森林の化身
リンたちの乗ったトレーラーを追って〈ラーグルフ〉は第一〇三番天蓋区画の外に広がる荒野の、更にその外側に広がる森林地帯へと入る。
生い茂る木々の間を抜け、群生する植物を掻き分けて〈ラーグルフ〉は奥へと進んだ。
サイドスクリーンにポップアップ表示されたレーダーで合流ポイントとの距離を確認。
「かなり距離があるな」
――そうかァ?この距離なら日が暮れる前には追いつけンだろ。
「だといいけど」
ひと暴れ出来たからだろうか。珍しく機嫌の良いレイにそう返しつつ周囲の警戒を行う。
右のサイドスクリーンに見たこともない毛色のサルが木の枝の上を駆けて行くのが映り、思わず目で追ってしまった。
「なんだあれ?見たこと無いな……」
――ケッ、くだんねぇ。もっとこう、オレを滾らせるものを見つけてからいいやがれ。
――いいだろ別に、レイがどうであれ僕にとっては興味を唆るものだったんだ。
フン、とレイが態とらしく鼻を鳴らす。
――あんなものに気をとられるお前の気が知れねぇな。たかがサルごとき、面白くもなんともねぇ……ぞ……。
不自然な沈黙。違和感を感じた。
「レイ?」
彼が僅かに彼が笑う気配。
――見つけたぜロイ。
――何を?
レイはそれには答えず、代わりに右のサイドスクリーンに拡大映像がポップアップ表示される。
木々の間から覗く黒い金属装甲。
生い茂る葉の間から溢れた日の光を浴びて斑点模様に鈍く輝いている。
それは一見すると軍用トレーラーのコンテナのようで……。
「リン……?」
僕は夢中で操縦桿を操作した。
倒れた巨木を跨ぎ、垂れ下がる蔓植物を払いのけ目標へと近づいてゆく。
それが大きな勘違いであるとも気づかずに……。
*
接近する〈インパルスフレーム〉の反応に密林で眠っていたそれは目を覚ます。
蜘蛛を思わせる多脚兵器。背には巨大な一◯七ミリ滑腔砲。
人類史上最初に造られ、起動した”機神”と呼ばれる存在。
〈シリウス〉。それがその兵器の名前だ。
《所属不明機の接近を確認。〈インパルスフレーム〉と推定》
不朽駆動炉と呼ばれる永遠の原動力を生み出す機構が起動する。
《ただちに処理プログラムを実行》




