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Origin〜最強のデッキと神のカードで無双する〜  作者: 山科独名(やましなひな)
第二章 異世界のデッキ
14/23

年齢詐称?

「ダイス8連投とか…ヒヤヒヤさせてくれるぜ。」


「勝利おめでとうございます!」


「おっさん、魔力大丈夫?」


「あんまり大丈夫じゃねえな…」


 男は先程少年に負けて気絶した少女を抱えている。ちょっと疲れているようだ。


「僕が持つよ。おっさん。」


「…そのおっさんっていうのやめねえか?」


 少年に少女を渡す男。前言撤回、かなり疲れているようだ。魔力が少ないというのは本当のようである。


「だっておっさんの名前知らないし。」


「そういえば俺もお前らの名前知らねえや。」


「私もお二方の名前は知りません。」


「…」


「…」


「…」


「自己紹介しよー!」


 先ず名乗りを上げようとしたのは少年であったが、いきなり止まる。記憶喪失で名前が思い出せなかったのだ。


「おいおい…なんか手がかりになりそうなもんとかねえのか?」


「うーん、あ!そういえば、ネックレスがあったよ!ハンター証明って書いてあるやつ!取ってくるね。」


 そう言って少年は泉の縁から鉄製のネックレスを持ってきた。ハンター証明と刻まれたタグがついている。


「ハンター証明!?ってことはお前ハンター…いやんなわけねえか。”エヴォリューション”使うようなやつがハンター程度なわけがねえ。お前の親とかの持ち物なんじゃねえのか?」


「親?何それ。」


「まじか…親も忘れちまったなんて…記憶、戻るといいな…」


「?」


「結局名前はどうするんです?」


「ああ、そうだ。そのタグの裏面にそいつの持ち主の名前が刻まれているはずなんだ。それを取り敢えず名乗れば良いんじゃないか?」


「裏面…”A(エー)”だね!」


「変な名前だが…お前にはぴったりな気がするぜ。ひっくり返して(ターンエー)って読んでもいいかもだぜ。」


「長いからやだ。」


「おっふ…」


「Aさんですか。宜しくお願いします。」


「宜しくね!」


 次に自己紹介するのは妖精の少女のようだ。


「私の名前は”ベニテ”です。」


「へぇー、美味しそうな名前だね。」


「どこがだよ。」


「ベニテングタケ。」


「毒キノコじゃねえか。」


「よく言われます。」


「嘘だろ…」


「嘘です。」


 テヘペロと舌をちょこんと出して笑う妖精。礼儀正しい彼女だが、割とお茶目なのかもしれない。なお、ベニテングタケというのは、赤色に白のツブツブが付いた特徴的な傘を持った、食べると嘔吐したりするような幸運の毒キノコである。


「最後はおっさんだよ。」


「おっさんじゃねえよ。”桂林(かつらばやし)松太郎(しょうたろう)”だ。」


「長い。」


「長いです。」


「そう言われると思っていた。”カツラ”で良いぜ。」


「カツラのおっさん。」


「だからおっさんをつけるなと。俺はまだ若いんだ。」


「幾つなの?僕26歳だけど。」


「お前俺より年上かよ!」


 少年のこの年齢は2人にはとても意外だったようだ。特にカツラの方は明らかなオーバーリアクションで驚いている。


「私よりも年上ですね。」


「てか年齢は覚えてんのな。」


「2人は幾つ?」


「おいおい、女性に年齢を聞くもんじゃ…」


 ねえぜ、と言おうとしていたのだろうが…


「22です。」


 何でもないかのようにベニテが答える。そこに恥じらいを感じてはいないようで、堂々としているが、カツラが最も驚いたのはその年齢であった。


「お前らの外見年齢どうなってんだおい。まあ、ベニテは妖精だからわからんでもないが…Aよ。お前の小ささは異常だぞ。病院行ったほうが良いんじゃないか?」


「そんなことより、おっさんの年齢は?」


「もうただのおっさん呼びに戻っちまってるし…ふぅ…聞いて驚け、20だ。」


「というのは嘘だ。」


「やっぱり嘘でしたか。」


「嘘じゃねえ!」


 カツラの外見をここで書いておこう。ボサボサの黒髪やちょい小汚い服装は一般的な農民の外見であるので別に普通である。彼が若者に見えないのは、顔の彫りの深さが原因であろう。眉毛も太く、割と厳つい顔をしている。


「こんな髭もじゃが20なわけないよ。」


「うるせー!好きで伸ばしてんじゃねえよ!うちの村に髭剃りがねえのが原因なんだ!」


 髭もそこそこあり、20代とは思えない。が、体の動きや声、喋り方には若さがしっかり出ており、顔を除けば20歳と言われても納得できる。顔を除けば。


「俺からしたらお前の年齢の方が怪しいぜ。外見も性格も10代のガキって感じなのに声だけは30超えて40と言われても納得できる渋さ。なのに実年齢20代。」


「喉を怪我して声が低くなっちゃったんだ。」


「…だからハスキーボイスだったのか。」


「嘘だよ。」


「嘘かい!」


「ふふふ…御二人は仲が良いですね。まるで昔から知り合いだったみたい。」


 ニコニコと笑うベニテ。彼女の笑顔をAとカツラは初めて見た気がした。


「俺こんな年齢詐称な知人いねえぞ。」


「…僕はおっさんに似た性格の友人がいた気がする。」


「おお、そいつは若いやつだろ。そうだろ!?」


「ん〜っと…うん!確か若かったと思う!」


「やっぱりな!」


「その人は幾つだったんです?」


「えぇっと…確か…8!」


「俺は8歳児並かい!」


「あ、10歳だったかもしれない。」


「どっちにしろ若すぎるわ!」


「ふふふ…」


 ワイワイと談笑する3人だったが、子ども攫いの妖精を探していた事を忘れてはいなかった。談笑しながらも3人の足は止まらず森の中を進んでおり、意識の片隅で周囲を細かく探索していた。そして、手がかりを見つけたのであった。


「子どもの足跡…新しいな。」


 3人はこの足跡を辿るのであった。

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