矢には殺意がなかったからね。」


 カツラが使っていた矢には鏃がついていなかった。彼に妖精を射殺す気は無かったのだ。


「そんなカツラを殺そうとしたりした君が僕は嫌いだけど…今はまだ、殺さないであげるよ。…降参を認める。」


 フィッダブヤドの額に1本の大きな傷跡を残し、Aは自らが目覚めた泉へ向かう。彼の予想が正しければ、ベニテは皆をそこに運んでいるだろう。


 傾き始めた太陽を見て、空腹を感じた。そういえば、起きてから何も食べてなかったなと気づく。カツラの鞄から食べ物を貰おうと考えながら、少年は森の中を歩く。

これで第二章は終わりです。次はカードまとめになります。

第三章以降の投稿に関しては、評価等を見て考えさせてもらいます。

ここまでお読み下さり、ありがとうございました。

評価、感想等よろしくお願いします。

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