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目指せ!不良ボーイズ  作者: 山田勉三
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2話 キャサリン北村

角刈りの北村は”キャサリン”というあだ名がついている。

今回はその話をしようと思う。



春休みが明け、登校日。

徹夜で玉田とネットゲームをしていたせいで寝不足だった。


眠い目をこすりながら登校する。

門の前で東に会った。


「おうよっ」

気だるそうにあいさつしてきた。

5日前に不良宣言をしたからなのか、

いつもの「チェイース!おはよっす!」ではなくなっていた。

玄関で、玉田に会った。


「うっす」

こいつも気だるそうだ。

僕と同じく寝不足だからだろう。

もともと静かな奴だから違和感はない。


2年になっても4人同じクラスという奇跡が起きたにも関わらず、

浮かれていない。

不良宣言をする前は「やばいな!ズッ友だな!」とかほざいていたのに。


二人とも不良のごとく風を切りながら歩いている。

進級したので教室が変わった。

こいつらは不良になりきっている為、怠そうにしていたが、

僕は若干ウキウキしていた。


新しい教室に入った瞬間、違和感を感じた。

新しい教室だからなのか、

見慣れない生徒がいるからかなのか。

少しざわついている感じがした。




北村が金髪になっている。


不良宣言をした張本人は、

とてつもない不良デビューをかましていた。


「どうよ?これ不良だろお?」

北村が最高に気持ち悪いドヤ顔で問いかけて来た。


東と玉田は目を輝かせて興奮している。

「うおお!まじ不良じゃん!」

東は不良よりアホな発言をしている。


「まあよ、俺は不良だからよ。」


「最高にイカすぜ!!お前クールだぜ!」

こいつらの会話のレベルが低すぎてイライラしてくる。

よくもここまでダサい言葉を平気で言い合えるな。



いやいや、待て。

金髪も衝撃的だが、それよりも驚くことがあるだろう。

金髪よりも先に気づくところがあるだろう。



めっちゃロン毛になっている。


北村はもともと角刈りだった。

出会った時からずっと角刈りだった。

今、目の前にいる北村は、金髪で、センター分けで、サラサラで、ロン毛。

不良というより、外国人みたいな。



「なんか、キャサリンみたいだな!」

東の言っていることは意味不明だが、気持ちはわかる。


キャサリンが誰なのか全く分からない。

ただ、サラサラヘアーの金髪のロン毛は”キャサリン”っぽかった。

それよりまずロン毛を指摘しろよ。


「まあな。」

まあなってなんだよ。キャサリンはきっと悪口だぞ。

不良目指していたんじゃないのか。


周りの生徒はざわついている。

目を合わせないようにチラチラキャサリンを見ている。


「おい、みんなお前の不良にビビってるぜ。」

「へへっ、まあな。」


ビビっているというよりは、気持ち悪がっているが正しいと思う。

気持ち悪さに拍車をかけているのが、センター分けしている根元が黒いことだ。


どうやら、”エクステ”をつけているようだ。

”エクステ”とはカツラの一種で、

人工の毛を地毛に接着剤や金属を使い編み込む。

簡単にイメージチェンジができるので、

女性がよくつけているのを見る。

角刈りにエクステをつけている人間は初めて見る。



ざわついた状態のまま、チャイムが鳴った。

チャイムが鳴り終わったと同時に、担任が入ってきた。

新しい担任は、体育の教師でもあるガタイのいい先生だ。


一瞬だった。


教室に入った瞬間、ものすごい形相で最前列に座っているキャサリンの髪を掴み、

教室の外へ引っ張り出した。


「あっあっ。やめっ。」


机が倒れる音の中に、

かすかにキャサリンの声が聞こえた。


担任とキャサリンがいなくなった後、

ざわつきはさらに増し、笑い声も聞こえた。


10分後、目を腫らした坊主の北村が帰って来た。



それから、キャサリン北村と呼ばれるようになった。

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