子ども攫いのいたずら妖精
「君は誰だい?」
男に問いかける少年。起き上がった男はびっくりしたように叫んだ。
「喋ったぁ!?お前、洗脳されてねえのか!?」
「…洗脳?」
キョトンとする少年。その反応を見て、人違いだったか…と呟いた男は、弓をその場に置いて、土下座した。
「これどういう状況?」
「…わかりません。」
少年少女はただただ困惑するだけであった。
十数分後。
「…というわけで、子ども攫いのいたずら妖精を懲らしめに来たんだ。」
男は2人に話す。話が無駄に長かったため要約すると、村の子ども数人がとある妖精に洗脳されて連れ攫われたので、その妖精を殺そうとこの森に入ったらしい。で、妖精の特徴である蝶の羽のついた少女が、一見すると子どものような少年と一緒にいたので、こいつだと思って弓矢で狙ったのだそう。
「人違いで殺されかけたのかぁ。」
「本当にすまんかった…!」
「子どもを攫う妖精…まさか…」
少女は考え事をしていた。子ども攫いの妖精に心当たりがあるのかもしれない。
「でさぁ、攫われた子ってあんな感じの子?」
少年が指差す先には1人の少女が立っていた。
「そうそう、あんな感じで茶髪の可愛い娘とあとは…て、ふぁあぁぁ!?」
攫われた筈の少女は無言でデッキとバトルボードを取り出した。
「なるほど、喋らないとはこういう事だったのか。」
少年はスッとデッキを取り出し…
「あれ?あの板みたいなやつってどうやってだすんだっけ。」
「バトルボードですか?それなら魔力を使って…あっ…」
妖精の少女は思い出した。少年の魔力は彼女が吸ってしまって空なのだ。しかし…
「でた!」
少年の手元にはどういうわけかバトルボードが。魔力を使うと聞いただけで出現させる事ができた事にも驚きだが、それ以前に一体何処から魔力を持ってきたのだろうか。その疑問は一瞬で解けた。
「それは俺のボードだぁ!」
男の出したボードを奪っただけだった。止めようとする男だが、凄まじい早業でデッキケースからデッキを抜き取った少年は、シュッとそのデッキをセットする。この瞬間、2枚のバトルボードが魔力で接続され、バトルを行えるようになった。
「他人の板でも大丈夫なんだね。」
「大丈夫じゃねえよ!カードを半実体化させる時に使う魔力は、俺が出すことになっちまうんだ!俺の魔力はお世辞にも多くないから、強いカードをバンバン使われたら、俺の魔力が尽きちまう…!」
「強いカードってどんなの?」
「えぇっと…戦闘力9以上のカードとかかな。」
「戦闘力9以上のカードを持ってる人なんて、私見た事ありませんよ…」
つまり、何出しても大丈夫って事だと判断した少年は、バトルを開始…しようとしたところで止まった。
「何したらいいんだろ?相手の手札は3枚…ってことは3枚引けばいいんだ!」
このような事を言いながら、少年はカードを3枚引いてバトル開始を宣言してしまう。
「ま、待って下さい!」
「初期手札は、6枚引いてその中から3枚を選択するんだよ!何で知らねえんだ!」
「んー、記憶喪失だから。ルール知らない。」
「取り敢えず、あと3枚引いて手札を考えた方が…」
「でももう始まっちゃってるよ?」
「「え?」」
少年が指差す先には、既に2枚のカードが半実体化していた。相手の先行だったようで、相手は既に動き出していたのだ。これではもう、手札は変えられない。(少女手札3→1)
《火鼠》
メインカード
戦闘力:4
《濡れ鼠》
メインカード
戦闘力:3
「無条件の戦闘力4と3…?下級最高打点が混じってるじゃねえか。あの娘はあんなカード持ってなかった筈だぜ。まじでやばいかもしれねえ…」
「そうかな?僕の手札は大丈夫って言ってるよ?」
「…カードの声が聞こえるんですか?」
こんな事を話していると、相手の少女は手札1枚を墓地へ送り、そのカードを使用した。(少女手札1→0)
《妖精のいたずら》
サポートカード
効果:場のカード1枚の戦闘力を永続的に2上昇させる。
「あれ?場にカードが出てないよ?」
「よく見てください。あれはサポートカードです。場に出せるメインカードと違い、手札から墓地に送って、その効果だけを使用できるカードなんです。」
「あのカードによって《火鼠》の戦闘力は6…!簡単には突破できない…!」
(変なおじさんだなあ。さっきは戦闘力9以上が強いって言ってたのに今は6のカードを強いって言ってるよ。)
「…」
2ターン(少年のターン)
「よーし、僕のターンだね。僕は手札から…」
「待て待て待て!」
「待って下さい!ターン開始時にはドローをしないといけないんです!」
「でもさっきは…」
「先行1ターン目は最初のドローができないから相手はやってなかっただけだ!」
「なるほど!…ドロー!(手札3→4)」
「…ドローの意味はちゃんと覚えているんですね…」
ドローをした少年は、ふと何かに気が付いたかのように手を止めた。
(あのライフっていうのを0にしたら勝ちなんだろうね。でもどうやって減らすんだろう。このカードを使ってみたら、わかるかな?)
「よし!僕はこのカードを使う!」
少年は勢い良くカードを使った。しかし、カードは半実体化されなかった。
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