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1-12-2 ギルド支部を目指して 2

少々残酷な表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。

クイズ大会を終えた野盗二人は涙を流しながら顔には引き攣った笑顔を貼り付けるといった器用な事をしていた。クイズ途中で怯えて震えていた野盗たちに苛ついたアッシュが追加ルールとして楽しめと言う理不尽なルールが追加された為だった。楽しめる筈もないのだが笑顔を浮かべない限り指の骨を折っていくという力技で実現されていた。すでに完全に心を折られており抵抗する素振りなど微塵もなかった。


「こいつらのアジトに少しお邪魔させてもらおうかと思うんだがどうかな?」


「アンタの戦いを初めて見たけど、それだけ強いなら別段文句なんてないわよ。相当、腕が立つとは思ってけどハッキリ言って想像以上だわ。」

サーシャは好きにすればといった様子で倒れている野盗たちから武器の回収を始めサーシャとフォウには短剣をアッシュには長剣を配って装備を整えていた。


「マスター、私たちすでに被害者じゃなくて追い剥ぎになってるような気がするんですが・・・。」

フォウは戸惑いを口にするがサーシャから受け取った短剣をしっかりと装備する様子から、意外と逞しいところが窺える。


「反対意見も出ないようだし、早速アジトにお邪魔しますか。」


アッシュの掛け声で3人は移動を開始する。もちろん野盗の二人も尻を蹴り上げられキリキリと先頭を歩かされていた。ここからアジトまではさほど距離も離れておらず丘の間に出来た天然の洞窟を利用したもので、先ほど行われたクイズ大会の情報から見張りの位置もわかっており野盗に察知される事なく見張りは無力化された。

アッシュは投石による無力化の方が手っ取り早く簡単だったのだが死んではお金にならないとサーシャに釘を刺され、サーシャの強制的な<眠り>の魔術により無力化されていた。魔法の効果に驚きながらも最初の襲撃の際はアッシュの手の内を見る為にあえて使用しなかったことに気が付いてサーシャの額にデコピンを入れておいた。額を押さえ頬を膨らませて抗議してくるがサラッと無視して見張りを縛り上げておく。

洞窟の出入口は1つしかない為、不意打ちの襲撃でも問題ないのだが生け捕り作戦の為、クイズ参加者1号を説得要員として中に送り込むことになった。面倒になった場合は入り口から蒸し焼きにしてしまえば解決である。もちろんこの事は1号にもちゃんと伝えてある。1号からすれば自分の命がかかった説得であるから全力を尽くしてくれるだろうと期待してアッシュは入り口で立ち待ち構えている。しばらくすると1号を先頭にずらずらと10名ほどが中から出てくる。武器らしい武器も所持していない為、説得が成功したかに見えるが1号の顔が泣き笑いの様に引き攣っているのがアッシュには引っかかる。


「おう、出てきてやったぜ。俺たちに用がある魔術師様ってのは、お前等か?」


言うが早いかアッシュを殴り飛ばそうと近くにいた二人が掴みかかって来る。1号は説得に失敗し尚且つ魔術師なら近距離格闘戦なら始末できると勘違いした野盗に逆に説得された。もしくは数の力に屈服させられたかのどちらかだろう。どちらにせよ先ほどのトラウマが甦る位なら成功するわけがない事は本人が1番理解しているに違いない。掴みかかる腕を握りしめ強引に振り回す。振り回された仲間の体の直撃を受けた野盗たちは吹き飛ばされ掴まれた男は余りの勢いに腕を残したまま体は吹き飛び地面に赤い血の花を咲かせる。


「話は聞いた筈だと思ったがお前等には罰ゲームが必要みたいだな。持ち主のいないこの腕と話が理解できないお前の悪い頭、使えるのはどっちか確認してみるか。」


アッシュは掴んだままの残った腕を話しかけてきた頭目らしい男の顔面に打ち付ける。何度も何度も打ち付け湿った嫌な音が当たりに響く。すでに男の顔も頭も形を無くしていた。痙攣する男に興味を失ったかのようにアッシュは握りしめていた腕を放り捨て野盗を見渡す。


「必要なくなった腕でも役に立つのにお前らのリーダーの頭はそれ以下のようだな。残ったお前らも一緒か?話を理解する気が無いならこの場で殺す。理解できないものは立ち上がると良い。すぐに楽にしてやる。正直、これだけの人数邪魔なだけだ。どうした?楽に死ねるぞ。」


アッシュの言葉に動くものはいなかった。視線すら向けてこない。そんな中、サーシャとフォウの非難がましい視線だけがアッシュに突き刺さった。


「どこからどう見ても完全にマスターが悪者に見えます。」


悲しそうに腕を胸の前で手を組むフォウ。サーシャはアッシュの姿を見て、嘘をつくのは控えようと密かに決心した。


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