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【完結】人生やり直し始めました。  作者: ミソネタ・ドザえもん
高校生活、また始めました!
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不満はないが後悔はある

 俺はこれまで、人生で大きな不満を抱いたことはなかった。

 決して裕福な家庭でないながらも、電車通学となる高校にも入学させてもらったし、大した頭でもないくせに上京させてもらって大学でのキャンパスライフまで味あわさせてもらったし、その後も、身の丈よりも少し上のネームバリューの会社に就職も出来た。

 会社の仕事は辛かったが、プータローとなり世間から冷たい目で見られるよりはマシだったし、たくさんのミスも上司は怒りはしたものの許してくれた。


 世間で言う順風満帆から見れば、少し劣る程度の人生。それが、俺の人生だった。


 だけど、先にも語ったように、俺はこの人生に対して大きな不満を抱いたことはなかった。

 俺は、自分の身の程を自覚していた。学生時代、勉強にも部活にも打ち込まず、悠々自適にゲームをして過ごしてきた。そんな、人に自慢出来る努力を欠いた人生を送ってきたのだから、今の生活はむしろマシな部類だと思うことが出来た。


 会社に対する不満や愚痴などはポツポツあったが、そういった怠け者の自分を度々自覚させられると、努力不足な自分が悪いと気付かされるだけに終わった。


 だけど、ならば後悔が一切ないかと言われれば、答えは否だった。


 大人になって、まもなく一人暮らし十年目に差し掛かる今日この頃、俺は自分の過去の行いを悔やんでいた。


 あの時、もっと積極的になっていれば。

 あの時、もっと勉強していれば。

 

 あの時、もっと俺が今みたいに大人だったならば。


 今の順風満帆から少し劣る人生は、なかったのかもしれない。


 そんなことがあるはずないことはわかっているが、もし過去をやり直すことが出来るならばと、ふと考える機会が最近多かった。


 もしそうなれば、俺は多分、今の人生よりも明るい人生を歩めていたのではないかと、そう思ってしまったから。


 だから俺は、慎ましいながらに願っていた。


 過去に戻れないか、と。

 やり直しのチャンスはないのか、と。

 



 願いは、何故か叶う。


 次に俺が目を覚ましてみた景色は、一人暮らしをしている社員寮の天井ではなくて、この前帰省した時よりも少し小綺麗な実家の天井だった。


 過去にタイムスリップしたことに気付いた俺は、どうしてこんな奇怪なことが起きたかは理解出来なかったが、やり直しの機会を切望していたからか意外にも取り乱すことはなく、あっさりと現状を受け入れていた。

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